今井ひろこが考える理想のジオガイド像とは?
先月27日からのジオパーク全国大会では「理想のジオガイド像2015」について全国から参加するジオガイドみなさんで構築していったのですが、私の気持ちの中では大前提は「ジオパークのブランド化」です。
ジオパークになる前から私のようなネイチャーガイドなど各種の観光ガイドをされていた方にとっては、ジオパークやジオガイドの存在は「新参者が入ってきた!」感覚だったでしょう。ダイビングインストラクターだった私もジオパークって聞いた当初は「自分に関係ないし」と思っていました。石なんてお客さんに案内しないもんって・・・。
私の考えるジオガイドというのは、地上の動植物についての新たな視点を伝えて愉しむ「エコガイド」「ネイチャーガイド」に地面から下の話を伝える、という単純なものではなく、『地面の下からお空までを、いろんなネタの引き出しの中から、お客さんが知りたいであろう視点を伝えて一緒に地元を愉しむということ。』『地元の人に地元のすばらしさを伝えて、地元の人々と自然や大地の橋渡しをし、地元を元気にしていく役目』です。それには深い訳があるのです・・・
ネイチャーガイドとジオガイドの違いとは?
ネイチャーガイドやダイビングガイドなど、自然系のガイドの多くが、地元に関わっていないのではと思うのです。私もダイビングガイドでした。お客様はダイビングをするのが目的だから、地元でダイビング以外のことをすることもなく、興味も無い。地域の良さを伝える事もないんですよね。せいぜい「帰りに寄って美味しい晩ご飯の店」を伝える程度。それでは自分たちの暮らす地域の良さを伝える事ができません。
「お客さんはダイビング以外に興味が無いから」海況が悪化して潜れなくなったらすぐにキャンセル。店としては売上げにつながりません。しかし、それは視点を変えると、「海がダメなら川で愉しもう」「海がダメだったら、ハイキングに変更しよう!」「ダイビングがダメならサーフィンで!」と、少しでも収入=地元にお金を落とすことにつなげるチャンス。なぜそれができないかというと、ダイビング以外に地元の良さを再認識して、どういう風に伝えて愉しませたらいいのか。また、それも商売になるかも、ということを考えることすら、ガイド自らが拒否してしまっているのです。もし地元の良さを伝えて、ダイビングが中止になっても他のアクティビティをすることが出来れば、収入を維持することが出来るのです。ダイビングが体力的に限界になったときにも、別の種類のガイドや他の地元に根付いたビジネスを展開していくことも可能なのです。
ガイドが地域とつながれば・・・!
ガイドが地域の方と関わることで交流ができれば、持ちつ持たれつ、何かピンチなことが起こっても誰かが助けてくれます。地域の方のお友達が自店のお客様になってくれることもあります。その交流を絶ってしまって、自然とふれあう方が好きって言ってるうちは、誰も助けてくれません。案外、ネイチャーガイドって「人とのコミュニケーション(特に地元民)」が下手な方って多いんです。お客さんとはその場で出来ているのにね。
もちろんガイドの幅も地形の成り立ちを知れば、ダイビングの場合、なぜ魚がそこだけに多いのか、湧水の話や地形による上昇流とプランクトンの関係なども、地質地形が成せる技なのです。砂地も粒径の変わり目が潮の変わり目に沿ってますし、石や砂にも注目するだけで、水中ガイドの幅も広がった私です。
今までのネイチャーガイド系にない、地域活性化や地域振興的な取り組みにも参加して、地元を取り巻くいろんな方とのつながりを作っていく。専門家ともつながって、科学的根拠をしっかりと持ち、ガイドの整合性を合わせる。これができると、ガイドでお客様と話す内容が、るるぶや観光協会のWebサイトに載っているような薄っぺらいガイド情報で無く、地元の人からしか得られない「深良ぃ〜話」になるのです。それがやがて、観光バスガイドやネタが限られるガイドさんとの違いとなって、「お金を出すからガイドをどうぞ私たちにして下さい!」とお願いされるほどのレベルの高いガイドになっていくのです。それが「ジオガイドのブランド化」です。
ジオガイドとして活動を行っている方は、自分の地域だけ、でなく、ジオパークエリア全部を知って知識を深めるようにして欲しいです。井の中の蛙に止まらず、自分の居住地以外のことも積極的に学んで、地域を俯瞰することが出来るようになり、お客様にも別の地域のガイドツアーをお勧め出来るガイド。それが私の理想のジオガイド像です。

今井 ひろこ


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