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祭りで2万人が来場って、町の人口越えてるやん?!

   

先週土曜日に、地元香住で『香住がにまつり』が行われました。私は仕事で事務所にカンヅメでしたが、SNSで賑やかな様子が流れていました。

00071香住がにまつり

こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドの今井ひろこです。当ブログへお越し頂き、ありがとうございます。

香住がに祭りが2万人、海上花火が4.5万人来場ってホンマ?

「香住がに」とは、ベニズワイガニの地域ブランド名です。日本海は近畿地方では京都府と兵庫県が面していますが、ベニズワイガニを水揚げしているのは香住漁港だけです。7−8年前から、松葉ガニの枯渇が心配される中で、ここでしか水揚げされないベニズワイガ二のブランド化を図っているようです。

昨日のインターネットニュースを見て、おったまげました。

毎日新聞香住がに祭り

(インターネットニュースから引用)

今まではそんなもんかもと素通りしていましたが、先日、和歌山大学観光学部で受講した、観光カリスマ・山田桂一郎さんの講義を聴いた後なので、「に、2万人て?!」と引っかかってしまいました。

香美町の全人口、今年9月1日現在の人口 18,790 人(男 8,998 人 女 9,792 人)を1、200人ほど越える数値です。

7月の海上花火大会は4万5千人・・・こうなると人口の2倍以上です。本当にそんな人数が来ているんでしょうか?

祭りの人出の数え方とは?

インターネットで調べてみたら、イベントや祭りの人出の算出方法はイベントによりまちまちのようです。その辺の詳しいことを朝日新聞さんが2008年というからすでに8年前の記事ですが、インターネットニュースに今もまだ載せたままにして下さっていました。日本各地で悩んでいる人が多いのでしょう。ありがたいです!

祭りの人出記事

朝日新聞2008年8月26日「祭りの人出、どうやって数えるの?」より)

この記事から読み解くと(方式名は勝手に私が付けました)

飽和式

会場の約1キロの道路や周辺の通りなどに、最大で○万人入ると推定。さらに、開催時間に人が△回入れ替わるとみなし、△×○万人を「飽和状態」と考える。これに、例年と今年の人込みの違いを目視で比べて加減するなどして、人出をはじき出す。

積み上げ式

ホテルや旅館の利用客、高速道路や駅の利用状況、駐車場の利用客を足し、当日の会場の込み具合を勘案して算定。

交通量調査式

メインの場所を通る人をカウンターで数えて、複数の場所がある場合は場所の数だけ掛けて算出。

*****

ねぷた祭りや初詣などのン百万人という数字はどうやって数えるのかしら、と不思議でしたが、確かに上記3つはいずれも「延べ人数」ですよね。実数にはほど遠い印象を受けます。

それを考慮したのか、日本観光協会がガイドラインを作ったことが記されています。

日本観光協会(本部・東京都中央区)は96年、人出を数えるガイドラインを作った。「一定面積の最盛時の利用者×回転数×全体の面積÷一定面積」といったように、細かい算定方法を定めた。

 ところが、「どれだけ使われているかわからない」(同協会)のが悩みだ。主催者にガイドラインの強制はできず、お願いするしかない。「実態をつかめないと、観光施策にも影響が出るはずなのですが……」と嘆く。

私はこの赤字の文言に膝をたたきました!

延べ宿泊数をKPI(主要業績評価指数)に!

何故か?香住かに祭りのイベント前日の16日(金)、集落内の多くの民宿で、お客様が花火対価の時に比べて前泊がかなり少なかったからです。うちの主人の宿も例外ではありません。

どれだけイベントを打ち上げても、宿泊者数が少なければ、地域に落ちるお金は圧倒的に少ないです。「買い物してくれるんだかからいいやん」とおっしゃった方も以前にいました。しかし、人出が2万人としてその1割、二千人が泊まって下さったなら、黙っていても宿泊料だけで1万円以上は入ってきます。ざくっと2000万円が1回のイベントで町に落ちるのです。

お金

宿に収入が入ってくると宿のオーナーにお金が留まらず、仲居やスタッフの人件費、農家、魚屋、八百屋、肉屋、酒屋に波及していきます。そう、地域内で循環していくのです。日帰りイベントだと、土産屋、魚屋、京阪神から来たテキ屋しか行かないのです。(飲食イベントで帰りに何か食べようとは思わないですもんね)

私は観光カリスマ・山田桂一郎さんから「今井さん、民宿数軒の経営を立て直しても、地域全体で経済が回らないと、やがて衰退するよ。」と言われて気付いたんです。宿の経営や集客方法をただ立て直すのではなく、それが地域にどれだけ波及していくのか、地域全体の地域づくりの一環として俯瞰しないといけないことを。私が宿屋さんの経営を立て直すということは、地域全体の経営を立て直し、地域を盛り上げていくことに等しいのではないか。

それはジオパークとしてやりたかった「持続可能な地域づくり」と完全に一致します。

日帰りを増やすという作戦もありでしょう。イベントを打てば来ますし、道の駅を増やせば来ますから。その人達に1000円でも何か町内で食べてもらうことでの経済効果は確かに大きいです。だけど、1000円×1万人の商品購入を狙うか。1万円の宿泊×1000人を狙うか。私は後者を増やす努力を捨てちゃいかんと思います。

日帰り客の人数よりも、延べ宿泊数を増やすために何をすべきか。香美町には、海側だけで150軒、山間部に42軒の宿屋があります(香美町観光振興計画<平成25年>より)。昨年の延べ宿泊数は31.9万人です。日帰り客は道の駅あまるべの開業などで増えていますが、宿泊はここ数年横ばいです。

香美町観光入込数

香美町観光入込数香美町2015年統計資料参照

全部の宿が努力を重ねて宿泊者数を町全体で5%(約1万6千人)増やせば、客単価1万円としても1億円が町に落ちます。この数値こそを私はKPI(主要業績評価指数)として捉え、自分なりに出来るアプローチで、クライアント様の宿の経営を立て直していきたいと思います。

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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