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観光ガイドを有償化すべき3つの理由(3/3) 産業としての「観光」に各自治体が本腰を入れ始めた

      2018/01/23

何度も申し上げていますが、私が観光ガイドガイドを有償化したいという思いの先にはガイドを「職業」として認知させ、地域で雇用に結びつけたいという理想があります。

ということで、先日から、私が思う「なぜ(観光)ガイドは有償化しなければならないのか?」をブログでお伝えしています。

 (1) ガイドはボランティアでするもの?

 (2) 運営費の問題、そして複業の一つにガイド業が必要であること

今日はその理由の3つ目として、これからの「観光業」の自治体での位置づけが鍵になります。それについて、観光カリスマの山田桂一郎先生や和歌山大学観光学部の出口先生、竹林先生から学んで咀嚼した、私なりの考えをお伝えします。

3)産業としての「観光」に各自治体が本腰を入れ始めた

自分の市町の人口推移、経済や財政状況がどうなっているのか、見ている人は恐らく少ないのでは?

私も藻谷浩介先生の講演会を聞いたり、山田桂一郎先生に師事するまでは全くといっていいほど見ていませんでした。

数字が意味することすら、誰も何も言わなかったですし、SNSで発言する人もいなかったです。

各自治体では「総合計画」を立てて、自治体のゴール設定をし、それに沿って施策をおこなっています。ワタシの住む香美町はH28年度から10年間の第二次総合計画を立てており、Webで一般町民も見ることができます。

もちろん、統計データも見ることができます。(→香美町のは数字の間違い多いけどネ)

私の町を例に紐解いてみると・・・

①人口が確実に、それも激しく減っていた!

住民基本台帳ベース(毎年10月1日値)で見ると、H20年が20532人、H29年が17156人で、わずか10年の間に3376人、20%弱も減少しています。当然、生産年齢人口も子供も激しく減っています。

私が暮らす集落の小学校も、わずか6年ほどの間に全校生徒が半分ちょっとになって、一部は複式学級になっています。

(2010年は65人いたのに、2016年は34人に。)
(児童数生徒数情報Gaccomより転載)

町内小学校の児童数は目減り。私の集落の子供が通う中学校は一クラス当たり20名を切り、町外や私立中学へ通わせる親も増えています。

この状況はこれからもっと深刻になります。

平成27年10月に発表した香美町人口ビジョンによると、

2060年(H72)における香美町の人口は11,200人 を目標とする

・総人口 2010年(H22)19,700人→2040年(H52)13,500人→2060年(H72)11,200人
・合計特殊出生率 2010年(H22)1.84→2040年(H52)2.12→2060年(H72)2.30
・2016年(H28)以降、毎年10世帯の若い世代の移住で実現

ちなみに、合計特殊出生率ですが、昨年2017年6月の記事では、国の出生率(速報値)は1.44

(上記JIJI.COMから抜粋)

香美町は全国平均から見ると相当イケイケの人口計画と、若い世代の移住計画を立てていることが分かります。(現状、2016年から何組が移住しているのかは調べ切れていません。)

②町内総生産はガタ減りに。

GDPとは国内総生産額を指し、いわば国の生産能力を示すものですが、市町村でも同じようなデータがあります。(香美町の場合は統計データに掲載されています)

それをグラフで表してみました。

特に落ち込みが激しいのは第三次産業です。10年間に第一次〜第三次を足して30%も減っています。30%というと、「そっか、結構落ちてるな」と思うだけでしょうが、その金額は、504億円→344億円と160億円も落としています。

漁業、林業、建設業が基幹産業と思われていますが、平成27年の第一次産業&第二次産業を合わせた金額以上、落としていると気づいたら、それは愕然とするでしょう。私もこの数字を見て唖然としました。人口はこの10年間では15%しか落ちていないのに。

産業別の過去データはインターネットには落ちていないので、10年前より何が落ちているのかはわかりませんが(県庁の統計センターでは閲覧可能です)、相当の落ちようは明白です。

ちなみに第三次産業とは、金融、保険、卸売り、小売、サービス業、情報通信業、不動産業などです。

この落ち込みから、地元の事業者や住民が町外から資材調達する(=町内の業者を使ってない)ため、町中の経済循環は良くないことが伺えます。

人口減少、町内総生産額のガタ減り度が示すように、人口減少は町内の消費活動を縮小させ、ゆくゆくは生産活動も停滞していきます。元々人口の少ない地方では、都市部より人口減少が地域経済に余計に暗い影を落とします…トホホ。

観光がもたらす経済効果を最大限にしたい!

