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小学校児童向けジオパーク教材制作記(5)

      2014/11/29

児童向けの教材を作るときも、パンフレットでも意識しておきたいこと。第一稿が出来上がった時に、それを見た先生から言われたことが、

「今井さん、シキカクイジョウの児童に配慮した冊子を作ってもらえたら、うれしいなぁ」

し、シキカクイジョウ?

(6)色覚異常に対応すること

「色の区別がつかない児童がいるんですよ。」

色覚異常とは緑色や赤色が区別できない目の病気です。

人間の網膜は、赤・緑・青の3色を感じる能力があって、その刺激の強さにより色々な色を認識できます。
色覚異常とは一般に赤緑色覚異常といわれますが、緑色や赤色を識別することができない病気で、遺伝による先天色覚異常と視覚系の障害によって生じた眼疾患に伴う後天色覚異常があります。
若葉眼科病院 色覚異常HPより>

先生によると、色覚異常の児童は特別支援学級でなく、普通学級のクラスに1人くらいいるとのことでした。後で調べると、日本人全体で300万人おられるとのことでした。

色覚異常の発現する割合は日本人の場合1型(第1)・2型(第2)の色覚異常を合わせて男の約5%,女の約 0.2%です。男の5%というのは20人に1人ですから, 小学校の1学級を40人としてその半数が男の子としますと,平均して1学級に1人は色覚異常の子がいる勘定になります。 日本人全体では約300万人という大変な数になるのです。
滋賀医科大学眼科学講座HPより>

色覚異常の児童に対応させるには、色の組み合わせを考えることが大事と教えて下さいました。でも、どの組み合わせがよくないか分らなかったので、原稿を見てもらいたくて、出石の養護学校へ電話して色覚異常について伺いました。しかし「色覚異常は養護学校では受け入れません。それと、色覚異常は患者によって症状が異なるので、一概にこれという組み合わせが言えないのです」と言われました。(色覚異常の見え方とは、を参照ください)

そこで、県の担当者(どこの部署か忘れました)に原稿を見て頂けるか聞いてみたのですが、「県の出版物は確認しますが、市町の出版物は範疇外なので出来ないです」と断られました。トホホ・・・

自力でやろうと思いインターネットで探し、組み合わせ例を見つけました。たくさんある中で、一番参考になったのは、東大の先生方のHPにあった「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック」です。とりあえず、その資料を参考にとデザイン会社に渡し、パステルカラーは主になるイラストには使わないようにお願いしました。

combination_bad_ver3

カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック」より、色の組み合わせの悪い例

それでは万全でないので悩んでいたら、先生方が「色だけではどうしても難しいので、ドットや斜線など、違いを表しましょう。そしたら同じような色でも違いが分かるでしょう!」と助け舟を出してくださいました。さすがは現場の先生!大まかな組み合わせはデザイン会社さんで工夫して頂いて、大事な図での模様の組み合わせ、キーワードの表記などは先生方にチェックをお願いしました。

キャプチャ足跡化石

地層のところには色目の他にドットやマークで地層を区別させるようにしました。

このようにして、色覚異常の児童にも楽しみながら学んでもらえるような冊子を作りました。次、何か印刷物を作るときにも、この視点を加えていきたいと思いました。

 

illust2712
香美町ジオパークフィールドノート(PDF)
児童編 : 指導者編

小学校児童向けジオパーク教材制作記シリーズ
(1)(2)(3)
(4)(5)(6)
(7)(8)(9)

illust2712

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークの販促物&教材

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