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ジオパーク教材配布には綿密な計画を!

      2014/11/29

今年3月、役場退職直前に出来上がった、小学生5年以上向けのジオパーク教材「山陰海岸ジオパーク・フィールドノート」。出来上がってからおよそ2か月経った先月、初めて自然学校や授業で使われました。

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神戸新聞に掲載された、教材を使っている様子

自治体やジオパーク推進協議会は、基本的な事業年度末が3月なので、だいたい1月から3月にかけて印刷物を作ります。今回の教材も3月にできましたので、すぐに学校へ配布しようとして、現場に立つ教諭に配布前に相談したところ、

「春休みから4月は学校に配布しないでください」

え?!出来上がったのに?!

ジオパークフィールドノート表紙

「3月末は異動時期でどたばたしているし、4月は学級を作り上げないといけない大切な時期。そして、教科書を始め、文科省やいろんな会社から副読本などが来て、冊子でうずもれているような状態になっています。そんなときに配ってしまったら、要らないものと一緒にされてそのまま廃棄です」

ではいつがいいんですか?

「5月に入って1週間以内がいいですね。5月中旬からは自然学校や修学旅行で高学年は忙しくなり、教材に目を通すことができません。さらに6月以降になると年間の授業の組み立てを済ませてしまい、そのタイミングで教材が来ても「もう遅いわー」と使わずに廃棄されます。だから、5月の上旬がいいですね!」

そこで役場の担当の方にお願いして、5月上旬に送って頂きました。今回とてもよかったのは、実際に使われたことが新聞記事って「あぁ、こないだ教材が来ていたよね」とリフレイン効果が期待できることです。これで「役場から冊子が来てたなぁ」と片隅に置いていたた段ボール箱を開けて頂くことにつながります。

実際に、教材を使っている様子を拝見しようと、下浜の足跡化石へ見に行きました。自然学校で訪れた、町内の小学5年生(5校連合23名)の児童たちは冊子片手に足跡を一生懸命探しています。最低これだけは見つけよう!と6つだけ足跡化石の写真を載せているので、「見つけたー!」と元気のいい声がたくさん聞こえました。先生方からも「こんなええ冊子を作ってくれてー。絵が多くてわかりやすいナァ!」と喜んで頂いたようで、とてもうれしかったです。

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このような教材は、学校へ配ってハイ終わりではなく、現場で使ってもらってはじめて「6,7合目」となります。そして児童や現場の先生からさらにヒントを頂き、修正するところは修正し、教師用の修正などで済むようであれば追記して、本当に現場で使えるものにしなければいけません。そうして初めて「現場で生かされるジオパーク教材」となります。

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学校現場へ送りつけてええもんだから使えと「印刷物の押し売り」にすると、すぐに廃棄物行きになることを、意外と自治体サイドは知らない。。。私も今回そのことを知って、綿密な計画を立てました。現場で使ってほしいジオパーク教材は、必ず事前に、現場の教諭と相談して使うシーンや配布時期を相談して配布を行ってください。

残念なことをいうと、この教材、どこからもダウンロードができないことです。山陰海岸ジオパークでは各市町単位で小学校向けジオパーク教材を作っていますが、それが各市町HPのどこにも出ていないのです。鳥取市などは小学校低学年、中学年、高学年向けにつくっていますし、京丹後市は小学校6年生全員が使っている教材があるにもかかわらず。。。そういう教材をジオパーク推進協議会で一挙公開して他のジオパークや他の市町が参考にできるように、民間も参考にできるようにしてほしいです。良いものを作っているだけに、残念でなりません。少なくとも、私は外へ出せないような自信の無いものをディレクションした覚えはありません。他の日本ジオパークの手本になるべき世界ジオパークとしての立場を意識してほしいです。私が関わった、このジオパークフィールドノートは、香美町役場でもらうことができますし、学校関係者であれば指導書(PDFですが)も頂けます。ご興味がありましたら香美町役場観光商工課(0796-36-3355)か山陰海岸ジオパーク推進協議会(0796-26-3783)へお問い合わせください。

(2014/11/29追記)
香美町ジオパークフィールドノートは、香美町HPからダウンロードできるようになりました。(下記リンクをご参照下さい)

 

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香美町ジオパークフィールドノート(PDF)
児童編 : 指導者編

小学校児童向けジオパーク教材制作記シリーズ
(1)(2)(3)
(4)(5)(6)
(7)(8)(9)

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークの販促物&教材, マスコミ掲載&出演

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