今の消費・生産活動のままで地域経済を活性化するためには人口増加させるしかないですが、出産適齢年齢の女性が減っているのと、働く女性の出産を好まない、優しくない社会が続く限り、それは無理です。(私も子供いませんし)

また、都会の若い夫婦の移住も全国の地方で取り合いになっていて、香美町だけ爆発的に増えることは望めません。

そのために地方では、人口減少分の消費額をちょっとでも補い、地域経済をちょっとでも回していくために、地域外からの観光客や短期滞在者などの「交流人口」を増やすことに取り組んでいます。

特に大切なのは、山田桂一郎先生の言葉で言えば「町内の経済循環を活発にさせて、入ってきたお金は一円でも多く漏らさず町内にお金がグルグル回るよう、一次消費、二次消費など、できるだけ域内調達率を上げる」です。自給自足じゃないので、外から買わざるを得ないものがありますが、その経済循環ができているのが山田先生の暮らすスイス・ツェルマットです。

多くの中で「観光」は多分野への経済波及効果が大きい産業です。

観光客が増えれば、宿泊や食事、土産品の購入等が行われるほか、宿屋や小売店、飲食店などは、すぐに雇用を増やして対応するので、町内雇用が増えるだけでなく、近隣市町からも働き手が来るはず。(浜坂道路ができたもんねー)

観光庁のデータ「観光の現状等(平成29年9月15日)」によると、定住人口1人当たりの年間消費額は124万円。

香美町は直近のH28年からH29年の一年では150人減少しています。もし、その人たちが町内で全額消費して下さっていたと考えると、150人×124万円=1億8600万円の消費行動が町内から黙って消えていることになります。

その「定住人口1人当たりの年間消費額」の124万円という金額は、外国人旅行者8人、国内旅行者(宿泊)25人又は国内旅行者(日帰り)79人の地域での消費額に相当します。

一人あたりの金額に換算すると

外国人旅行者・・・155,000円
国内旅行者(宿泊)・・・49,600円
国内旅行者(日帰り)・・・15,700円

香美町はカニ料理を日帰りで食べる観光客も多いですが、その時期は雪の少ない11月、12月、3月に限られます。それ以外の日帰りで考えられるのは海水浴ですが、日帰りの海水浴客使う1万6千円は、その殆どが交通費でしょう。それでは香美町には落ちません。

むしろ町へ落としていくのは、言葉は悪いですが、トイレへの糞尿とゴミだけという可能性も。日帰り客だったとしても一銭でも多くお金を町内で消費させるには何をすればいいのか、真剣に考えなければいけません。

自治体が使うデータに「観光入り込み数」というのがありますが、これは日帰り客も宿泊客もすべて入れている数字です。町内にお金を落として下さる宿泊客に注目せず、入り込み数だけ増えた減ったと追っているようでは宿泊客増加は見込めません。

今後増やして行くべきは消費額の大きい国内の宿泊旅行者、そしてインバウンドです。国内人口は減り続けているので増やすのは至難の業ですが、その一方でインバウンドはビザ緩和などもあり、どんどん増えています。

特に関西国際空港の利用率が高く、近畿地方の北端とはいえ、城崎温泉に来ている観光客をさらに呼ぶことは不可能で無いと思います。

宿泊、料理以外にも町内でお金を使って頂くひとつの術が「ガイドツアー」です。ガイドがお勧めする場所、展望台、食事処、例えば街中を歩くツアー中に出会って話をしてくれる住民の皆様…その総合力でガイド料を稼ぎ、寄る店にお金を落とすことがガイドのチカラで可能になります。

ガイドは地域経済を回していく大事な戦力になります。特に若い人たちの中から、地元で稼ぐ観光ガイド、アクティビティーガイドが誕生することは、長い期間、地域経済を支えることに等しいです。

