私が理想とするジオガイド像、有料ガイドが基本。
私が役場を辞めた理由の一つが、NPOたじま海の学校が行っている「まち歩き事業」を本腰入れてすることです。先日紹介した「香美町まち歩きガイド・香美がたり」です。
先日もご紹介した香美がたり
※画像をクリックするとサイトへ飛びます
今までは宿の方や近くの酒店の方が無料で行っていました。それを有料にすることで、よりクオリティが高いガイドシステムにしたい。そのガイドシステムが軌道に乗れば、若い人ももしかしたら帰ってきてガイド専任でできるかも。雇用も生み出せるかも。新たなビジネスモデルにできるかな・・・と思って動き出し、3年が経過しました。
この事業、国、兵庫県や全労済さんの助成金で行うことができました。税金や掛け金という大切なお金です。それを一銭たりとも無駄にしたくない!何としてでも、今年、運用を完璧に軌道に乗せたい。新たに山コース「但馬牛と暮らしの見える道」を作り、海岸部と山間地を揃えたら「”香美町”の暮らしと自然を地元住民が語る”香美がたり”」が完成します。助成金として投資して頂いた分、地域にお金が落ちるように。そして利益を生み出し、可能であれば雇用もできるようにしたいです。それが地域振興のあるべき姿です。
ガイドの形態っていろいろとあります。例えばお客様からお金を頂かないボランティアガイド。私のようにお客様から正当な対価を頂戴してガイドするプロのガイド。あるいは明らかに不当に安い対価で行うガイド。観光協会や自治体からお給料を保障されて、お客様からはお金を頂かないガイド。
私はジオガイドというのは、「お客様から正当なお金を頂くプロガイド」であるべきだと思います。(きっぱり!)
理由は
1)お客様の安全管理には責任とお金がかかります。
責任にかかる心の負担、金銭負担をお客様に求めることで、お客様自身の安全に対する意識が変わります。
2)地域にお金が落ちる仕組みを作り、国や町への税収UPにつなげます。
正当なガイド料が払われると、源泉所得税が国に入ります。ガイド自身が買物でき、消費税が国に入ります。その他、いろんな形で税収として入ります。また、物販施設があってそこへお客様を案内することで、その店も潤います。
3)田舎の新たなビジネスモデルの構築につなげます。
田舎から出ていった若い人で絶縁したいという人はほとんどいません。就職先があれば帰りたいと思う若い人たちもいます。無料で行うと、ガイドを生活費の一部として収入にしたい(特にUターンの若い)人の「営業妨害」となります。
実は、無料でガイドをするほうが精神的に楽なんですよ。「責任」から逃げているんですね。
こういう私も、かつてガイドをボランティアでやっていた頃があるんです。だけど私の旦那に言われたひと言が考え方を変えました。
「ガイドというのは”仕事”だよ。仕事とするからには、安全管理、ルート中にある見どころや自然科学の勉強、伝えるためにいろんなトレーニングを受ける、勉強もする。それらにはお金もかかる。時間と手間、費用はバカにならない。お客さんを無条件に無料でガイドするということは、その自分のやってきたことに対しても蓋をすることになるし、お客様には「私のガイドはあなたからお金を頂くなんてとんでもないほど価値のないガイドをこれからさせて頂きます」と宣言していることに等しい。正当な対価をもらわなければ、自分のガイドだけでなく、この地域の価値を貶めることになる。お客様からお金をいただくという緊張感があるからこそ、もっとガイドとしての力をつけなければ、という気持ちも高まるでしょ」
また、ボランティアガイドに多く見られる傾向、というのも旦那に指摘されました。(私も以前は旦那から見るとそうだったようです。)
「お客様からお金をもらわないガイドは得てして自分の話したいことばかりを話していて、お客様が知りたい話をしないことが多い。なので、一方通行で無駄に話が長い。その話、お客様は聞いているふりをしているだけだし、帰ってから思い出してもらえない話だよ」と。
このことは後にインタープリテーションを学んだことで更に理解が深まりました。まずはお客様の話を聞く。お客様が何を知りたいのか。どんな話を楽しいと感じるのか。それをわかった上で、お客様と会話のキャッチボールをするのがガイドである。
私たちNPOが無料でガイドをするときには、写真をHPやチラシで使わせて頂く、アンケートを実施して今後のガイドに反映させるなどの、ある種の「対価」をお願いしているときだけです。モニタープランとして、今回のみ特別無料にする理由を明確にしています。
100円でガイドを受けたい人を1万人受け入れるか。
1万円でガイドを受けたい人を100人受け入れるか。
ジオパークを「クオリティの高い旅のブランド」として展開していきたい。だからこそ、ガイドは質を求めるべき。そして地域の暮らしを伝えるとともに、地域にお金が落ちる仕組みまでを考えたガイドコースと時間にしなければなりません。
このままでは人口減が避けられない地方において、このぐらいの覚悟を持ってガイド事業に当たらなければ、10年後、20年後にも続く事業とはならないと考えています。
香美がたり、ご期待ください!
今井 ひろこ
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