「日本のジオパークへ行ってみよう」日本海新聞連載コラム・洞爺湖有珠山ジオパーク
2014/06/30
先週28日に掲載された、今月の日本海新聞コラム連載「日本のジオパークへ行ってみよう」は、北海道の洞爺湖有珠山ジオパークです。日本で最初に世界ジオパークになった3つのジオパークのうちの一つです。(残りは島原半島ジオパークと糸魚川ジオパークです。)
洞爺湖有珠山ジオパークの旅行記については、過去のブログで書いています。
*洞爺湖有珠山ジオパーク「昭和新山と三松正夫記念館」~守り伝えている人
*火山マイスターの熱い思いに触れてきました☆洞爺湖有珠山ジオパーク
*洞爺湖有珠山ジオパーク・ジオパークピザプロジェクトを五感で堪能!
今回の主役、「火山女将」こと、旅館「湖畔の宿洞爺かわなみ」の女将:川南恵美子さんの話は新聞コラムと過去ブログをご覧頂くとして、ブログに載せていないお話を2つします。
1)洞爺湖有珠山ジオパーク火山マイスターの役割
前回の旅行の際にはそれほど詳しく聞けませんでしたので、今回コラムを書くにあたり、川南さんに詳しく教えて頂きました。 日本にはジオパークが33か所ありますが、その中で最も難しい資格と言われているのが「洞爺湖有珠山ジオパーク火山マイスター」です。合格率が50%もないと伺いましたが、川南さんは娘さんも合格し、親子で火山マイスターになっています。
ーーー火山マイスターはガイド「も」しますが、第一の目的は防災意識の大切さを伝える役割で、地元の学校への出前授業や、様々な行事の中で、噴火への備えを訴える事がまずは優先です。有事の際の避難誘導はしません。むしろ「率先して逃げる!」ということ。「あの人が逃げたのだから私も逃げなくちゃ!」というお手本になる、が私達の目指すところです。(もちろん、登山中やガイド中に変化が起きれば避難誘導はします)そのうえで、自治体や行政、そして避難民の間をつなげる役割かできたら、と考えています。ーーー(洞爺湖有珠山ジオパーク火山マイスター、川南恵美子さん。)
洞爺湖有珠山ジオパーク火山マイスターの方々の「マイスターとしての誇り」。昔からこの地域でガイドをなさっている方も、今回の川南さんのような女将さんもおられますが、それぞれ自らが洞爺湖有珠山ジオパークを担っているという誇りや自信がみなぎってる方々ばかり。山陰海岸ジオパークではどうなんだろうなぁと考えさせられました・・・
2)洞爺湖有珠山ジオパークはジオパークに来た感が満載!
洞爺湖有珠山ジオパークでは、ジオパークの入り口となるような道の駅に、しっかり作りこまれたジオパーク紹介パネルが展示されていて、ジオパークへ来た感が溢れ出ていました。写真もプロが撮影したもの。ワクワクしますよね!(写真は、本格窯焼きのジオパークピザで有名な、道の駅フォーレスト276にて)
道の駅フォーレスト276は、洞爺湖有珠山ジオパークの玄関口。
さらに中心部となる洞爺湖町には、ジオパークの情報拠点施設となる火山科学館、昭和新山・三松正夫記念館、そして洞爺湖有珠山ジオパーク火山村情報館があります。
火山村情報館は民間が運営しているなど、官民あげてジオパーク普及活動に取り組んでいる様子が本当によくわかります。
ロープウェイの待ち時間や団体バスの待ち時間に見れる「火山村情報館」は無料。
いずれもパネル内容は洞爺湖有珠山ジオパークのチェックを受けたもので、テキトーに作っているのではありません。そのため、道の駅もこれらの施設もふくめて、ジオパーク内の展示資料に統一感があるのです。(→ここ大事)
山陰海岸ジオパークにありがちな、安もんぽい「貼りパネ」にワードファイルでつくったペーパーを貼り付けました、とか、シルバーのフレームにポスター入れただけのものを展示しているのではなく、洞爺湖有珠山ジオパークはきちんとプロの手で展示物を作っていることが広いジオパークで統一感を出すことに成功し、クオリティを高く見せる、文字通り「ジオパークというブランド化」を実践されています。餅は餅屋。ジオパークへの旅行だからこそ、展示物はハリボテやインスタントなものでなく、プロの手により丁寧に作るべきだなぁと思いました。

今井 ひろこ


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