土産物も裏を見れば新温泉町、鳥取市では町内にお金が回らないです。香住・柴山は上質の海産物がわっさとあります。それらを使って高付加価値な商品・サービスを高収益性が見込める形で提供する「地消地産」を推し進めることが必要です。

最近では大徳醤油さんと但馬漁協がコラボして美味しい魚醤を多種類作っています。

(ホタルイカを使った魚醤。イカの風味がバツグン!パスタにオススメ)

そういうのも観光客に売るだけではなく、町内の民宿や料理店で実際に調理に使って、更に消費を増やしていく努力も必要です。

これまで観光に興味無かった自治体が観光に動き始めた

香美町は昔から観光産業が主要産業の一つになっていますが、あぐらをかいていたかもしれません。今、観光産業に注目してこなかった地域がどんどん名乗りを上げ、日本版DMOを整備し始め、新しい形の観光を提供し始めています。

山田先生によると、自動車産業で有名な愛知県豊田市は、今まで観光とは無縁の工業都市でしたが、日本版DMO「一般社団法人ツーリズムとよた」を立ち上げ総合アウトドア「スノーピーク」と組んで観光振興計画を進めています

「使い古された観光地より、注目度の高い、新しい観光地へ行きたい!」

と思うのは、新しいもん好きの但馬人なら分かるはず。

真剣に地域づくりに向き合っていく地域こそが観光でも生き残っていく。そう山田桂一郎先生も仰っていました。

「観光まちづくり」じゃなくて「地域づくり」なの?

そう。世にはびこる「観光まちづくり」という考え方、山田桂一郎先生は「間違っている」とバッサリ切ります。

観光地から「感幸地」へ

山田桂一郎先生曰く

「観光庁で月に一度、研修をしているが、その冒頭で「観光まちづくりというのは止めましょう!」と言ってます」

観光に携わる人だけが頑張っていても、その地域そのものが良くなって豊かにならないと住民が流出するだけです。先生の著書「観光立国の正体」のP.75 以降に以下の記述があります。

 地域内の人間関係も重要です。地域内の住民同士のコミュニケーションが悪いと外部の人間である旅行者も気づきます。実際、移住者と地元民の人間関係が良好なところほど地域全体のあらゆる活動が活発で、お客様からの評価も高くなります。
(中略)
 旅先での良い思い出の多くは、その地で会った素敵な人たちのことが記憶に残ることで成り立っています。
 今後、職場環境から生活環境まで、豊かさを実感できる地域になることは、観光・リゾート地としてとても重要です。だからこそ、これからはただの「観光地」ではなく、旅行者や住民にとって幸せを感じられる地域としての「感幸地(かんこうち)」を目指すべきです。

まさに「住んでよし、訪れてよし」。住民が自分の地域に愛着を持てて、誇りが持てて、生活に対する満足度を高めていければ、自ずと観光客は増えます。

地域再生は観光業者だけではできません。

住民総力戦ですよ!

山田桂一郎先生はそのように仰っていました。

そのお手伝いができる役柄のひとつが、ジオパークガイドなどの『観光ガイド』だと思っています。地域住民へ、そして観光客へ地域の誇りを高品質に伝えること。

そうして、地域にお金が落ちる仕組みをガイドが作り、実行し、香美町に訪れる観光客の満足度を上げていくことが、町内経済を支えるたくさんの手のうちの一つになるはずだし、私はそれを信じています。

これをお読みの観光ガイドの皆様、一度は、お住まいの市町村のデータをご覧になって、地域の置かれている経済状況、人口減少などをしっかり把握した上で、「この町の経済は私も支える一つの手になるはず!」という意気込みで質の高いガイドを目指して下さい。

当テーマの講演会・セミナーの予定

9月末の茨城県水戸市、12月の愛媛県西予市に続いて、2回予定されています。

明日23日、小代ガイドクラブの例会で(小代地域局・19時〜)香美町のデータを用いてお伝えします。

来月17日(土)は山形県長井市で講演を行います。ジオパークガイドの楽しさと共に、今回のテーマをお話しします。

地元で暮らす若い人たちへの新たな職業づくりとして「観光ガイドの有償化!」それをジオパークから広げていきたい私の夢と希望をお伝えしてきます!

 

(観光)ガイドを有償化すべき3つの理由 (1)(2)(3)

 

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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