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「大地(ジオ)の恵みネタ」の探し方~竹野・お醤油の花房さん

      2014/04/07

一昨日は隣町・竹野にある、しょうゆの老舗「花房商店」の工場見学会に参加しました。案外知っているようで知らなかった醤油づくりの工程。先月、醤油産業の盛んな千葉県銚子市(銚子ジオパーク)へ講演に行ったときに、醤油ソフトを食べにヤマサ醤油の工場へ寄ったこともあり、作り方に興味がありました。

工場見学の案内は、社長の花房靖裕さん。最初に基本を学びます。

説明する花房社長
説明する花房社長

JAS(日本工業規格)で定められた醤油には5種類あるのをご存知でしょうか?平成23年のデータでいうと、日本で最も多い醤油はこいくちで84%、次いでうすくち12%、たまりが2%、さいしこみ1%、しろ1%だそうです。(しょうゆ情報センターHPより

花房商店の主力商品の一つに、私も愛用している「さしみ醤油」がありますが、JAS規格の「さいしこみ醤油」だそうで、簡単にいうと2回仕込むので手間と時間がかかる醤油です。先ほどのデータで言うと、全国の醤油生産のわずか1%です。関西生まれの私は、刺身や寿司を食べるときにはさしみ醤油(たまり醤油やさいしこみ醤油)で食べます。しかし、関西以外は刺身醤油じゃなく、ほとんどがこいくち醤油ですよね。

さしみ醤油と、だし醤油
花房商店のさしみ醤油とだし醤油。我が家の冷蔵庫の定番。

この「さいしこみ醤油」、主に山陰から中国、九州北部地方で作られているということを見学の時に教えて頂きました。

「山陰で作られている」・・・それってジオちゃうん?

そうなのです!私の「ジオの恵み産品」のネタ探しの第一歩は、この「山陰や但馬で主に作られている」ということ。なぜここなのかを探ると、大地や文化・産業がどう伝わってきたのかというルーツ探しにつながります。それらを物語として紡ぎ、観光客や住民の方、お店の方に伝え、オンリーワンの商品、オンリーワンの産業として認知されれば、お土産として買って下さるのではないかと思っています。これこそ、ストーリー作りの醍醐味ですね。

ちなみに、さいしこみ醤油の製法発祥の地は、瀬戸内海に面した山口県柳井市。ここで生まれた甘露醤油がいわゆる「さいしこみ醤油」なのです。柳井商工会議所HPによると、

『天明年間(1780年代)に当地の醸造家高田伝兵衛が創製した芳香にして美味なる醤油を時の藩主に献上したところ「甘露甘露」と賞賛されたのが、その名の由来です。醤油造りに適した柳井の風土の中で、2年以上の歳月をかけて、じっくりと仕上げたその味は天下一品です。』

江戸時代?!山口県柳井市は瀬戸内の海沿い。まさしく北前船ルートです。きっと醤油も船に載せて各地の港で販売されたことでしょう。もしかしたら船員さんの賄い食でこの醤油を使ったかもしれません。想像するだけでロマンあふれますね。

花房商店では、国産で安心の素材、生産者が見える素材を使った醤油づくりを心掛けておられます。例えば、減農薬で作られている豊岡の「こうのとり大豆」や、出石や但東の小麦など、それはまさに、山陰海岸ジオパークの恵みだと思います。

0001
コウノトリ大豆の袋にもコウノトリの絵が

ただ、実際に製法が北前船によって伝わったのかは、現存する北前船の入津帳から調べる必要があります。もし仮説が正しかったら、完全に「大地(ジオ)の恵み」ですね。がんばろうっと!

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークの恵み

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