観光を高収益化させ、地域の産業を支えよう〜〜観光プロデュース論1日目⑥
2016/09/10
昨日のブログ『地域振興が進まないのは食うに困ってないから?!』は題名がセンセーショナルだっただけに、Facebookではご意見が多数寄せられシェアも数件して頂きました。
私はこの言葉に妙に納得したんですが、世の中では年金開始年齢70歳論が出だしましたし、このままほったらかしだと、私よりもーっと若い世代が「本気で食うに困る」時代が来るんじゃないかと懸念しています。(国の消滅もあるか?!)
お国に頼るというよりは、住民も役人も事業者も協働して自分たちで観光で儲けていこうと考えたスイス・ツェルマットの観光マネジメント&マーケティングの仕組み(DMO)。観光カリスマ・山田桂一郎さんのお話は本当に目から鱗が続出でした。今日もその話を続けます。
※山田桂一郎さんのご紹介は下記のサイトをご参照下さい。
こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越し下さり、ありがとうございます。
地域全体で「高収益化」を意識する理由とは?
ツェルマットの人口は5700-5800人。ホテルが120軒あるそうですが、ベット数はこの20-30年で数字が変わってないとのこと。(景観条例なども含め建築基準が厳しい)
ツェルマットの町。行ってみたい〜!
宿泊の売上を上げる=「単価×数量」を上げる。しかし、数量が上げられないから、単価を上げていくしかない。
例えば、ホテルのレストランで集落内で作られた少量生産のチーズなどを使う時。集落内のチーズは高いので、他の国のチーズを使うより利幅が小さくなってしまいます。集落内のチーズを使いつつ利幅を稼ぐには、より単価を高くして、質も向上させなければいけません。質を上げる「進化」が無ければ、リピーターは納得しません。
お客様の満足度が高くなればなるほど、お客様の期待値はより高くなります。「今度はどんな楽しませ方をするの?」「今度は何が待っているの?」・・・素材を含めて全ての質を上げる必要があるのです。
(「【ツェルマット】マッターホルン
観光の合間に食べたい!名物料理5選」より)
ツェルマットの農家はツェルマットの産業割合でいうと1%程度なので、ツェルマットの農家を支えるためにも全体を高収益化しよう!そういう意識が住民全体にあるんですって。
・・・地域内のみんなを買い支えていくために、集落の外から来る人たちから、外貨をより多く獲得しよう。冷静に考えたら当たり前のことなんですが、日本はどうしてもデフレってしまう。どんだけ良い物があっても、商品に自信が無いのか価格で勝負をかけてしまう。その風潮を何とか止めたいと思うけど、20年もデフレが続くとその復活は日銀さんでも難儀してはりますもんねぇ。
「地域を経営」していくということ
山田さんは仕事で個々のお店のマーケティングのお仕事もなさっているそうなのですが、店単体の売上や利益を伸ばしたとしても、何年かで勢いが止まるんですって。
個々の収益事業の中で努力も大事だけど、いつしか限界が来る。地域が落ち込んでいるとそのマイナスのチカラには勝てない。一つの店や事業者で地域全体を救うことができない。
だから、地域みんなが稼いで地域みんなで景気を良くするしかない。個々の収益事業を伸ばすためにも、自分たちの経営が地域全体のどこに寄与するか考えていく必要がある。
私は地方にある民宿や旅館は、郷土料理を食べてお酒を飲み、泊まることで、地元の農家、漁師、加工屋、八百屋、酒屋、そして雇用も創出するから、小さいけれど、地方に於いては地域経済の循環が出来る、核となる大切な業種だと確信しています。もし、地方で民宿や旅館を絶やすと、観光で成り立っている地域の場合、そこの経済は回らなくなり、集落の中心の空洞化→消滅になります。
そのためにも、私は宿専門の集客サポートとして、各宿の経営を安定化させて、息子さん・娘さんにつないでいくサポートをしたいと、今の仕事(宿の集客アドバイザー)をしています。
でも、お店が1軒どんだけがんばっても限りがある、って仰る山田さんの言葉を聞いて、1軒2軒じゃなくて、地域全体の収益力を上げていくために、私にできることは何だろう・・・と。この山田さんの言葉は、これからの私の命題を与えて下さったような気がしました。
明日はDMOの話で、こうなればいいのにねーって山田さんがおっしゃっていた理想型についてお伝えできればと思っています。
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今井 ひろこ
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