地方の小さな宿とお店の集客をサポート!「今井ひろこドットコム」

宿泊施設や店舗の集客コンサルティング、プレゼンテーション指導、研修会、ジオパークにおける地域活性化を行う今井ひろこのブログサイトです

*

小学校児童向けジオパーク教材制作記(1)

      2014/11/29

先々月、香美町嘱託職員を任期満了で退職する前ギリギリに出来上がった一冊の教材があります。「山陰海岸ジオパークフィールドノート」(児童編)(指導者編)という、小学校の児童対象に絞った校外教育用の冊子です。

ジオパークフィールドノート
ジオパークフィールドノート

この本が作られるきっかけになったのは、今から3年前、2011年の夏。学校の先生方から依頼され、町内の小中学校の教師約30名を前にジオパークの出前講座を行いました。そのときに熱心に聞いておられたのが、今回の冊子編集のキーマンの一人、中尾先生でした。中尾先生は余部小学校の分校、御崎分校の先生で、地学が大変好きな先生です。私が香美町海の文化館に勤務していた時には、きれいに磨かれた養父の蛇紋岩を持ってこられて、蛇紋岩のレクチャーをして頂いたほどです。

中尾先生
日本海新聞にて

そんなことを忘れかけていた翌年、2012年の夏に今度は数名の先生方を連れて、「ジオパークの勉強がしたいんです」と文化館へお越しになりました。その時ももう一度レクチャーをさせて頂き、「わかりやすい!ふるさと教育って言えばいいんだ!」と感想を頂きました。訪問して下さった先生方から「私たちは美方郡の先生方数人と教材を作るサークルのようなものを作っていて、できればジオパークの教材を作ってみたいんです。」と相談を受けました。ちょうど、京丹後市や鳥取市、洞爺湖有珠山ジオパークで学校教材を作った例を知っていたので、こういうのがありますよ、と先生方にお見せすると、「私だったらここをこうする」「俺やったら、この図はこう書くなぁ~」など意見がたくさん出てきます。

 

学校の先生方はジオパークを授業に生かしたいと常々おっしゃっていますが、だけど「ジオパークとは何か」をどう伝えたらいいかがわからない、と悩んでおられます。私はいつも、大地がどうの、地球がどうの、という前に「まずはふるさとの素晴らしさをしっかりと認識させること。お爺ちゃんお婆ちゃんの昔の暮らしを本人たちから質問させること」と伝えていました。香美町では平成の合併後「ふるさと教育」という、総合学習の時には郷土教育が行われています。それはズバリ「ジオパーク教育」そのものだと私は思います。

 

私も実は子供向け教材を作ってみたいと思っていました。先生方に聞くと、小学校6年で地層を学ぶけれど、道路からすぐの観察しやすい崖はほとんどがコンクリートで固められていて、実際の授業ではビデオ教材や教科書の写真で観察を済ませているのが実情なのだとか。

 

「今井さん、せっかく香美町は世界ジオパークのエリアに入っているのに、理科の「土地の観察」ができないなんて、くやしいですよね。何とかしたいんです。素晴らしい大地を実際に自分の目で見て感じてもらいたいんです。その補助教材をつくってみたいのだけど、教育委員会はお金が無いと言うんで、3年くらい陳情して何とか作ってもらえるかなぁ、と思うんです。なので、私たちも3年後制作を目途に、今から準備して作れたらって言っているんです」

 

ううっ・・・先生方は作りたいとおっしゃるけど、予算か・・・。頭の中でさくっと計算して、デザインと合わせて、顧問料入れてざっと70万~80万。。。うむ。。。

ひらめいた!!

「私も本当は作りたかったのです。だけど、児童向けの教材の作りこみ方がわかりませんでした。町内の小学校だけが対象であれば予算を引っ張れないですが、自然学校(兵庫県下の全小学5年生に義務付けられている4泊5日の長期宿泊体験活動)でも使えるような教材であれば、教育旅行を推奨している香美町だから、観光かジオパークから予算を引っ張ってこれるかも。この企画、ちゃんとできれば目玉企画ですよ。ただし、予算を引っ張ってこれたら、すぐに先生方に制作協力をお願いすることになりますが、それでもよろしいですか?!」と念押しして了承して頂いたので、ワタクシがんばりました。

 

では次回は、実際に作っていった過程で見えてきた教材づくりのノウハウについてお話します。

ジオパークフィールドノート制作者一同
ジオパークフィールドノート制作者一同

 

illust2712
香美町ジオパークフィールドノート(PDF)
児童編 : 指導者編

小学校児童向けジオパーク教材制作記シリーズ
(1)(2)(3)
(4)(5)(6)
(7)(8)(9)

illust2712

The following two tabs change content below.
今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークの販促物&教材

コメントを残す

  関連記事

ジオパークマスターマップ初版の製作秘話<下>

昨日のブログの続き、商店主さんにジオパークのサポーターになって頂く制度「ジオパー …

ジオパークを直接的に使おうとしてもうまくいかない

「今井さんが指導されている事業者さんは、どんなジオパーク商品を開発されているので …

大地に注目したお菓子、続々と販売中!(後半)

昨日、大地に注目したお菓子として、「ジオガシ」と「によどがわ恋し」をご紹介しまし …

他のジオパーク事務局で質問攻めに合う人気ぶり!「山陰海岸ジオパーク・フィールドノート」

今年のジオパーク講演会での訪問先及び予定は、今現在、すでに終了したところが、準会 …

小学校児童向けジオパーク教材制作記(4)

昨日お話しした、私が手がけた児童向け教材第一号の「館内ワークブック」。選択問題ば …

「月刊兵庫教育」7月号にジオパークについて寄稿<2/4>

昨日のブログから4回に渡ってお伝えを予定している、月刊兵庫教育7月号に寄稿したジ …

小学校児童向けジオパーク教材制作記(3)

児童向けのジオパーク教材の話はいかがでしょうか? ジオパークで作られている「児童 …

なぜジオパーク看板が必要なのか?

日本ジオパーク南アルプス大会の分科会D「見せ方、ソフト(ガイドなど)、ハード(看 …

小学校児童向けジオパーク教材制作記(2)

先日の続き、小学生向けジオ教材の制作を通して気づいたことがあります。大事なのは、 …

ジオパークフィールドノート、兵庫県を代表し全国大会へ出場決定!

今日は地元の教諭チームと一緒に、西脇市立西脇南中学校で開催された、兵庫県の教職員 …