地球惑星科学連合大会2014に参加して(1)
2014/05/26
昨日の「教材作り」コラムはお休みして、先に大会のお話をしたいと思います。
4月29日から昨日まで、パシフィコ横浜で開催された地球惑星科学連合大会に行ってきました。ありとあらゆる地球科学の研究が一堂に介する何千人規模の大会です。参加するには2万ン千円払わないといけないのですが、公開セッションといって、誰でもが参加できるものがあります。その中にジオパークセッションがあります。うれしいですね。
どんなことをするかというと、プログラムを貼っておきますが、講演のあと、公開プレゼンテーションがあります。
2014年地球惑星科学連合大会4月30日プログラム-ジオパーク
この公開プレゼンは、今年ジオパークに申請する地域が10分程度の発表をして、事前に送る申請書を読まれた日本ジオパーク委員会の先生方からの質問に答えるものです。ジオパークに申請というのも2種類あり、世界ジオパークに日本から推薦するジオパークを決めるもの、そして、日本ジオパークに加盟申請するためのものです。
世界ジオパークに申請する前に国内推薦候補地が、今年は、北海道のアポイ岳ジオパークと、静岡県の伊豆半島ジオパークでした。
プレゼン発表前からマスコミ取材殺到する伊豆半島ジオパークの関係者
伊豆半島ジオパークは、過去3回、講演会などで訪れた馴染みのジオパークです。伊豆半島にある15市町が参加しており、ガイド組織がしっかりしているし、外国人対応もできていますし、ジオに特化した看板も見やすいし、ジオをかじってる観光客という私からみたら、素晴らしいジオパークと思います。プレゼンもほぼ完璧でした。スライドはここにupできませんが、とてもわかりやすく、説明がすっと通っていました。そしてなにより、ずっとジオパークに携わってきた発表者の石井さんや、その後ろで応援してはったジオガイド皆さんの熱意が伝わるものでした。
アポイ岳ジオパークは昨年、国内候補に立候補したのですが推薦されず、今回はリベンジのプレゼンでした。世界ジオパークになるというのは、一つの小さな町の大きな大きな取り組みです。プレゼンでは昨年の指摘事項に対しての回答となりました。10項目以上の宿題を何とか克服しようとなさっている苦労と取組がひしひしと伝わるプレゼンでした。
審査員からの質問は、そのまま、わたしのフィールドである山陰海岸ジオパークにも当てはまります。今年は特に世界ジオパークの再審査の年。自分のところはどうなんだろうと、考えさせられる質問も多かったです。特に伊豆半島ジオパークは、ここ山陰海岸ジオパークと同じ広域連合なので、身につまされる質問ばかりでした。
■このジオパークのウリは?
■構成市町が多いが、どう連携しているのか?
■ジオサイトがたくさんあるが、ジオサイト間のつながりは?
■周辺のジオパークとの連携は?
■自分のジオパークから地球の何を伝えたいのか?ダイナミックに何を伝えるのか?世界ジオパークでは、その場所から世界・地球を語れることが大事。
■海外の世界ジオパークと関わったり学会や勉強会、ジオパーク会議に行くなどしてアピールをしているか?
■植物の話も入れて欲しい。特殊な植生のものも多い。気候だけでなく、南からやってきた事も説明を。
実際に一般住民やジオガイドができる部分は限られますが、それでもできることはあります。今からでも山陰海岸ジオパークのジオガイド、特に、山陰海岸ジオパークのガイドを代表する、とされている2種ガイドは考え方の修正が必要です。
『世界ジオパークでは、その場所から世界・地球を語れること』
いつまでも「日本海形成における地形地質風土と人々の暮らし」とテーマをタラタラ言っているだけではあかんのです。自分がガイドするジオサイトだけを語っていてはあかんのです。砂丘がすごいでしょ、千畳敷すごいでしょ、玄武洞が、神鍋が、じゃぁないんです。そんな小さなジオサイトや市町単位でなく、真に山陰海岸ジオパークをOne-Geoparkとして、地球の中の世界ジオパークとして俯瞰できるか、地球科学の発展にどう貢献したかということなんでしょうね。日本海そのものが地球上にある海ではとっても若い海であり、豊岡のコウノトリ野生復帰が世界的にすごいことであり、そのコウノトリが日本のみならず韓国まで飛来しているということであり、地磁気の逆転現象が玄武洞でわかったことで、地球のメカニズムの一端がみんなの目にわかるようになって、地球科学が発展してきたということであり・・・ここでこそ語るべきダイナミックさ、他の世界ジオパークとの違いを明確にジオガイドがお客様に伝えることができるか、これこそが大事だと咀嚼できたプレゼンテーションでした。
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今井 ひろこ
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