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小学校児童向けジオパーク教材制作記(6)

      2014/11/29

ジオパーク教材を作るときに、場所をどこにするかということはとても悩みました。有名なジオサイトやジオの見どころが、学校教材として使えるとは限らないのです・・・

(7)「学習指導要領に沿った教材」として使える場所であること

教材として使う以上、学習指導要領に沿っていることが最低条件だと私たちは考えました。理由は、授業や自然学校で活用してもらいたいということです。ジオパークの学習は地域学習と合わせて「総合学習の時間」に入れることが多いと思いますが、総合の時間はどんどん削られ、普通教科の時間に振り分けられています。そのため、普通教科の時間にできる項目があれば、それを地元や自然学校先のジオサイトでその教科の一部ができ、授業コマ数を他の教科や別の単元から補う必要がなくなります。

どの教科についてジオパーク教材を作るかを先生と話し合い、理科分野、特に地学分野に関してジオパーク教材を作ろうという話になりました。理科、特に地学分野が苦手な教師が比較的多いと思われるためです。当初、植物も入れたい、生物も入れてみようという話にもなりましたが、植物は咲く時期などが天候不順でずれることもあり、計画が入れにくいとのことで、多少の気象変動でもビクともしない地学分野が一番使い勝手がよいかもしれない、ということになりました。

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山陰海岸ジオパークの代表的な見どころ「下浜足跡化石」

ジオパークは理科だけでなく文化や歴史も入るので、それらも入れましょう、という話も出ましたが、ページ数が限られているのと、科目混合だと先生も生徒も使いにくいだろうということで、歴史文化編は続編で作ることになりました。

みなさんは学習指導要領をご覧になったことがあるでしょうか? 早速、学習指導要領【小学校理科】を拾い出してみましょう。文部科学省のHPに学習指導要領のホームページがあります。その中に「新学習指導要領(ポイント・解説・資料等)」があります。「新」は最新の学習指導要領につけられる接頭語で、9-10年に一度、フルモデルチェンジがあるそうです。今は平成23年のものが最新です。

その中の小学校学習指導要領の中の「第二章 各教科」に「理科」があります。実は理科は3年生からしかありません。(それまでは「生活科」という科目でサイエンスなことにも触れています。)

小学校5年生
B 生命・地球
(3) 流水の働き
地面を流れる水や川の様子を観察し,流れる水の速さや量による働きの違いを調べ,流れる水の働きと土地の変化の関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 流れる水には,土地を侵食したり,石や土などを運搬したり堆積させたりする働きがあること。
イ 川の上流と下流によって,川原の石の大きさや形に違いがあること。
ウ 雨の降り方によって,流れる水の速さや水の量が変わり,増水により土地の様子が大きく変化する場合があること。

小学校6年生
B 生命・地球
(4) 土地のつくりと変化
土地やその中に含まれる物を観察し,土地のつくりや土地のでき方を調べ,土地のつくりと変化についての考えをもつことができるようにする。
ア 土地は,礫(れき),砂,泥,火山灰及び岩石からできており,層をつくって広がっているものがあること。
イ 地層は,流れる水の働きや火山の噴火によってでき,化石が含まれているものがあること。
ウ 土地は,火山の噴火や地震によって変化すること。

5年生では川のはたらきを、6年生では地層や火山の話について学びます。ジオガイドは知識の押し売り防止に、児童がどこまでを学校で履修しているか、自分が同じく小学生だった時代とは内容や量が違うことを念頭に、学習指導要領をぜひ見てほしいです(可能なら自分の子供の理科の教科書を見せてもらった方がいいかも)この学習指導要領から題材にするジオの見どころをどのように選んだかについては明日お話します。
 

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香美町ジオパークフィールドノート(PDF)
児童編 : 指導者編

小学校児童向けジオパーク教材制作記シリーズ
(1)(2)(3)
(4)(5)(6)
(7)(8)(9)

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークの販促物&教材

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