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第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(4/n) 着地型観光で選ばれる商品とは?

   

先週から、第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」の備忘録ブログを書いています。毎日書くと肩のコリが激しい・・・けど頑張りました!

1つめ:第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(1/n) 「自立と持続」

2つめ:第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(2/n) 3つの目「鳥の目、虫の目、魚の目」でマーケティングを!

3つめ:第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(3/n) ターゲットを一つに絞る

兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越しいただき、ありがとうございます。

今日は弘前と仙台でインバウンド旅行会社を営む、株式会社インアウトバウンド仙台・松島、合同会社たびすけ代表取締役の西谷雷佐(にしやらいすけ)先生の講義のまとめです。

西谷先生の講座は怒濤のようにマーケティングの重要キーワードは出てくるし、テンポが良いし、アイデアが冴えてるし、かといって人情もとーっても厚いのです。

前回のセミナーでは、私の旦那にホヤのおつまみをお土産に買ってきて下さったり。

行動心理学を専攻されていた西谷先生なので、講座のイントロからぐいっと引きつけます。ネタバレになるので、どんなイントロなのかは紹介控えますが、なるほどって思えることばかり。

インバウンド旅行会社を経営され、もちろんガイドもされるからこそ出る言葉。セミナー内でも「ガッテン!」と何度机を叩くことでしょう!

西谷先生が手掛けてきたツアーは、それぞれにマーケティングの極意が詰まってます。

西谷流・ツアー商品ってどんなの?

1)掛け合わせ編集することで唯一無二にする

魅力を掛け合わせることで、コンテンツ(素材、内容)からプロダクツ(製品、商品)へ編集する。  

例えば、リンゴ農家での体験プログラム。『青森×リンゴ×農家の暮らし』を全ての季節でそれぞれ考えてツアー商品を展開されています。もぎ取り体験だけでなく、例えば今の時期だと「りんご剪定体験ツアー」(リンゴ農家で最も大事な作業・枝打ちの作業などを体験。どうして枝打ちが味に影響するのかなども農家から伺います。)など、ここでしか体験できないことをツアーにしています。

西谷先生のブログ/「剪定はエンターテイメント!真冬のりんご畑でモツ焼きランチ!」より

暮らしぶりこそが観光コンテンツ。当たり前の日常にこそ「価値」があるから、「意味」と「理由」に注目する。

2)「キャッシュポイント」を明確に。

旅先で海鮮丼を食べるなら特上にしたいと思うのと同じ、旅先では思い切り楽しみたいですよね。たびすけの人気メニューに「手ぶらで観桜会」があります。手ぶらで弘前の桜の木下で花見なのですが、その日最もキレイに桜が楽しめる場所を取り、弁当も地元の料亭のもの、お囃子もあるし、これで3万円ですが、アジア、ヨーロッパの方に大人気だそうです。

今年も4月にツアー開催されますので、気になる方はぜひ!

弘前の桜は本当に有名ですが、日帰りや寄っただけの観光客が多く、観光客が地元に落とすお金は一日600円程度。殆ど何も買わずにトイレ汚してゴミ捨てていくだけやん、これはあかん!ということで、考え出された観光商品です。

旅は「ハレの日」だから、普段と違うことがしたいんですよね。極めるだけ極めて極上の演出をしても、それを好む人に届けば人気になるはずです。

3)ターゲットは”好き”を中心にした「コミュニティー」

全国の刀剣女子をターゲットにした「刀剣ツアー」、石の愛好家ばかりを集めて、海岸でめのうを拾ったり石の専門家に会いに行くツアーなど、弘前に「好き」なもので集まるツアーを開催しています。

(”刀ポンポン”もさせてもらえる刀剣ツアー)

素材をそのまま売ってしまってる地域が多いので、どこの地域も似たり寄ったりの地域づくりや体験ツアーになってくる「コモディティー化」が起こっています。

猫も杓子もフルーツもぎ取り体験だし、古民家再生だし、ね。そういえば、あまりに似た体験ツアーばかり登録がされるので、一時期、遊び予約サイトのアソビューやAirB&B体験などは受付ストップしてましたよね。

西谷先生曰く、

コモディティー化する中で、具体的なコンセプトを示して、どんな戦略を練るかが大事。

とことん「尖らせる」!

一番ダメなのは・・・

× K(経験)K(勘)D(どんぶり勘定)!

それは事業経営でも全く同じ事です。ホンマ、経験と勘とどんぶり勘定で経営してません???

