「月刊兵庫教育」7月号にジオパークについて寄稿<1/4>
今年3月に兵庫県立教育研修所から「学校の先生方に対して、ジオパーク活動の話を中心に寄稿して頂けないでしょうか?」と依頼され、今月(7月号)掲載されました。A4で4ページ、文字数にして5000文字ほどだったかと思います。肩書きはジオパークですし、教師向けですからNPOたじま海の学校副代表にさせて頂きました。
掲載されたものをそのまま転載するのは著作権にひっかかりますので、校正前文章を掲載させて頂きます。
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温故”地”新 〜ジオパークと地域づくり〜(1)
ジオパークは、地形地質を中心とした自然や文化などを見どころとし、それらを守りながら観光や学習に生かし、地域の活性化に結び付けようとする地域のことです。国内には国立公園(31カ所)よりも多い36の日本ジオパークがあり(平成27年5月現在)、すでに日本の自治体の2割弱がジオパークに関わるほどの広がりをみせています。国際的に貴重な地形や地質を認定する「世界ジオパーク」はヨーロッパと中国を中心に32カ国111地域あり(平成26年9月現在)、私が活動する山陰海岸ジオパークもそのうちの一つです。私が住む香美町は、美方郡美方町・村岡町、城崎郡香住町の3町が10年前に合併して誕生した町で、京丹後市から兵庫県の但馬を経て鳥取市に至る山陰海岸ジオパークのほぼ中央に位置しています。
<1>ジオパークに関わるきっかけ
私は大阪で生まれ、大学卒業後、加古郡播磨町の化学会社に勤務していました。趣味のダイビングを通じて、毎週末のように日本海側にある美方郡香美町に通ううち、日本海の環境保全活動に携わるようになりました。平成19年春にはNPO法人「たじま海の学校」を立ち上げ、環境学習や自然学校の指導、市民によるビーチクリーン活動を本格的にスタートさせ、翌年、香美町に住む今の主人と結婚して移住しました。しばらくは主人の実家の民宿を手伝う傍ら、併設しているダイビング店で水中ガイドをしていました。それらの経験から、平成22年夏に香美町のジオパーク推進員(嘱託職員)として採用され、約3年半、ジオパーク活動を官民両方の立場で取り組んできました。昨年春の職員任期満了後も、ジオガイドとして活動する傍ら、全国各地のジオパークで講演を行い、精力的に普及活動を行っています。
山陰海岸ジオパークは平成22年秋に日本で四番目に世界ジオパークに加盟認定されましたが、当時、ほとんどの住民の反応は冷ややかでした。学術的な説明が多かったジオパークは難解で住民や観光業者から敬遠されていました。町のジオパーク推進員に採用された私は、まずジオパーク内に暮らす住民に自分事と捉えてもらえなければ、地域活性化に結び付かないと考えました。町内各地区に出向いて、ジオパークについての出前活動を行い、行政目線でない住民自らが考えるべきまちづくりの一助としてジオパークがあることを説きました。
実はジオパークに関わるまで、自分が暮らすまちを「何にも無い、ただの田舎」だと思っていました。何というド田舎に嫁いでしまったのだ、という後悔の念さえ、その当時は持っていました。しかし、ジオパークに関わるようになり、香美町の見どころはもちろんのこと、豊かな気候風土、深い山、美しい海とそれらに育まれた地元の食材などについてたくさん知ることができました。地元の人たちとの交流を重ねていくうちに、地元では当たり前のものでしかない地域資源の中に、たくさんの宝物が埋もれていると感じるようになりました。主人の民宿が忙しい時期には、仲居の仕事を手伝っていたのですが、ジオパークで学んだ地域の話(例えば松葉ガニ漁の歴史など)をお客様にすると「ええコトを教えてもらった。ここに泊まって得したわ!」と好評で、私自身も嬉しかったのを覚えています。
他所から来た私だからこそ分かる『まちの良いところ』を地元の人にも認識して頂き、自分たちの住むまちに誇りを持ってもらいたい。そう考えた私は仲間と共に、平成24年度から「たじま海の学校」の活動として、観光資源の再発見とリピーターの増加を図るため、地域の歴史や伝承を紹介する観光ガイド「香美がたり」の養成やガイドブックの作成に取り組みました。このガイドブックは、地元の住民や学校などにも配布し、地域住民が地域の魅力を再認識するきっかけにして頂いています。
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たぶん、ずっとブログを読んでいる方や講演会に参加されている方は「どこかで聞いたことがある・・・」と思います。今までのジオパーク活動の総括として寄稿いたしました。続きは明日に。
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今井 ひろこ


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