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宮崎牛の血統に記された「田尻系」〜和牛を支える但馬牛・田尻号〜

      2015/05/31

NPOの活動で、昨年度は兵庫県が誇る但馬牛の史跡や牛舎・棚田と和牛の暮らしを案内する「小代(おじろ)但馬牛ガイド」を県の補助を受けて養成し、今年度はオブザーバーとして、ほぼ毎月、香美町小代(おじろ)へ行って、ガイド指導やツアコンなどを手伝っております。

さて、そのような活動をしている私へ、宮崎県・霧島ジオパークガイド古園さんが素晴らしいポスターを送って下さり、早速、小代にある但馬牛ミニ博物館へ展示させて頂きました。宮崎牛の種雄牛一覧ポスターです。

宮崎種雄牛一覧

私はこのポスターを見て涙が出てきました。そこに記された文字が。。。

田尻系

一番左の牛の上に記されている、青地に白抜きの文字が「田尻系」ではありませんか!

田尻号は、戦後に活躍した種雄牛(優秀な子孫を残すための精子を取る牛)で、小代の田尻松蔵さんの家で生まれました。田尻は生涯の間に、何と自然交配で1500余頭の子牛の父親となっただけでなく、その子牛や孫牛は肉質改善にと、宮崎、飛騨、松坂、米沢など各地の黒毛和牛の産地へ次々と引き取られ、黒毛和牛の肉質向上に寄与したのです。現在国内に居る黒毛和牛の母牛の99.9%が小代が生んだスーパー種牛「田尻」の子孫なんです。スゴくないですか?! 「田尻号」やその子孫が和牛の歴史と肉質向上を今も支えているのです。(写真は朝日新聞・社会面の記事)

田尻号の記事

ちなみに、宮崎県種雄牛のポスターでは各牛の3代前まで名前が分かるようになっていますが、その中にある「田安土井」が但馬牛です。また田尻系の隣の「気高系」はうちのお隣・鳥取県、「糸桜系」は島根県ですが、これも元を辿れば但馬牛に繋がります。

和牛の血統は、一般的には資質系と体積系に区分されています。資質系は、いわゆる但馬系と通称される系統で、その呼び方も様々なのですが、田尻系、田尻系から独立した分系として扱われる菊美系、同じく田尻を始祖とする茂金系などが、肉質に優れる資質系として位置づけられています。
一方、体積系としては、岡山の第六藤良の子孫からなる系統の藤良系と鳥取の気高の子孫からなる気高系が挙げられます。藤良系は糸桜系とも呼ばれ、これは第七糸桜(島根)に由来します。第七糸桜、気高、共に母方には但馬系を持ちますが、増体に富み肉量にも優れる事から体積系として位置づけられています。
(神奈川県農業技術センター畜産技術所 技術情報 2010年4月より抜粋)

私も今回のポスターで、全国の黒毛和牛には田尻系他含めて4−5系統あることを知った次第です。というのも、兵庫県産牛の血統は田尻系の超純血種ただ一つだけで、血統を認識するのはあつた蔓やふき蔓などのいわゆる蔓牛のほう。全国の黒毛和牛の血統として「田尻系」があることを知りませんでした。

今回のポスターが示して下さった、日本が誇る和牛の父「田尻」の名が血統の名として、今や日本一の肉質となった宮崎牛種雄牛一覧にも記されているというのが、本当に嬉しく、但馬人として誇りに思います。ますます田尻号が大好きになりました。

ちなみに、このポスターを見た但馬牛ガイドさんは、
「す・・・すごい・・・(絶句)!」
「凄すぎて、背筋がゾクゾクっときた!」
「すばらしい!!」
と喜んでいました。

但馬牛ガイド

黒毛和牛の中では小柄な但馬牛ですが、古くは鎌倉時代からブランド牛として全国的に有名だった牛(「国牛十図に記載」)です。但馬といえば「但馬牛」という名前が全国から聞こえてくるほど、但馬を代表する特産です。まずは、地元の人から但馬牛、そして但馬を誇りに思って頂けるよう、小代・但馬牛ガイドと一緒に広く伝えていきたいと思います。

 

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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