スキー場で儲ける秘訣は『お祭り』〜但馬コネクション聴講記・3〜
2015/03/30
昨日の話の続きです。先日、豊岡市日高で行われた但馬コネクションという会合に初参加させて頂き、スキー場や地域再生を全国で手がける、日高出身、クロスプロジェクトグループ代表の辻隆さんのお話を聴講させて頂きました。
*******
スキー場で儲ける秘訣は『お祭り』。
スキー場の来場者は年間に1ー2回来る人と3回以上来る人とはちょうど半々の割合だが、売上高でいうとリピーターの方が売上が低い。売上高の比率はリピーター2割、初心者が8割の業界。実際、1回や2回しかスキー場に来ないお客様は、花火大会などの「お祭り」に行くような感覚だと思う。お祭りの時、屋台のお好み焼きやサザエがとんでもなく高くても、その場のフィーリングで買ってしまうもの。そういう人に対して商売をするから儲かる。リピーターの声はできるだけ聞かないことにしている。
実はUSJやディズニーランドは1月から2月は寒いから空いている。しかし、寒いときこそ呼べるレジャーがスキーで、それ以外のライバルはいない。USJやディズニーランドも、初めてから1回、2回来たことのあるお客様を相手にするからこそ、物販やレストランなどの収益が期待できて儲かるのである。
スキー場での売上はレンタル、食事の順で伸びている。そういう仕組みづくりが大事。リフト券の売上が伸びないのは、滑る人が乗るからこそ。「仕組み」は単純なほど儲かるものである。
実際、当社で行った例でいうと、リフト券を0円にする代わりに食事は1300円でレンタルを4100円にしているスキー場がある。普通のところは、リフト券を3500円、食事は800円。レンタル1500円。年に1,2度来るお客様は自分の道具を持っていないので、絶対にレンタルを借りてくれる。スキー用品はいま、かなり安くなっていて購入しても2万円程度になっている。このため、更新もしやすく毎年レンタルを新しくする。そのことで、「新しいから借りよう!」という風に使ってくれ、すぐに元が取れる。
カツカレーに1300円もするって最初は驚かれるが、それなりの味やセットなどを用意したりするので、現地レストランスタッフも気合いが入って前向きになってくれる副次的効果もあった。初心者ほど、余りすべらなくて、コーヒー飲んだり、食事をするため、早朝に来られるお客様のための朝食バイキングなども行い、1日5食食べて頂く仕組み作りに努めた。つまり、食事やレンタルでこそ儲ける仕組みが大事。
*******
新規顧客にターゲットを絞ったマーケティングはスキーだけでなく、スポーツ全体にも言えます。主人が経営するダイビング屋さんも実は同じで、まだライセンスを持っていないお客様が実はいろいろと買って下さったりします。ライセンスを持ってバリバリに潜る方ほど、地元にはお金をほとんど落としません。
逆に民宿は、新規顧客よりも常連様を大切にしましょう、と常連様にターゲットを絞ったマーケティングを行います。ニューズレターを送ったり、先行予約を受け付けたりします。そのことで「第二のふるさと、第二の田舎」と足を運んで下さったり、友達や知人に我が宿を紹介して下さったりします。
儲かる「仕組み」作りは本当に大事です。仕組み無くして仕事なし。
明日へとお話を続けることにします。「この儲けたお金、クロスプロジェクトさんはどうするの?」という疑問に対する答えです。ここが真骨頂だと私は思っています。
今井 ひろこ
最新記事 by 今井 ひろこ (全て見る)
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(5/n) 選ばれるだけの理由が無ければ売れない - 2019年1月17日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(4/n) 着地型観光で選ばれる商品とは? - 2019年1月15日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(3/n) ターゲットを一つに絞る - 2019年1月14日
関連記事
-
-
もうモノだけを売っていてもお客様は来てくれない
一昨日は松葉ガニの解禁。私の住む香美町も香住区を中心にこれから5ヶ月間忙しくなり …
-
-
宿泊プランの作り方のコツとは? じゃらん香美町観光セミナーから
先日からお話している、じゃらん×香美町観光商品作りセミナーのお話の続きです。 香 …
-
-
助成金申請におけるプレゼンテーションの5つのコツ
ここ数年、自治体の補助金や助成金申請ではプレゼンテーションを義務付ける動きが加速 …
-
-
私がジオパークと経済活動をつなげたい理由
ジオパークは長期ビジョンとして有効であり、即効性はないけども漢方薬のように地域に …
-
-
【情報】1/24(火)観光カリスマ・山田桂一郎先生講演会 in 豊岡稽古堂
今日は久しぶりに機械洗車しましたが、バックワイパーを留めておいたガムテープを外さ …
-
-
鹿談義しながら鹿ザンギを食らう釧路の夜 〜 畜養という考え方 〜
地方へ講演に出ると楽しみなのは郷土料理♪ 先週行った釧路ではおよそ但馬では食べら …
-
-
2013年の宿泊旅行業調査結果を聞いて(1)(JRC観光振興セミナーより)
じゃらんリサーチセンター(JRC)主催の観光振興セミナーへ出席し、今の国内旅行の …
-
-
田舎の地域創生って、実に時間がかかるのです。〜但馬コネクション聴講記・1〜
先日、豊岡市日高で行われた但馬コネクションという会合に初参加させて頂きました。こ …
-
-
夫婦旅は現地で予定を変えてサプライズを楽しむべし〜小布施での話
信州視察の続きです。道中では高速道路のサービスエリアやハイウェイオアシスになるべ …
-
-
アウェイな状況・・・一発逆転は「但馬牛」
昨日は日本海の魚介類と海底地形の関係についてのコラム記事の話をしました。それと同 …