5/10竹野・海浜植物の観察会<植物編>
2014/05/16
山陰海岸ジオパークは東西120kmと広く、ジオパークの持つ海岸線もとても長いです。中央部にあたる但馬(兵庫県北部)は殆どがリアス海岸で、砂浜はそれほど大きくありませんが、その両サイドにある鳥取砂丘や久美浜は長い距離の砂浜です。なぜこれほどまでに違うのかというと、海岸及び近くを流れる上流部の地質に依ります。白砂青松の浜が広がる場所はいずれも、学校のグラウンドで使われる真砂土(まさつち)の原料・花崗岩でできています。これらは日本列島がまだ大陸にあった7000万年前ごろの地層です。
山陰海岸ジオパーク周辺の地質図で花崗岩だけピンクに色分けしたもの。ピンクがいっぱい!地図は日本シームレス地質図より
鳥取砂丘に比べれば小さな但馬の砂浜ですが海浜植物が豊富です。先生から頂いた資料によると
砂浜は海水と塩分の多い潮風の影響を受け、水分が少なく強い日差しが照りつける、植物にとっては大変厳しい環境ですが、そういった環境に生育する海浜植物には、いくつかの共通する特徴があります。
*厚くて硬い葉を持つ
*地下茎が発達する
*背が低くて地表を這う形のものが多い
そういう話を伺いながら植物を一つ一つ見ていると、可愛い花から厳しい環境が垣間見えて、まるで人間模様を見ているかのようでした。
当日出会った植物を一部ご紹介します。昨日お話したハマニガナやスナビキソウの他には
ハマヒルガオ
ハマダイコン。新温泉町浜坂ではこれを利用してドレッシングなどを製造し、
ジオブランドとして販売しています!
こちらは8月に咲く「ハマゴウ」です。地下茎でつながっていて、少々のことでは飛ばされないような繁殖戦略が取られています。ただ、砂が無くなってしまっては元も子もない。。。ちなみに草ではなく「木」です。
ハマゴウの芽
岩にへばりついたシャリンバイ。都会では街路樹になっているので、よく見かけるかもしれません。潮風や乾燥に強いのと太陽の光にも強いので、街路樹として利用されているのだとか。
シャリンバイ
沿岸部では、対馬暖流の影響で温かいところに育つスダジイやヤブニッケイなどの照葉樹林が育ち、その足元ではこの地域特有の植物が育っています。
こちらは珍しいムサシアブミ。真ん中に筒のような不思議な形をした花の部分があります。猫崎半島周辺で見られます。
ムサシアブミ(県レッドデータブックCランク)
この日はギリギリ咲いていなかったので後日撮影してきました、タジマタムラソウ。
タジマタムラソウ(県レッドデータブックCランク)
先生曰く、タジマタムラソウはその名の通り、但馬で見つかったものですが、鳥取県~兵庫県~京都府(宮津)の日本海側にのみ分布しているそうです。つまり・・・山陰海岸ジオパークエリアとほぼ一致するのです!すごいですね!!この花を「山陰海岸ジオパークの花」として売り出せないかなぁと先生は仰っていました。私もその案に賛成!
竹野の海浜植物の見学の翌日は、香美町小代で山間部の植物を見学しました。続きは後日に。
今井 ひろこ
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