百聞は一見に如かずってこのこと!平成新山を知っていましたか?
島原半島の旅の続きです。土曜日には、島原半島ジオパークガイドの長谷川さんにガイドをお願いして、島原中心部から口之津港まで案内して頂きました。(口之津港は翌日の講演会場でもある天草へ渡るフェリーが45分おきに就航をしている港です。)
長谷川さんは約30年に渡ってホテルの営業やフロントをしたほか、語り部ガイドとして約10数年活動されています。島原半島ジオパークガイドでもベテラン組です。2011年の日本ジオパーク洞爺湖大会で私が登壇したことを覚えておられ、ガイドできて光栄ですって仰って下さいました。よく覚えて居られました!私のほうがありがたいです!!
さて、まず向かったのは鯉が泳ぐ湧水群。江戸時代の噴火で眉山がものすごい山崩れを起こして島原中心部から海まで埋め立てたのだそう。埋め立て地で湧き出した水は名水百選に選ばれています。
今では湧出量の多い湧水を水路に流し、鯉も泳がせて観光も役立ててきました。
医者の別荘として使われた四明荘ではアテンドの方が着物を着て案内して下さいました。湧水の言われもきちんとジオパークの事を入れてお話下さり、流れ来る湧水の如く流ちょうな語りで、湧水で入れたお茶も美味しく頂きました。ありがとうございます!
その後、海岸近くの「がまだすドーム」(雲仙岳災害記念館)へ。がまだすってのは頑張るという島原の方言だそうです。
ここでは平成新山の噴火と溶岩ドーム崩壊などの様子や亡くなられた報道関係者の器材が保管展示されています。噴火と火砕流発生の様子についてもマルチビジョンで迫力在る映像と地面が動いたり、熱風が出たりする部屋で観賞できたり、ガイドの方がグループに1人ついてしっかりと説明をして下さるので、新聞やネットよりも深い内容を知ることが出来ます。ここは島原半島ジオパークの拠点施設ともなっていて、全国のジオパークの紹介展示も見ることができます。
その近くにある道の駅「みずなし本陣ふかえ」の横にある「土石流被災家屋保存公園」では土石流に巻き込まれて埋まってしまった家を展示しています。土石流は山頂付近の火山灰や岩石をちょっとの雨の時にも麓へ押し流してしまうのですが、麓のほうへ流れていくときには威力も少なく、建物が倒れる程の勢いではないようで、建物の中に静かに土砂が流れて埋まっていったような感じでした。阪神淡路大震災の淡路島の資料館と同じく、こういう災害の記録は風化させないように保存し語り継ぐことが必要だと思いました。ガイドの長谷川さんも家が土石流の被害に遭い、4年半ほど避難をし、7回も引っ越しをした苦労話を聞きました。
約1億7千万立方メートルの土砂が噴火で出て、今も1/3は山に残っているため、土石流で流れた土砂を海岸に埋め立てたり、麓の集落を最大8mかさ上げしたりして、土をリサイクルしているほか、国交省による大規模な土砂ダムの建設や導流堤(土石流を安全に海へ流すための堤防)の設置も行っています。その様子は川の側にある大野木場砂防みらい館の展望台からみることが出来ます。長谷川さんのガイドがこの施設だけめっちゃマニアックで詳しかったのですが、ここで3年間ガイドを担当していたということで納得!土木科などへの進学希望者は是非ガイドを受けて欲しいです!
火砕流って300℃から600℃の火山ガスや水蒸気が一瞬にして吹き流れて、その被害にあった小学校も痛々しい姿を資料として残していました。避難した後での火砕流だったから人的被害は無いのですが、地球のエネルギーってほんまにスゴいです。
私も勘違いしていたんですが、雲仙普賢岳と平成新山は全く同じではなく、普賢岳の脇からニョキニョキ成長した山が平成新山で、これが悪さをしたんです。普賢岳は今でも入山禁止エリア(半径2km以内)に入っていますが、遠くから眺めると静かな森を持つ普通の山でした。
私が知る平成新山の災害はテレビや新聞でしか見たことが無かったんですが、そのスケールの大きさに驚くことばかりでした。記憶の中のイメージの10倍以上、スケールが違っていました。テレビで満足することなく、災害から二十数年経っていても、実際に足を運んで体感することの大切さを学びました。

今井 ひろこ


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