2/13「ジオパークセッション下北ジオパーク」(青森県)に登壇<1>産総研の渡辺さんのお話
2016/03/02
少し前の話になりますが、2/13に青森県のむつ市で行われた「ジオパークセッション 下北ジオパーク」(フォーラム)に登壇しました。演者は、産業技術総合研究所の渡辺真人さん、サコタデザイン(株)の迫田司さん、栗駒山麓ジオパークの山岳ガイド太宰智司さん、そして私の4名です。
下北ジオパークの構成市町村全域の
新聞折り込みに入ったチラシ
会場のむつ市まで、事務所のある兵庫県豊岡市から鳥取空港まで行き、そこから飛行機で羽田空港まで1時間半。乗り換えて青森空港まで1時間半で到着。そこから車でむつ市まで、何と2時間半っ!神戸空港から豊岡に行くのとほぼ変わらないくらいの距離です。お迎えに来て頂き、感謝感謝です。
ジオパークセッションの会場は、下北文化会館の大ホールで1000人以上が入れます。そんなところで、ジオパークのイベントというのは、日本ジオパーク全国大会くらいではないでしょうか? ここでさせて頂けるなんて〜!と、テンションも上がります。
セッションでは前半の2時間が4名の講演会になっており、後半が地元で活動するキーマンの皆様に登壇して頂いてのパネルディスカッションでした。私は3番目の登壇のため、前2名の登壇の途中まで会場で聞いていました。その中で印象に残っていたことをフィードバックします。
他で真似ができない価値をジオパークで生み出す(渡辺さん)
渡辺さんの講演では、ジオパークについてほとんど知らない(かもしれない)市民のために、ジオパークの基本的なあらましからお話されていました。
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ヨーロッパ発祥のジオパークネットワークは、一種の国際的なサークル活動からスタートし、ユネスコの正式プログラムになりました。ユネスコが目指すもの、それは「平和」です。ジオパークがユネスコの中で実現したいことというのは、地球科学を生かして持続可能な社会を作り上げること。戦争は土地、石油資源、鉱物資源などの「資源」の取り合いだから、平和を保つような仕組みが必要なのです。
地形・地質が私たちの暮らしと繋がっていて、経済的な価値にも繋がっています。大地、生き物、人々の暮らし、文化、様々なことが繋がっています。例えば、フランスワインのロマネコティーは、特定の地質と地形、場所の組み合わせであると定義されています。他のワインも同様です。(「テロワール:土壌と風土」を参照下さい)
地形地質がその場所だけの物語(ストーリ−)を生み、その物語が他で真似をできない価値を生み出すのです。それに近い話として、洞爺湖有珠山ジオパークでの「帆立貝と有珠山の関係」があります。
下北半島の特徴は、冬の大雪、暑い夏、そして山からの土が肥沃な平野を生み出していること。奥羽山脈を挟んで冬は日本海側で大雪、夏は暑いフェーン現象。太平洋側の夏は親潮でやませが吹き、冬はスゴイ風です。そして、山は崩れて、肥沃な平野を作っています。これらの風土が4つの海を形成し、この場所特有の自然の恵みをもたらしています。
それを活かすジオパークという取り組みは行政と住民の協力が必要です。住民のネットワークがジオパークの基本で、行政はそのネットワークをサポートするのですが、ジオパークを観光振興や地域振興など上手く地域で回していこうと思ったら、地形地質とは関係の無い知恵も沢山必要です。
地域の景観、文化、伝統などと、生き物や大地などの大自然とつながりが見えてくると、地球の様々なことが地球全体に繋がっていきます。そうすると、地球の中の下北ジオパークとして「地球ってすごい、その地球の凄さの中でこんなところが下北で見られる。地球の上に様々な人たちがいるけど、下北の人はこんなところが面白い!」と語れるようになります。
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下北半島をジオパークに、という活動は5−6年、もうなさっているとの話でしたが、2年前に満を持して日本ジオパークに申請した時は、下記の理由で見送りとなっています。
そのため、再度テーマから活動内容からすべてを見直して、今年春に再び日本ジオパークへ申請書を出す予定です。担当者は「前回見送りになったのが地元としてもショックだったんでしょう。『なんで見送りになったの?!』という声があちこちから上がって、地元の方が真剣にジオパークについて向き合うきっかけになった。それまで関わってなかった方が次々と関わってくれるようになり、前回の申請時の何倍も盛り上がりを見せてます。」と仰っていました。再申請地域に行くのは初めてなのですが、すでにジオパークになっているのよね?と勘違いするほど、地元のジオパーク認定への盛り上がりを感じました。
渡辺さんの話だけで長くなったので、明日は、サコタデザインの迫田さんの話のフィードバックをお伝えします。
2/13 『ジオパークセッション 下北ジオパーク』
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