「ジオパーク」名称使用に思う
先月、新聞の但馬欄で「ジオパーク」の名称使用についての記事が掲載されていました。
町内のジオサイトを対象としたフォトコンテストに関する記事で、そのコンテスト自体は素晴らしい企画ながら、その企画名称の『○○町ジオパークフォトコンテスト』という使い方が問題でした。
実は「ジオパーク」の名称を使うことにはルールがあり、日本ジオパークネットワークの取り決めで『認定された地域名+ジオパーク』以外では使うことが禁じられています。
3.名称、ロゴマーク等に関する事項(1) 名称見学者等に誤解を与え、日本のジオパークの評価を低下させる懸念があるため、「ジオパーク」の名称使用は、日本ジオパークに認定された地域に限定するものとする。それ以外 が使用する場合は、認定されていない旨が明確になるよう表示するものとする。 (可とする表示例)「○○ジオパーク(申請予定・申請中・構想)」、「○○ジオパーク推進協議会」
例えば、私がガイド活動をしている山陰海岸ジオパークの場合。山陰海岸ジオパークは京都府京丹後市、兵庫県の豊岡市、香美町、新温泉町、鳥取県の岩美町、鳥取市の3府県3市3町が含まれる、広域ジオパークです。(複数市町村が含まれるジオパークは日本国内のジオパークで4カ所あります)そのため『山陰海岸ジオパーク』以外は使えません。
例えば、ダメな例として考えられるのは
×兵庫ジオパーク(県名+ジオパーク)
×香美町ジオパーク、香美ジオパーク(市町名+ジオパーク)
×佐津ジオパーク、訓谷ジオパーク(ムラ・集落の名前+ジオパーク)
という使い方。「そういうジオパークが山陰海岸ジオパークとはまた別にあるんだ!」と誤解されるためです。地維持住民や商業者の方にもわかりやすいよう、山陰海岸ジオパークのWebサイトにもロゴと合わせて名称の使用例が記載されています。
山陰海岸ジオパークロゴ使用に関するWebページに記載。
グレーゾーンな使い方が増えている?!
日本にジオパーク活動が入って8年、山陰海岸ジオパークが世界ジオパークに加盟認定されて5年にもなると、自治体イベントだけでなく、民間活用も進み、ジオパークという名称が多く使われ出しています。これはとても素晴らしいことで、知名度が低いと言われるジオパークが、徐々に広がりを見せている証です。
そうした中、一部の商品やイベント、ハコものの名称に、完全にアウトなもの、極めてグレーゾーンなものが見られるようになり、問題となっています。
ダメな例)
○○町ジオパークフォトコンテスト
△△ジオパークサーフィン大会(△は地名)
■■ジオパーク川柳大会(△は地名)
▽▽ジオパークインフォメーションセンター(○は名所の名前)
「いやいや、『○○町ジオパーク』で区切るんじゃ無くて、『ジオパーク川柳大会』で区切るんですよ」という声も聞こえてきたり、はたまた「ジオパークって言葉を使ってPRしてるのに、なんでアカンねん?」という声も聞こえてきそうですね。どこで区切るかは聞いた人に委ねられますので、誤解を与えるような使い方はアウトです。
そこで、私からの提案!
グレーゾーンになりそうな名称は区切りをハッキリ付ければいいんです。
○○町ジオパークフォトコンテスト
→山陰海岸ジオパーク・○○町フォトコンテスト
→山陰海岸ジオパーク
○○町フォトコンテスト(印刷物の場合に改行する)
△△ジオパークサーフィン大会
→山陰海岸ジオパーク★△△サーフィン大会
→山陰海岸ジオパーク
△△サーフィン大会(印刷物の場合に改行する)
など、「・」「★」(→「つのだ★ひろ方式」と勝手に命名)、改行位置を変える等の工夫で、区切り部分は必ず「山陰海岸ジオパーク」になるようにしたいですね。
特に山陰海岸ジオパークは日本ジオパークのお手本となるべき世界ジオパークなので、そういう誤解を与えるジオパークだと、次回3年後の2018年の再認定審査の際に影響が出かねません。「交通ルールは皆さんが守ってこそのもの」と先日に行った免許更新の講習でも、講師がおっしゃっていました。住民みんなで使用ルールを守って適正に使い、ジオパークのブランド力を上げていきましょう!

今井 ひろこ


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