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ジオパークでの講師やコーディネーターは有償か無償か?

   

先のブログで「ジオガイドは有償にと言いつつ養成講座は無料で行政が開催する矛盾」について書かせて頂いたところ、Facebookで多数のご意見を頂戴しました。受講するジオガイドをはじめ、講師となる先生方も矛盾を感じておられたのだと思います。その中から、今日は表題の問題「ジオパークでの講師やコーディネーターは有償か無償か?」についてお話したいと思います。

私がジオガイドを行うのはNPOたじま海の学校のスタッフとしてなのですが、町内小中学校の授業の一環で行うジオガイドの講師謝金は原則無料でさせて頂くことにしています。それは地域の子供たちの「教育」には私たちの役割が欠かせないと思うからです(但し、自然学校でのスノーケリング、磯観察など海洋リスクを伴うものは除きます)。一方、ジオパーク推進協議会や自治体などからのジオガイドの要請の場合、原則有償としています。

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ところが、今はほとんど無償です。その理由の一つは、私が活動するジオパークでのガイドクラスにあります。実はジオガイドには、2種ガイドと1種ガイドという2種類があるのです。違いがあるとしたら、2種は市町からの推薦状があるのと推進協議会のペーパーと面接試験を経て通ったら2種ガイドになるようです。それだけのことなので、自分がいつもガイドするジオサイト以外に山陰海岸ジオパークを網羅するガイドができるかどうかというガイドレベルは関係ありません。2種ガイドになった暁には、ジオパークが行う推進事業に積極的に協力することが求められています。この積極的に協力=無償で協力(交通費だけは支給)ということになっているのが現状です。

ほかのジオパークのガイドさんのご意見です。

Facebookに書き込みをして頂いた、某ジオパークのガイドさん(役場職員もなさってる)の場合。

当町では役場・教育委員会では予算組んで講師料を支払うようにしております。しかし、私は子ども郷土史講座で講師を引き受けると職務としてガイドしますので当然無償です。(笑)また、火山マイスターネットワークでは地元学校の講師には無償提供の内規があります。線引きが難しいですが、古くからの慣習はなかなか切れないものがあります。役場の職員として地元に若者が定住してもらえるようになるためには観光ガイド業等を中心とした職業が成り立つことが必要と思っています。情報化社会でガイドのトークという「切り札」が拡散されやすい状況でいかに人としてオンリーワンの価値を認めてもらうかが重要です。(T世界ジオパーク・Mさん)

また、別の意見としては、

今井さんの、対等な対価について役場が理解していないという点、非常によくわかります。役場は自治会組織等の地縁団体や各種団体と深く関わっており、役所サイドではそれらの団体には多少のお金は出すものの原則ボラティアでうごくものという認識があります。これを変えることはなかなか難しいですね。(Kさん・大学教授)

 

年金を頂いてとりあえずの生活は何とかなる方であれば、地元の発展のため、この世に生きる間にご恩奉公ということで無償で行えるでしょう。しかし、給与が保証されているサラリーマンではない、私のように自営業だとそうはいきません。だから本当に悩みます。ジオパークをPRするために自ら動かなければいけない。だけどそれは生活に余裕があればこそ。ジオガイドを食っていける職業にしたいとジオパーク関係者は望んでいるのに、人件費の予算を計上していなかったから、という裏理由で、表向きはがんばっても交通費まで、です。それでは自立した職業とはいえずほど遠いですね。

私は仕方ないなぁ、予算取りしていなかったんで無償でお願いしますっていわれたらなぁ、民間でジオパークを推進しなきゃいけないって言ってるし、と半ば諦めて受けています。その代わり、講演やコーディネート、ファシリテートする際は、できるだけ私の自由にさせてくれ、と言っています。そうして、ところどころに営業トークを入れて、かつ、新聞社の方に記事を書いて頂いたり、自分の糧となるお仕事の受注を入れてもらえるように心がけています。(それも今年度までと考えています。)だけど、そのときは無償の分だけ、クオリティも下がり気味、当然ですね。

私は後に続く講師やコーディネーターのためにも、ジオパークでの講演会、セミナー、コーディネートの講師謝金については、原則有償と全国のジオパークにお願いしたいです。ですから、役場関係者、推進協議会は、ジオパークの未来の発展のため、ジオパークの予算取りの際、業務でない方の人件費の計上をきちんとお願いします。(適正な金額とは、各行政機関で定めている支給基準です。)

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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