小学校児童向けジオパーク教材制作記（２）

2014/05/07 2014/11/29

先日の続き、小学生向けジオ教材の制作を通して気づいたことがあります。大事なのは、ズバリ「作って児童の手に渡った後のこと」を考えているか、ということです。

１）紙質と厚みを考慮する

私が現場の先生方と話し合って作っていく過程で、最初に話し合ったのは、この冊子をどういうシチュエーションで使うのが、先生方として使いやすいのかでした。その結果、「フィールドで児童が直接書き込める冊子体。あとで復習もできるように、考えるヒントの図などもあるものを」ということになりました。

そのため、冊子の紙質はとてもこだわりました。普通のパンフレットであれば、コート紙のツルツル紙です。しかしこの紙質だと鉛筆で文字が書きにくいのです。鉛筆できちんと書けるものとしては、上質紙が最適です。

一般的に観光パンフレットや冊子はコート紙です

次に厚み。あまり薄すぎると裏映りします。一方、厚すぎる場合は無駄にお金がかかります。価格と相談して、110kを選びました。

紙質については、こちらのサイトで見てみてください。
印刷屋さんドットコム　用紙の種類について

２）振り仮名は全部の漢字に。

初稿を書いていた時に悩んだのが振り仮名です。何年生で習う漢字までにするかに悩み、5年生が主に使うのだからと、とりあえず5年生以上で習う漢字に振り仮名を打つことにしました。Microsoft Word2010の素晴らしい機能のひとつ「文章校正」の詳細設定で表記の基準の漢字レベルを5年生にして校正を行い、先生方にお見せしました。

Word2010文章校正方法、小学校の学年毎に常用漢字に振り仮名が打てます

すると・・・

「あぁ、ダメです、ダメです。フリガナはすべての漢字に打ってください。」

え？！全部ですか？一とか二とか、田んぼとか、小学校1年生で習う漢字も？？かなり面倒なことをデザイン会社にお願いすることになるし、困ったと思っていたら、

「5年生全員が、4年生の時に習った漢字がすべて読めるとは限らないんです。漢字が苦手な児童や、全く漢字の読めない児童も中にはいます。でも振り仮名を打っておけば、小学校1年生でも、意味は分からなくても文字は読めるんです。みんなが使えるものにするのであれば、振り仮名は全部につけましょう！」

これこそ目から鱗！！

児童に毎日接し教えている現場の先生方だからこそわかることです。誤字脱字のチェックも大変ですが、児童たちのことを考えると当然です。早速デザイン会社さんにその旨を伝えてお願いし、全部に振り仮名を打つことにしました。

すべての漢字に振り仮名を打ちました

まだまだ目から鱗なアドバイスを先生方から教えて頂きました。この続きは明日お話します。

香美町ジオパークフィールドノート(PDF)
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今井ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するＮＰＯを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。