自然の造形に思わず息を呑む竜串海岸〜土佐清水のジオパーク講演会外伝
土佐清水市でのジオパーク講演会の前日、15時半に土佐清水市に近い土佐中村駅に到着しました。そして、更に車で走ること40分で、この日の目的地・ジオサイト候補地の竜串へ到着。私のフィールド、JR山陰本線佐津駅を6時48分に出発して、乗り換えにそれほど時間を要していない(30分程度かな?)のに、9時間半かかりました。これなら車のほうが2時間程度早かったですね。聞けば、東京から本州で最も時間がかかる場所、ということでも有名らしいです。その方が1泊2日じゃなくて、私のように2泊〜3泊と滞在日程が長くなるので、地元にお金も落ちますね。高速道路が発達しすぎても日帰りが増えるし、痛し痒しです。
竜串に到着して、何に驚いたかというと、駐車場のバス。表記が外国語!日本人の車は私たちだけのようでした。実際に現場に行ってみると、外国人ばっかり!中国からの団体客のほか、バズーカのようなレンズをつけた高そうな一眼レフを地面に向けて一心不乱に撮影する西洋人も!日本人は私たちだけでした。
それほど外国人を魅了する竜串。私の想像を超える大地の文様が目の前に広がっていました。
これらはすべて2000万年前から1500万年前までに出来たそう。というと、日本列島がユーラシア大陸の端からベリベリって離れて、一気に日本列島になっていく頃。山陰海岸でも香住のかえる島とかが出来た頃です。その頃に泥や砂が溜まって出来た地層が見えているそうです。
ん?普通、地層って、積もっていくものだから上下なのに、ここは左右?!ん??
デカいフリップカードで説明する
土佐清水GP構想の若きエース・高知大出身の佐藤先生。
「積もって重なった後に、地殻変動で隆起して斜めや横に倒れたんです」とのこと。どんだけのチカラが働いたんでしょうね。それだけ激しい大地の揺り動かしがあったんでしょう。
それにしても、デザインが一定でなくて、バームクーヘンかと思ったらチョコレートクリームのような波模様。
「この渦を巻いているところが津波の跡なんです。」と、ジオパーク専門員の佐藤先生。それまでの綺麗な層がぐっしゃぐしゃになるほどのエネルギーがかかっていたことを物語っています。70-80年毎くらいに必ず来るとされる南海地震は、こんな昔からずっと続いていたんですね。災害って怖いし、語ると重い空気になるものですが、こういう美しい自然の造形で語れたら、そんな重い空気も少しは前向きになりそうな気がしました。何百万年も前から頻繁に起こる「いつものこと」なんだと。
一方、こちらは穴ポコだらけ。これも津波?それとも石ころコロコロして出来たポットホール(甌穴)?
「いやいや、塩が付くと風化しやすくて、スゴい年月をかけて穴ができてきたんです。タフォニって言います。」
海辺に近い場所だからこそできる、太平洋が作り出す造形作品に、言葉は要らないです。この自然の造形を見に、外国人もはるばるここまでやってきて撮影なさっているんですね。
海には生き物がちゃんと居た証拠となる、海老の巣穴の跡がのこる生痕(せいこん)化石なども見られました。
やどかりの仲間・スナモグリさんの巣穴の化石。
どう見ても○んこだなぁ・・・それも生きた証だけど。
晩秋は陽が落ちるのが本当に早いですね。とても夕日が綺麗でした。
この辺りはシコロサンゴの群生地でそれ以外のサンゴや熱帯魚も多く、グラスボートでの遊覧も可能だとか。今回講演会でご一緒した日本ジオパーク委員会の尾池委員長も「海を魅せるジオパークとして、土佐清水はその資格がある」と仰っていました。竜串もダイビングが出来ますし、隣の大月町は国内でも有数のダイビングスポット「柏島」がありますし、海辺から海底まで海を楽しめるジオパークになって欲しいなぁと、元ダイビングイントラの私は強く思います。
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今井 ひろこ


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