火山マイスターの熱い思いに触れてきました☆洞爺湖有珠山ジオパーク
2014/05/26
今回の休暇で北海道旅行を選んだきっかけは、”火山女将”こと川南恵美子さんの宿「湖畔の宿かわなみ」に宿泊するためです。大変懇意にして下さって、旦那の宿にもご両親を連れてお泊り頂いたこともあります。若いときには全く知らない場所へ行く旅に心躍らせましたけど、今回は人を訪ねる旅に夫婦ともども大満足でした。
私と川南さんの出会いは、平成22年10月の第3回日本ジオパーク室戸大会の時。私が何と「ジオパークとビジネス」という分科会のコーディネーターすることになり、その事例発表者の一人として登壇して頂きました。
GP室戸大会分科会5「ジオパークとビジネス」
多数の参加者ありがとうございました
川南さんは旅館を営みながら、私財を投じて洞爺湖有珠山ジオパークのグッズを制作して販売されています。前年のジオパーク全国大会の際には、スタッフはじめ役場職員、議員全員が川南さんデザインのポロシャツを着て、全国各地のジオパークの見本となりました。
今回は川南さんのお気に入りの場所「昭和新山」へ案内して頂きました。川南さんは洞爺湖有珠山ジオパークの火山マイスター。全国のジオパークで最も難しいガイド資格と言える試験を突破して女性初のマイスターとなりました(現在は女性が4名居られます)。全ジオサイトのガイドをするだけでなく、いつ噴火活動が始まっても避難誘導ができるようなトレーニングを受けています。
「まずは三松正夫さんについて学んでから、昭和新山を見に行きましょう」と入ったのは、土産物屋街の端にひっそりと建つ三松正夫記念館。館長で三松正夫さんの義理の息子の三松三郎さんから説明を受けました。三松正夫さんは郵便局長をしながら、第二次世界大戦のさなか、近くの麦畑から突如として現れた昭和新山が成長する過程を克明に記録していました。それが「ミマツダイヤグラム」として世界的に有名となりました。この昭和新山を守り伝えていくために、私財を投じて火山をまるごと買い取り、特別天然記念物となった現在も三松家が所有しています。
この話は、NHK中学理科動画でも詳しく説明されています。
館長に特別な許可を頂き、ヘルメットをかぶって、川南さんの案内で入山、すそ野まで上りました。ところどころ丸い石が見えています。火山のはずなのに、あれれ、丸い石??「もとは麦畑で、川も流れていた場所に、突然火山ができたから、川原石がここにあるんですよ。」
「私、宿の仕事と子育てでとても忙しくて、マイスターになるまで、昭和新山は知っていたけど、理解していなかったの。たまたま、うちの宿を贔屓にして下さってた北大の岡田先生から「火山マイスターってのを始めるから受けてみたら?」と勧められて、マイスターになるためにいろんな勉強をしたんですよ。昭和新山に登ったときに、この山の偉大さと三松正夫さんや三松三郎さんの功績を再認識させられたの。今まで全く知らなかったことが恥ずかしく思えたんです。」
「私たち火山マイスターには三松正夫のDNAが流れているんです。この昭和新山の研究が土台となって、現在、有珠山周辺の噴火予知と防災まちづくりにつながっているの。」余りに近すぎて、生活の一部、里山として接していた、という昭和新山と有珠山。知っている「つもり」になっていたということの反省から、宿のお客様や住民に機会あるごとに昭和新山の話をなさっています。「昭和新山は日々表情が違っているんですよ。わたし、火山性ウイルスに感染しているのか、本当にかわいいく思えるし、ところどころから出る湯気のモクモク具合が愛おしく感じるの。」
ジオパークにはこのように地元の宝という新たな生きがいを見つけたガイドが多いです。ぜひこういう方に逢いに行く「ジオパーク旅行」をなさってください!
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今井 ひろこ
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