地方の小さな宿とお店の集客をサポート!「今井ひろこドットコム」

宿泊施設や店舗の集客コンサルティング、プレゼンテーション指導、研修会、ジオパークにおける地域活性化を行う今井ひろこのブログサイトです

*

近畿のスキー場はアジアを代表するスキーリゾートに〜但馬コネクション聴講記・4/終〜

   

昨日の話の続きです。先日、豊岡市日高で行われた但馬コネクションという会合に初参加させて頂き、スキー場や地域再生を全国で手がける、日高出身、クロスプロジェクトグループ代表の辻隆さんのお話を聴講させて頂きました。

今日はこのお話シリーズの最終回、地域再生に結びつける鍵について、に話は移ります。

*******

クロスプロジェクトグループは、基本的に再生に入る各地に現地法人を作っている。理由は「儲けたお金は地域に還元するべき」。大会社、例えば東急、西部鉄道などもスキー場を手がけている。確かに大手が買い取ってスキー場を再生させた場合、雇用は生まれるが、儲けたお金は地元に落ちず、すべて本社のある東京へ行ってしまう。それでは地域再生の資本が地元に落ちない。そのため、スキー場は全て法人税を地元に払い、現地法人社長も地元の方にお願いしている。

いま、地元の神鍋が危機に貧している。養父市の若杉高原おおやスキー場では、再生を手がけた当初「軒を貸して母屋を取るのか」と揶揄されたが、今はそんなことを言う人は大屋に居ない。地方ほど住民が自分たちの住む地域の魅力に気づいていないので、外から大手資本が入ってきて搾取されるのだ。日本の地方の観光地は何度となく痛めつけられてきた。

地方には「仕掛け」という感覚が少ない。それは、日本のスキー場の支配人の多くが60代後半であるのに対し、お客様の6割は20代で3割がファミリーで、そんな年代の支配人が若い人たちの求めるモノを理解することはできない。逆に「仕掛け人」が若者であると、お客様と同年代だけに、とてもとっつきやすい。クロスプロジェクトグループは「仕掛け」や「仕組み」を担当したスタッフがある一定の成果を得たら次のスキー場へ異動させるシステムをとっていて、異動させたときには、その下で働いている地元採用の若いスタッフを昇格させる。ただし、「仕事」は経験と実績がいるから、そこは地元のシニアスタッフが担う。例えばリフトの整備などはシニアスタッフが若手を指導する事の方が多い。

今、自分は「近畿のスキー場はアジアを代表するスキーリゾートになる」と思っている。その理由は5つ。

1.平成28年には近くなる!

お客様がスキー場を選ぶ理由の第一位は「アクセスの簡単さ」。平成28年には、高速道路が日高まで来る。スキー場の多くは峠をいくつも超えていくところが多いが、神鍋の場合は峠に到着する前にスキー場がある。そして、高速が延びたら、高速を下りて15分ほどでスキー場に到着する。アクセスが良くなる。
スキー場(じゃらん研究所:「とーりまかし」vol.33[PDF 1738Kb](2013年9月号)より抜粋)

2.こんなに近いのに天然雪。日本海があるから。

アジア圏のスキーリゾートは韓国や中国にもあるが、実はそのほとんどが人工雪で、天然雪は日本だけ。その理由は日本海があるから。日本海があるからこそ、天然雪を作ってくれる。

3.開発コストが安い!

日本のスキーリゾートは90年代までリフト設置など設備投資をしっかりとしてきたので、開発コストが安い。

4.スキー場が暖かい。

世界中のスキー場の平均気温はー15度。世界的に有名なカナダ・ウィスラーでも山頂は-15度を下回る。しかし、神鍋のスキー場の平均気温は0度。こんなに温かいスキー場は初めて来たと外国人は一様に驚き、喜ぶ。

5.日本は売り物だらけ。

日本に来たらスキーもできるが、買い物もできる。買い物できる大阪、京都、神戸から一番近いスキー場が神鍋高原である。

冬1-2月の寒い頃は、もしかしたらユニバーサルスタジオに勝てるかもしれないと本気で思っている。だから、神鍋のスキー場の再生を始めている。うちの職場は、20代と60代のスタッフが感謝し合える職場になっている。スキー場の再生は5年から10年という時間をかけて行っている。神鍋という地を孫の代まで永続できるように皆さんでしていきましょう。

*********

4日間に渡ってブログを綴りましたがいかがでしたでしょうか?私も地域活性化に携わってきたひとりなので、とても共感できることが多くありました。今回の但馬コネクションのセミナー&懇親会のときに辻さんとお話をさせて頂いたところ、早速、数日後、クロスプロジェクトグループの但馬スタッフ総元締め(?)の池田さん(ジャニーズ系のかっこいい方)にもお会いする機会もできて、但馬の新たな広がりを感じることができました。実はこの辻さんに但馬のスキー場再生をお声がけして但馬に引っ張ってこられたのは、私と同じく香住在住で但馬銀行の倉橋さんだとか。心の熱い素晴らし方を但馬の地域再生に呼んで来て頂き、ありがとうございました。

辻さんと倉橋さん

左がクロスプロジェクトグループ代表の辻さん、
右が彼を引っ張ってきた但馬銀行の倉橋さん。
ステキな出会いに感謝!

今回の講演会で伺った内容については、ダイジェスト版がこのブログにも掲載されていましたので、そちらもご覧下さい。
スキー場 再生請負人3(クラブアルペン情報局)

The following two tabs change content below.
今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - 地域活性化, 田舎での商売心得

コメントを残す

  関連記事

イカ、カツオ、ノドグロなど相次ぐ「不漁」・・・魚介類の町おこしはそろそろ限界に? 

GWに入り、全国各地ではイベント開催のニュースが流れています。そんな中、気になる …

兵庫県の助成金申請でのプレゼン審査・面接審査攻略のコツ

兵庫県の補助金・助成金申請で10万円を超えるものについて、書類審査の他に面接やプ …

体験プログラムは山よりも海が人気? じゃらん香美町観光セミナーより

じゃらん観光商品作りワークショップでは、今回、GAP調査の結果も合わせて、どんな …

まちづくり系と観光産業系は食べ合わせ注意?!【てしかが観光塾2017備忘録】

先週のブログから、てしかが観光塾で学んだことを私なりにアウトプットしています。毎 …

なぜ、浜茶屋のカレーライスが新聞で紹介されるのか?

最近、周りでプチブレイクしている、私のフィールド・香住区佐津海水浴場の海の家で販 …

宿泊施設が観光パンフレットをさらに200%まで役立たせる方法

今日のブログは、昨日に引き続き、宿泊施設やお土産屋さんなどの観光施設がお客様との …

楽天トラベル朝ごはんフェスティバル(R)地区大会で、審査員特別賞に!

私の主人の宿「美味し宿かどや」が楽天トラベル朝ごはんフェスティバル(R)近畿ブロ …

じゃらんリサーチセンター主催の「観光振興セミナー」に参加してきました

今日は日帰り強行軍で大阪までリクルートライフスタイル「じゃらんリサーチセンター」 …

宿泊施設が観光パンフレットを100%役立たせる方法

今日のブログは、宿泊施設やお土産屋さんなどの観光施設がお客様とのコミュニケーショ …

アウェイな状況・・・一発逆転は「但馬牛」

昨日は日本海の魚介類と海底地形の関係についてのコラム記事の話をしました。それと同 …