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黒川温泉では地域共創で世代交代! 観光振興セミナー2015大阪・聴講記<3>

   

昨日の続き、じゃらんリサーチセンター主催の観光振興セミナーでの三田愛研究員の研究発表「地域共創(コ・クリエーション)」の続きです。

現在4年目に入っている地域研究は、熊本県の阿蘇郡南小国町の黒川温泉で行われているそうです。黒川温泉は30年以上前は、誰にも知られていなかったような、小さな小さな温泉地でした。ですが、そこを何とかしなくては未来が無いと思った、当時の青年部(今の親世代)で旅館をしていた方々が、それぞれの宿にある露天風呂だけでなく、無かった宿では新たに露天風呂を作って、を黒川温泉に来る宿泊客に、温泉手形を作って開放。温泉の露天風呂ブームに乗って、一時期は40万人(平成14年)も来るような九州指折りの人気温泉地になりました。

黒川温泉

ところがその40万人を境に減少していき、平成24年には30万人を割り込みました。そこで、現在の青年部、つまり、最に黒川温泉を盛り上げた親世代の息子・娘が中心となって、地域共創を行っていきました。

大事なのは、感覚でなく「データ」による客観視。親世代と青年部世代の認識ギャップ、つまり、強烈な成功体験が無い青年部世代のほうが厳しい現状を認識し、話し合いの土台に共通理解を生むことが第一段階でした。

そして、今までは旅館経営者だけで行ってきたのを、青年部を中心に農家、商店、役場、町長、県庁、親世代、女将、スタッフなど、多様なステークホルダー(利害関係者)が集まるセッションを月一回行い、地元での垣根を越えた話し合いを重ねたそうです。最初は様子見だった人も話を聞きつけて参加者数が多くなっていったそうです。その結果、旅館組合の要職に若手が抜擢されて、世代交代が進んだそうです。(⇒これ重要)

地元だけで無く都会からもお客さんに来て欲しいのだからと、渋谷や福岡で観光まちづくりのセッションを開催して、都会の人も地域づくりに巻き込んでいったそうです。確かに、大阪や京都、東京などの大都市圏に暮らす若い人でも、田舎の地域づくりに興味ある人が居られます。そういう方々に「第二町民」として、一緒に活動して頂くことで、まちづくりの輪が広がっていきますね。

そうして、黒川という地域、観光業という垣根を越えて、今回の異業種メンバーでまちづくりNPO「みなりんく」を立ち上げ、一時的なイベントに終わらない、継続的な活動基盤がを創ったそうです。

そうして、何が起こったかというと、NPOから立候補した42歳の方が新町長として16年ぶりに新人当選。そのほか、最年少女性組合長(37歳)誕生、組合の理事が全員30-40歳代と世代交代がますます進み、様々な変革を起こし続けているそうです。

外国のお客様にも黒川温泉を知って欲しいと、この地域共創を支持する都内のクリエーターに動画「KUROKAWA WONDERLAND」製作を依頼し、出演者をすべて地元住民で製作したところ、大きな反響を呼び、パリ、ロサンゼルス、スペイン等々で映像賞を受賞するほどだそうです。

黒川温泉

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このように、まずは地域レベルでグループや団体の垣根を越えた地域共創をスタートさせ、次に地域を横断して、都会や近隣市町との共創をして展開させていき、それら頑張って世代交代や良い変革を起こした地域で連携して、他の地域に希望のたね火を付けていこうと、三田研究員は仰っていました。

地域共創をするには、まずはコアチームを作って火を起こします。思いに共感したした異業種の方々3-5人でいいそうです。火おこしが一番肝心なので、丁寧に確実に行います。そして、少しずつ種火を広げていくのですが、思いの火が消えないよう、風(刺激)、薪の組み方(仕組み)、水(やる気の消火)に気を付けながら広げていくのがコツだそうです。

但馬で私の知っている地域共創の動きは、城崎オンパクで見られます。城崎温泉(城崎町)の中だけでなく、隣町の竹野町、美方郡香美町でも連携が進んでいます。その中で取り組むプログラムも観光業者だけでなく、工務店、写真店、酒蔵、バス会社など・・・これこそ共創ですね。これが都会のお客様にも広がってきて、一緒に企画運営することができれば、もっとステキになるでしょうね。(ちなみにうちのNPOでは11月10日(火)に香住に揚がるカニ5種類の食べ比べ講座を行います。)

それ以外の地域では、どうしても観光協会だけ、漁協だけ、農協だけ、加工組合だけ、という活動で終始しています。何故、連携が取れないのか・・・と不思議でならないです。旧態依然とした昭和の対応では、もう時代に取り残されてしまいます。今こそ、動かないでどうします?! 香美町では若者まちづくり懇話会などの活動が進んでいますが、まだまだ町の中での世代交代に結びついて居なさそうなのが心配です。

地域共創は最初に目標(北極星)を見つけ共感をすることから、全ては始まります。自分の地域をこうしていきたいという目標を異業種の方々で語ってみてはいかがでしょうか?

 

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - コムサポートオフィス, 地域活性化, セミナー聴講記, 田舎での商売心得, 観光

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