ジオガイドの認定制度は「上から目線でけしからんっ!」という意見について。
先日、「わたしたちジオガイドの認定を、行政主導のジオパーク推進協議会や専門家委員会ですることは、上から押しつけられているようで不愉快である」というご意見を耳にしました。「すでにジオパークが始まる前から地方自治体の観光ガイド認定証を持ってガイド活動をしているし、毎日何百人というお客様にガイド対応をしていて一定の評価を得ている。いまさら、やれジオパークだって、上から押しつけることはけしからん!」ということのようでした。(正確な表現は覚えていませんが・・・)
ジオパークのシステムは2008年に日本に導入された考え方で、ヨーロッパの地質学者が「地学という学問分野を衰退させてはならない」という想いからユネスコのサポートを受けて始まった制度です。(だって、ノーベル地学賞ってないし、受験でも選択しない。そりゃ衰退するよね・・・)
人間が生きていくために、地学って大切な知識。
ジオパークの認定基準は日本ジオパークと世界ジオパークでは異なっている(当然、世界ジオパークのほうが基準厳しいです)のですが、世界ジオパークネットワークガイドラインの中にも「ジオパークガイド」という言葉は出てきません。それは「ジオツアーの活動」「ジオツーリズム」という言葉に集約されているのではと私は考えています。また、こういう一文があります。
ジオパークは運営を専門的に担当する有効な機構を持ち、ジオパーク全域に持続的な地域社会経済や文化の発展をもたらすような政策や行動を実現させるものでなくてはなりません。地元の強力な参加なしには、ジオパークという構想は成功しないのです。(世界ジオパークネットワークガイドライン<仮日本語版>より抜粋)
要は、地元住民を巻き込んだ地域活性化につなげる活動をジオパークの枠組みとして行っていく必要があるのです。地元住民が活動する中には、保護保全活動もありますし、ジオパークの考え方や理念、地域の素晴らしき誇りを伝えていく「ジオガイド」もあるでしょう。
ジオパークの活動は多岐にわたり、PR活動、保護保全活動、ジオツーリズム(観光)活動、学術研究活動・・・いっぱいあります。その活動にはすべてにお金がかかります。良いシステムを作り上げていくために、民間も行政もお金を出し合うのですが、スタート時は民間からの経済援助やしくみ作りは難しいため、今のような行政主体の推進協議会制を取っているところが多いのです。
責任所在がハッキリした推進協議会制の元で、ジオパークの活動に賛同した方をジオガイドとして認定しています。元々ガイドだった方は、ジオパークの理念のひとつである、地学系のお話も持ちネタに加えてほしいし、まだガイドになってない人は、これからいろんな知識を得て地域を伝えるガイドになって欲しいです。
私は活動するジオパーク以外でも、ちょこちょこ聞こえてくる「ジオパークは行政や専門家が上から目線でガイドを扱ってる」という話。上から目線ではなく、相互に支援していると考えて欲しいです。ガイドがジオパークの制度を活用させてもらって「ジオガイド」として活動するからこそ、行政もジオパーク活動ではガイド業務を依頼するし、勉強会といったら格安で講師派遣をして下さいます。新聞記者さんも「ジオパークが地域貢献活動」と認識しているからこそ、プレスリリースを自分たちガイドが出さなくとも、行政や推進協議会が出してくれて取材に来て下さるのです。
ガイドの方々の中には、学術専門家の派遣は無料で当然と思われているかもしれませんが、通常、経営指導などコンサルタントを呼べば1時間1万円以上します(私でも2時間3万円〜+交通費、宿泊費です)。行政が講師謝金などの予算を取って講習を行っていることは知らない方が多いのです・・・残念。また、勉強会の会場やその設営に自治体職員が関わりますが、その人件費も大変な額です。
ジオガイドが他の観光ガイドやエコガイドとは違う部分は、学術専門家の定期的なフォローがあり、地元自治体が深く関わる部分です。わたくし、ダイビングガイドで、海上保安所の職員と話をすることがあっても、地元自治体の職員って関わったことがなかったです。また、大学の先生方にお話を伺うこともなくて、水族館に行ったときに職員にちょこちょこと聞いていた程度です。
もしも・・・ここまで述べても、上から目線だ、ジオガイドに無理矢理させられた、ジオパークの理念のもとに活動するのが辛いということであれば、私は無理にジオガイドとして活動する必要はないと思っています。だって、好きだからこそ他の師のであって嫌々やっていては、そのマイナスオーラが地域、お客様、行政職員といろんなところへ波及します。それが地元に幸せな効果を与えるとは到底思えません。
ネイチャーガイド、ダイビングガイド、歴史ガイド・・・それぞれに役割が有り、信念もあります。ジオガイドと他のガイドは仲違いすることもなく、お互いに情報交換をしながら、ガイド技術を高めていけばよいのです。だって同じガイドだから。
ジオパークでガイド活動をすることで、地学の楽しさも広げる役割を担っているジオガイド。持ちつ持たれつ、行政、専門家、地元住民の間を取り持つ役割も担うジオガイド制度は、決して上から目線ではない、今までのガイドには無い新しい枠組みの相互支援です。
今井 ひろこ
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