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スイスでは観光局が地域全宿の顧客データを持ってるの?!〜観光プロデュース論1日目③

      2016/09/10

今日も観光カリスマでスイス在住の山田桂一郎さんの講座「観光プロデュース論1日目」の話を書いています。観光の話とは言いながら、マーケティング、ターゲット、セグメントと、経済用語がバンバン出てくる講座にワクワクしていました。

※山田桂一郎さんのご紹介は下記のサイトをご参照下さい。

兵庫県北部・豊岡市で小さな宿と店の集客アドバイザー時々ジオパークガイドの今井ひろこです。当ブログにお越し頂き、ありがとうございます!

スイスの観光局は「目的価値別セグメント」導入

マーケティングは商品を企画して商品化し販売するまでの一連の行動。その商品をどんな人に届けたいかを考えるとき、ターゲットとセグメントを考えます。観光商品でも同じ。私の主人の宿では、20代の娘と母と一緒に旅する母娘旅が人気ですが、セグメントは「大阪に暮らすOL正規社員、そこそこ収入も貯金もあって一人暮らし。離れて暮らす母に対して何かプレゼントがしたい」ということです。

さて、山田桂一郎さんの講義に戻ります。日本では、外国人観光客はどこの国の方が来られたのかのデータ取りますね。ところが、スイスの観光局では国別統計だけでなく「目的・価値別のセグメント」を導入しているとのことでした。

だって、スキーしに来る人、山に歩きに来る人など・・・スキーをしに来て、お金を落としてくれる人なら、どこの国の人でも「良いお客様」ですもんね。ちなみに、私の主人の宿では、カニをメイン食材として提供しているのと、閑散期が大型連休になる国ということでタイをメインターゲットにしてPRをしてたなぁ・・・。(こういう場合はカニの好きな外国人観光客、でいいってことね。)

目的価値別のセグメントデータを取って、目標設定をする理由は、お客様に何度も滞在して頂き、お金をたくさん地域に落としてもらうため。スキーする、山を歩くなど、目的価値別に5つの項目に分けているけど、一番上のターゲット層は年間1万ドル(一億円以上)を遊びに使える資産家(世界に10万人)とのこと。さすがマッターホルン!

マッターホルンとツェルマットの町

山田さんが居られるツェルマットの町。
ステキ〜!!絵はがきみたい♪

スイスの観光局は全宿の宿帳データを持っている?!

実は、観光局が全部の宿の宿泊データを持っているんですって!その理由は、マーケティングをする上で顧客データベース無しでは作戦が立てられないからだそうです。ちなみに日本の観光協会は全部の宿の宿泊顧客データなんて持ってないですよね。

日本では宿帳を公に提出するのは事件があったときに警官に見せるとか、マルサに見せる(うちの宿も過去何回かお世話に・・・)のみで、マーケティングに使ってない宿のほうが多いのでは無いでしょうか?

ツェルマット再度掲載。観光局の立ち位置はこんな感じです。

去年の宿泊データや満足度調査はあくまで去年までのニーズやトレンドであり、次来る時に「もう一度来たい」と思わせるためには、ニーズ(必要性)じゃなくてウォンツ(簡単に言うと「具体的欲求」)を拾うことが大事とのこと。

顧客データベースがあれば、お客様の行動履歴がわかります。特に、冬のスキースノボは1週間スキーパス(記名式)を買う客が、夏は登山列車の周遊パスを買う客がそれぞれ多く、そのパスの記録を辿れば、スキーではどの山で何回滑って、どんな買い物をしたかもわかる。このパスがあればもし山スキーで遭難しても、どの山で遭難しているか目星が付けやすく発見が早い。家に帰った後でも、自分のスキーパスの番号を画面入力すれば、いつどこで何回どの山で滑ったかが分かるようになっているんだとか。

上級のホテルになると、村内やホテル内の提携店などで使えるカードを宿泊客に渡して、チェックアウト時に精算できるようにしているそうです。お金をたくさん使う人の層に対しては、このカードで購買履歴を分析できるようになっているとのこと。ただ単にお客様の利便性だけじゃなく、マーケティングに使うことが前提なんですね!

こういう顧客データベースがあるからこそ、村内にヘビーリピーターで来るお客様が誰か分かり、20年目に来るときには観光局で表彰しているとのこと。特別なバッチを付けて滞在してもらうことで、いろんなお店のサービスを受けることも出来るし、昨日今日働き始めた店員でもどのお客様が上客かが一発で見分けられるし、眺めの良い特別席にも案内して地域全体でおもてなしをするようにしているんだそうです。そりゃ行きたくなりますわー!

ちなみに、観光局が集めた全顧客データベースは、各宿に逆に提供するのかを聞いたら、それは無いとのことでした。各宿が協力して全部データを提供するからこそ、セグメント別に分けることもできるし、村内に居る間に何をしてどこで土産を買い、どんなものを買ったのか、すべての「ウォンツ」がビッグデータとして蓄積されて、どういう商品や体験サービスを増やして行けばいいのか、作戦を練ることができますね!

このビッグデータの収集能力と「地域への顧客データベース」が日本の観光プロデュースには欠けてる・・・むむ。そもそもDMOや観光協会に宿が顧客データを渡すなんて法律(個人情報保護法)で禁じられているから、宿のデータはビッグデータ化できないんだった。。。じゃぁ、どうやってお客様のウォンツを探るのか?

山田桂一郎さんはその仕掛けを日本各地でおこなってはるとのこと。明日も引き続きお伝えします!

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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