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ジオパークがまちおこしと相性が良い5つの理由

   

全国にいま自治体はいくつあるか、ご存知ですか?現在、日本の自治体は1718市町村(市 790  町 745 村 183)。そのうち、現在、日本ジオパークになっている、あるいは準会員(今年度の申請地域を含み、これからジオパーク加盟を目指す地域)は282市町村(市 136  町 113 村 33)と一割を超えました。(データは2014年6月現在:日本ジオパークネットワークHPより) ジオパークを検討している地域を含めると、二割を超えます。

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日本のジオパーク(産業技術総合研究所HPより)

国立公園のように省庁からの全面サポートも無い、このジオパークになぜ自治体が乗り気なのか?それは、ジオパークに認定される、あるいは4年後再認定される過程が、そのまま「まちづくりの仕組み」の過程になっているから、と言えます。今日は具体的にジオパークがまちおこしと相性の良い理由を5つまとめてみました。

1.「地域を足元からみつめ直す」ことが地域愛、郷土愛の醸成につながるから

地域を足元から、つまり、大地、土から見直すことがジオパークです。今までは森の木々や気候などの土の表面から上を見ていましたが、ジオパークでは足元の下の方からも見直すのです。風土に根差した暮らしこそ、持続可能な暮らしを支えます。ここにしかないもの、この棚田でないとコメが美味しくないんだ、など、必ずあるはずです。そういうものを見直し、たくさんの「おらが自慢があること」に気づき、それを経済活動に乗せていく。そして若い人たちも暮らせる地域にする。地域愛があってこそ、見つけた宝の原石を磨くことができ、光り輝く地域の宝にできるのです。

2.自分たちの当たり前が実はとても価値があることを気づくことができるから

美味しいコメが獲れる。蛇口をひねれば何も装置をつけていなくても美味しい水が飲める。空を見上げると満天の星空が見える。いずれも都会中心部では決してできないことです。棚田が続く里山の美しさ、霧の中に見える幻想的な森の姿、それこそが価値なのです。日本人にはすっかりおなじみすぎて珍しくないコタツや畳の部屋も、外国人から見たらワンダーランドです。足元から見つめ直す作業を、私のように外から来た人が関わることで、実はとても価値があるものに地域の人が気づかされることが多いのです。

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住民には当たり前の景色も、観光客にとっては美しい景色に。(香美町小代)

3.平成の大合併による旧町間の壁、近隣市町、府県との壁を取り除くきっかけとできるから

山陰海岸ジオパークは3府県にまたがった一つの大きなジオパークです。そのジオパークの考え方に県境・市町の境はありません(無いはずなんですけどね、一応・・・)。特に平成の大合併により市町が大きくなったところでは、いまだに昔のムラ意識が抜けず、予算配分から議員定数まで昔のしがらみにとらわれるきらいがあり、それが住民にも浸透しています。しかし、そのままの閉鎖的なムラ意識では、人口が減っていき、若い人が帰って来ない今、地域を存続させるだけの自治組織が作れなくなりつつあります。雪おろし、災害復旧、耕作放棄地の扱い・・・そういうしがらみを取っ払う突破口として、ジオパークという地域づくりの考え方があります。民間レベルではすでに府県の壁を越えて水平展開を図っています。

4.4年後の再認定に向けて進化させていく、という行為が長期ビジョンとしてそのまま活用できるから

世界遺産には無い制度として、ジオパークは4年に一度の再審査があります。活用できていないとなると、ジオパークの称号は剥奪されます。そのため、市町が5年、10年と立てる総合計画と同様、ジオパークも計画を立て、活用を図り、観光客の利便性を上げるための活性化を進める必要があるのです。それは総合計画の立て方とほぼ同じです。立てるだけでなく、実際にその通りに進んでいるのかも、再認定審査では対象になります。

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今月上旬の世界ジオパーク再認定審査(正式には「新規登録」)の様子(香美町今子浦)

5.「ジオパーク」の名のもとに地域のキーマンをつなげていくことができるから

例えば、地域で暮らす若い人たちの中には、地域に愛着を持っている人もいます。そういう人の中から地域活動やジオパーク活動、商工会青年部やJCの活動に参加する人が現れます。そういう人たちと自治体、ジオパークガイド、ジオパークコーディネーターなどが組み、イベントの相談や形づくりをしていくと、おのずと若い住民の中からグループリーダーが出てきます。そういう人たちをたくさん作り、その人たちをつなげて、地域づくりの大きな輪を作ると同時に、地域づくりのリーダーとして活動をして頂くことで、持続可能な地域づくりと人づくりにつながっていくのです。

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ジオパーク大交流会の様子(2013年)

ジオパークのイベントを行うとき、人を集めたり折衝するのが面倒だからと、自治体職員だけで行うところも見受けられますが、それは「ジオパークもどきの活動」と言わざるを得ません。そうではなく、ジオパークのイベントや活動は「民と官」で協働してこそ成立し、それが未来志向で新しいイベントや活動、そして地域づくりへとリレーしていくのです。

 

これらのお話は、今年10月25日(土)に兵庫県新温泉町湯村温泉で開催される「山陰海岸ジオパーク国際学術会議(湯村会議)」で私が登壇し発表する予定です。ポスター発表も行います。お楽しみに!

 

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークとは?

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