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ジオパークは「温故地新」~神戸新聞掲載「見る聞く」から<3/終>

   

県内各地では10年前に平成の大合併が行われ、自治体が再編されましたが、合併後の市町の一体感は未だ完全ではなく、結果、地域への愛着心が希薄になり、地方では若者や企業の流出が止まっていません。地元に残った数少ない若手の担い手たちが地域づくりに関わり続けていくためには、既存の枠組みを超えた真の連携が必要です。

山陰海岸ジオパークは海岸沿いにある京都府京丹後市から鳥取市北部までの3府県3市3町にわたります。自治体間の連携は観光部門では存在するものの、民間レベルではジオパーク以前には連携がほとんど無かっただけに、ジオパークになってからは交流が進み、連携や仲間づくりが行われるようになりました。フェイスブックなどのソーシャルメディアを活用して連絡や相談をし、そこで知り合った人同士でお客様を紹介したり、互いの店をPRするなどした結果、商圏が広がって売り上げが上がったという事業者や、まちづくりに参画する学生たちも見受けられます。いずれもジオパークに関わるまでは全く知らなかった人たちで、ジオパークがあったからこそつながった人脈なのです。

ジオパーク但馬交流会
ジオパーク&但馬交流会の様子

今、地方では未曽有の人口減少に直面しています。このまま何も手を打たないと、労働人口の減少から経済成長の鈍化を招き、地域社会の縮小、そして国・地方財政の存続が危ぶまれます。それらを食い止めるには、住民や事業者、自治体の総力を結集して連携を図って人口減少に伴う諸問題を解決していかなければいけません。諸問題を解決するべく自分たちの地域を見直すための「ジオパーク」です。

但し、ジオパークには即効性がありません。むしろ、ゆるく長く続けてこそ効いてくる漢方薬のような存在です。

漢方薬

ジオパーク登録を「きっかけ」にして、連携によって仲間を増やし、商圏を広げつつ、地域資源も生かせたら生かして、自社を儲ける。そうして地域盛り上げ活動も行って、地域貢献もする。漢方薬のようにじんわりと。地域振興も手段の一つとするジオパークを自社ビジネスに活かすというのは、そういうことだろうと思っています。

B級グルメや単発イベント、着ぐるみキャラクターなどの即効性に頼るには限界が見えてきています。真の地域づくりには約30年かかります。子供が生まれてから地元の学校へ通う間に地元の誇りを醸成し、大学や就職で都会へ出て生活をしている間に、地元で独り立ちできるよう手に職をつけ、そして結婚してから地元に帰り、地元で商売を始めて地域を支えるとなると、30年計画で進めていかなければなりません。労働人口をこのようにして確保した上で、さらに観光に関しては訪日外国人の受入整備を進めて、現在の国内旅行と合わせて観光地での消費を加速させて税収を上げ、地域づくりへ還元します。そうすれば、若い人たちから年寄りまで生き生きと暮らせる集落となり、避けられない人口減少の中でも、残っていける集落となるのではと考えています。

ジオパーク30年計画

 

ジオパークは温故知新。ジオパークだけに、私は「知」を「地」に変えて「温故地新」と言っていますが、地形地質、気候風土に根差した暮らしをもう一度足元から見直し、新しいものや産業を創り出していくための活動です。私の暮らす山陰海岸ジオパークにはまだまだ私の知らない潜在価値(=地域の宝)が埋もれています。それを生きている間に一つでも発掘し、磨きをかけて世に出して、地域を輝かせる光に育て、子供からお年寄りまで生き生きと暮らし続けることのできる地域になるよう、今後も活動していきたいと思っています。

 

潜在価値発掘ひとつでも多く~神戸新聞掲載「見る聞く」から
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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークとは?, ジオパーク講演会, 新聞コラム, 講演・セミナー活動

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