商品造成で意識していること

大満足してもらうのだけど「心残り」を植え付けるんですって。特にツアーは詰め込みすぎないこと。

ツアーは「引き算の美学」って仰ってました。お客さんが求めてないところに無理矢理連れて行ったり、「俺の話を聞けぇ〜!」はあかんよね。ファムツアーなんてめっちゃ詰め込まれて、案内してても視察者の目がうつろだもんね。

そして大事なのは「人」だと。ガイドの顔が見えるツアー、この人でしか出来ないガイドを構築してツアーを作り出すのだ、と。そのために薦めているガイドの養成プロジェクトが『ガイド2.0人材育成』ともいうべき「東北トラベルコンシェルジュ」の養成。ガイドで観光を広域化させて、東京のガイドさんと連携してオンデマンドのツアーを作る、のかな?

その指標の順位がこちら。

知識や言語力より、安全管理や、コミュニケーション、行程管理力でしょって。それ聞いて、ハァ〜と溜息出ました。プロガイドツアーならダイビングでもトレッキングでもネイチャーガイドでもこの順。

ま、ジオパークなら

1.知識
2.知識
3.苦手分野を克服し覚える
4.安全管理への意識と実践  以上。

かも。だからお客様への気配り目配りが不足して、エンターテイメント性を発揮せぬ=付加価値出せない=ガイド代安く叩かれる=事務局も安く受けちゃうのだな。うむ。

観光における「おもてなし」って何?

観光における「おもてなし」とは、相手に寄り添う「こころ配り」。相手が何に困っているか、どうして欲しいのかということにこころ配れるか。それがファンづくりに繋がり、自然と醸し出される地域づくり、人づくりが「感動地域づくり」となっていくのだけど、一朝一夕では無理だから、観光地域づくりはこういうことを見据えて、地域全体を俯瞰してやっていくことが大切だ、と西谷先生は仰ってました。

そのために求められるものは、一人一人のパフォーマンスというのかな、個の成長だと。

ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち」(ピョートル著)によると、学習機敏性や自己肯定感を伸ばし、質問力や解凍力で相手の困っていることを引き出すチカラを上げてことこそが必要で、そのベースになるものはリベラルアーツ(一般教養)だと。

山口周さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 」(光文社新書)によると、今のエリート層は理系の人が多く、早朝に美術館を見学する人が多い。しかし、ロジカルシンキングだけでは行き詰まるから、ビジネスとは関係なさそうな文系のクリエィティブ、柔軟性を掛け合わせてイノベーションを起こしていくのだとか。

そう言われてみれば、今井家は今井学(ガチ文系)×今井ひろこ(元化学の研究者)だから、2人揃ったらイノベーションが起こせるかも知れないのですね。

そうして、得た知識をアウトプットしていくときに、大事なことは、学んだことメモしたことについて、何故自分がそこに惹かれたのか、何故チェックしたのかを、俯瞰して考えてから実行に移すことだそうです。これが西谷先生の商品づくりのスタンス。

一つの記事、一つの事象が「どうして?」「何故そうなの?」「これ、ツアー商品に応用できないかな?」と、特に違う業種のことから商品作りのヒントを得ているそうです。

講演を聴いて

西谷先生は多種のツアーや事業をわずか数年で展開されてて、スピード感が私とは全く違ってます。でもそれはコンセプトとコンテンツ(商品サービス)があり、どんなコンテクスト、世界観で広げていくかということまで、きちんと一つの軸として見えている、考えているから。先生の世界をスライドで見せて頂きましたけど、レイヤーがスゴすぎ。何層にもなっているのだけど、それがすべて花のように繋がっているのだから、たぐいまれな編集力で地域も自分も向上させていってはります。

西谷先生のところのツアー商品をただ真似ただけでは、おそらくうまくいかないでしょう。地域のコンセプトとコンテンツ設計がきちんとできて絵が描けてこそ、地元の人が「協力したるわ」となってくれますし、そこは頼む人の人柄、リベラルアーツが効いてきそう。

ツアーを作る前に、まずは自分磨きと地元磨きからしなきゃ。先生がオススメしてくださった2冊、読まなきゃ。そして、弘前か松島へ旅行に行かなきゃ、ホヤ食べに&刺激的なツアーに参加しないと。

時々は西谷先生の講演も聴きたいので、但馬、丹後あたりで呼んで下さらないかなぁ〜特にDMOやインバウンド系で・・・。豊岡DMOいかがですか?

ということで・・・今回も超絶感動なセミナー、ありがとうございました!

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - 南紀熊野観光塾

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