スイスと日本の観光協会の違い〜観光プロデュース論1日目②
昨日から、観光カリスマでスイス在住の山田桂一郎さんの講座「観光プロデュース論1日目」の話を書いています。今日は、スイスのツェルマットという町の観光マネジメントについてお伝えします。日本の観光協会や役場の観光課とはドえらい違いです・・・
兵庫県北部・豊岡市で小さな宿と店の集客アドバイザー時々ジオパークガイドの今井ひろこです。当ブログにお越し頂き、ありがとうございます!
「どーも参った!おもしろない」・・・では無い”日本版DMO”とは?
「日本版DMOって言うけど、日本版という時点で上手くいかないの、目に見えてるでしょ?!」って・・・ひょえー!開口一番からこの発言〜!その真意を伺うべく、DMOの先進地、スイスの観光局についての話を伺いました。
そうそう、DMOというのは、「どーも参ったおもしろない」の略ではなく、Destination Marketing Organization(直訳すると、目的地をマーケティングする組織)。豊岡市が設置したDMOでは「観光に着目したまちづくりを進める組織」と書いていましたが、私は豊岡の各観光協会や観光関係の鉄道、道の駅などを束ねる上部組織のようなもん、と思っていました。私もよく分かってない部分があり、また、何をやっているのか市民には見えてないので、豊岡DMOさん、大丈夫かなぁ・・・?
スイスの観光局と日本の観光協会の違いって?
さて、山田さんが活動するスイスのツェルマットはスイスアルプス・マッターホルンの麓の町で、人口は5000人くらい。電気自動車や電気バスしか走っていないんだそうです。車はもっと手前のところに駐車してそこから移動みたいです。
ツェルマットの観光マネジメントの図が、日本政策投資銀行さんの資料の24ページにあるので、それを見せて頂きながら説明して下さいました。
日本の観光協会はイベントをしたり、駅やマスコミにプレスリリースなどをしている組織ですが、日本の観光協会にあたるツェルマット観光局はイベントは行わない。イベント屋は他にいるから、そういう専門の会社がおこなっているようです。では何をしているかというと、基本的にマーケティングとブランディングしかしない。予算は日本円で8-9億くらい。約4割は人件費で、4億弱がマーケティング費用。
イベントもやるけど、4000万円程度。イベントは確かに人を集めるけど、その観光客がお金を地域に落とすとは限らない。テキ屋にお金が落ちたとしても地域の外に出ちゃうでしょ?日本の観光イベントって、人件費が高い役場の職員が動員されているから、本来、割に合わないことをしているんです、って。なるほど!
そもそもマーケティングとは
マーケティングとは、お客様が本当に欲しい商品、製品、サービスを作って、値段をつけて、お客様にちゃんと届けて買ってもらう活動すべて。企画から販売までやらないとダメ。中間業者が入ると利益が取れないから、自分たちで商品を売っていかないといけない。
日本の観光協会は、お届けしようとするプロモーションはするけど、商品は無くて、素材しかない。素材だけプロモーションしてもお客さまは来ないですよね?
・・・確かに、観光協会のPRは素材からスタートしてはるなぁ。。。
住民自治組織と企業、観光局が協働して町を運営
経営を行っているのは、ブルガーデマインデ(Burgergemeinde)という住民主体の自治経営組織(共同体って感じ?)。但馬でいうところの「○○区」という集落毎の組織のようなもの。温泉区に似ているかな? この組織が、町内の土地の所有権を持っていて収入もあるし、博物館などの運営をして、そのお金で水源や森を保護管理する。そして、町内にあるホテルや観光みやげ屋さん、農家さんなどの民間組織とさらに観光局と、みんなが協働して地域づくり=観光マーケティングをおこなっているんですって。
スイスの観光まちづくりは、日本のような、地域の観光は役場観光課と観光協会だけが考える、という他人任せな地域づくりでは無いようです。
この形がDMOの目指す姿。ところが日本版DMOには決定的に欠けているところがあるんだそうです。それは明日。
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今井 ひろこ


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