日本型DMOってやっていけるのか?〜観光プロデュース論1日目⑦
シリーズでお伝えしてきた観光カリスマ・山田桂一郎さんの『観光プロデュース論1日目』。今日は再度日本型DMO(Destination Management/Marketing Organization)についてのお話しです。
※山田桂一郎さんのご紹介は下記のサイトをご参照下さい。
こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越し下さり、ありがとうございます。
今、日本型DMOって101団体もある!
私の事務所がある豊岡市にはこの4月から日本型DMO「一般社団法人豊岡観光イノベーション」が動き始め、京丹後市と豊岡市でインバウンドも含めた観光まちづくりを進めていくみたいです。一応、ホムペは8月に出来ていますので、詳細はリンク先をご参照下さい。
この他にも、観光協会や複数市町村で構成する観光連盟、まちづくり公社など100件近くがDMOに登録しているようです。(登録DMO一覧はコチラをご参照ください)
但馬周辺では、この他、古民家をリフォームして宿を経営と集落づくりを進めている一般社団法人ノオトさんが、豊岡市、篠山市、養父市、朝来市でDMOとして登録されています。ジオパークの範囲でいうと、鳥取・因幡観光ネットワーク協議会さん(鳥取市 岩美町 智頭町 若桜町 八頭町)が取得されてます。
日本型DMOをもう一度復習!
Destination(デスティネーション)とは、直訳すると「目的地」です。JRなどで観光キャンペーンを駅構内や列車内の吊り広告で行う「デスティネーション・キャンペーン」で知っている方も多いので、「観光地」と意訳する人もいます。(私もそうだと思ってた。)
日本型DMOというのは観光庁が「観光地域づくりの舵取りを担う法人」を作ろうと、海外のDMOをモデルにした認証制度です。もう少し具体的に言うと『既存の観光協会や商工会などを包含し、行政と連携しつつ地域を総合的. に取りまとめ、新たな市場を創造することのできる地域マネジメント組織(日本政策投資銀行資料より)』のことです。
図で示すとこんな感じ。
スイスのDMOと日本のDMO、何かがズレている?!
ここまで何回かに渡って、山田佳一郎さんから教えて頂いたツェルマット観光局(DMO)の話を聞いた後に、改めてこの図を見ると、
「何かが・・・何かが違う・・・何だ?!」
(私の大好きな金田一耕助シリーズから)
何かが微妙に違うような。
そもそもDMOは、目的となった地域全体の経営組織なので、観光や農業など特定の産業や事業の経営組織ではありません。つまり、その地域と連携する産業・事業者、共通したテーマ・コンセプトと目的で決まります。
山田佳一郎さんの話されたツェルマット観光局(DMO)の関係図は
ツェルマット観光局(DMO)の図では「地域ぐるみの活動が連動している」と書いているように、ツェルマット観光局(DMO)とブルガーゲマインデ(スイス各地の住民自治組織)が対等に協働する関係です。
この住民自治組織は、事業者や地主らの共同体で地域振興の企画を協議します。山田さん曰く「パソコンのOS(基本ソフト)、WindowsとかMacみたいなもの」。PCソフトのWordやエクセルはWindowsという基本ソフトがあって初めて動きます。土台となる「村を経営・運営していく上での信念、慣習、考え方」があってこその産業であり、教育であり、観光であり・・・
日本型DMOはさすがお役所が考えただけあって、DMOがトップダウンぽくなってしまってます。「地域住民」って一つのステークホルダーに成り下がっていて、「観光なんでしょ?私たち、観光事業者じゃないし、そっちでやってりゃいいじゃない、やりたい人が好きにやれば?」という、どことなくジオパーク活動や一部の人で盛り上がってやがて盛り下がる地域活性化の構図に似ている感じが。
山田桂一郎さんが説く日本でのDMOの理想型とは?
山田さん曰く
「こんなに多様な事業者や住民との連携を図る目的が『観光客の呼び込み』だけじゃぁ、賛同を得るのは難しいでしょ? DMOの役割は地域マーケティングと地域ブランディングを行う、地域全体で稼ぐ為の中心的な機能を持つこと!」
と仰っています。
観光に特化しない、総合的な地域づくり(地域経営)であるほど、地域に根ざしたDMOに近づくのではと仰っていました。そのため、日本版DMOの右下に書かれている手段と目的(赤丸の部分)も、
【日本版DMO】
(手段)
*地域一帯の魅力的な観光地域づくり
*戦略に基づく一元的な情報発信・プロモーション
(目的)
観光客の呼び込みを行い、観光による地方創生
なのに対し、
【山田さんが提案する日本版DMO】
(手段)
*地域一帯の魅力的な地域づくり
*戦略に基づく一元的なマーケティング
(目的)
地域内の消費額と波及効果を向上させ、地域力による地方創生
そうすることで、それぞれの関係者、住民が総合力を発揮して地域として稼ぐことが出来、地域内でのキャッシュフローをあげていき、自立&持続する地域になるとおっしゃってました。
豊岡DMOに今すぐ必要な人材とは?
「豊岡DMOを含めて、日本型DMOで今、イチバン必要なものや人材って何ですか?」って山田さんに伺ったら、速攻でひとことだけ。
「マーケティング出来る人っ!」
DMOに必要な人材について山田さんがまとめたスライドを拝見して、各企業や自治体からの出向組で、こんなに高い能力を持った方がいるんだろうか・・・と疑問符が。いや、ま、アウトソーシングでやってるんでしょう、きっと。
もしそうでなければ、IターンやUターンでこのような高い能力を身につけた方々に来て頂いて、能力や内容に見合った給料を払い、自治体や観光協会がきちんと行ってこなかったマーケティング企画&分析を行って頂く。そしてそのデータを関係者皆がきちんと活用することが早急に必要なことかもしれませんね。
それぞれの地域にあったDMO・・・明確なビジョンに基づき、顧客との関係を構築してリピートして頂くしくみ作りが急がれます。
豊岡DMOにはマーケティングする人も必要ですが、まずはDMOについて税金を払う市民が分かってないと協力もできないと思いますので、今日までいろいろとお伝えしてきた観光カリスマの山田桂一郎さんをDMOがお招きして講演して頂く機会を作って頂けたらウレシイです。中貝市長、いかがですか?!
今日はとっても長文になりました。お読み頂きありがとうございました。
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今井 ひろこ
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