白山手取川ジオパークで水の旅(2/3)へしこを訪ねて
白山手取川ジオパークは活火山・白山を水源とする手取川とその伏流水がテーマになっていて、その一つが水の利用法にあります。手取川は急流で表面に出ている川はいくつもの支流(用水)を作り、石川市内まで流されて利用されるほどの水量なのだそうです。ジオパークのある白山市は途中から手取川本流とは離れますが、地下を流れる豊かな伏流水があるため、用水と伏流水で豊かな水の文化や産業が発達したそうです。現在では海側に精密化学品メーカーなどが工場を連ねているそうですが、それも白山からもたらされる豊かで、そして清らかな地下水のお陰です。
水産加工場の工場の中に注ぐ白山の伏流水
その伏流水は今でも住民にひろく愛され、平成の名水百選の一つ「白山美川伏流水群」として認知されるほど。この水で入れるコーヒーは美味しいのだとか。米を炊くのに使ったりするために、隣町から車で汲みに来ていたご家族連れとお会いしました。無菌だし、今の時期は外へ置いていても全く腐らないのだとか。便利な水です!
さて、その豊富できれいな水を使って栄えたのが、魚の加工です。特に日本海側で盛んな麹漬けは「へしこ」と呼ばれ、たくさん魚が獲れたときの保存食でした。それらは北前船で運ばれ、大阪や京の都で食べられていたことでしょう。へしこは塩水につけ、その後麹でつけて発酵させた「発酵食品」。サバ、イワシ、イカなどをへしこにします。しょっぱ旨いご飯の友になります。
主に日本海側で作られているのですが、石川県だけは他府県と違うへしこを作っています。それは「フグの卵巣」のへしこです。
猛毒なフグが2年〜2年半の間に、麹菌や他の菌の力によって毒素が1/30以下となるそうです。石川県沖で獲れるゴマフグの卵巣と身を麹漬けにするわけですが、フグの調理の法律が施行される前からすでに卵巣をへしこにする加工法で庶民の味となっていたことから、フグをへしこにするのは全国でもここ石川県だけしか許可されていないそうです。
続きは明日へ。
今井 ひろこ
最新記事 by 今井 ひろこ (全て見る)
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(5/n) 選ばれるだけの理由が無ければ売れない - 2019年1月17日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(4/n) 着地型観光で選ばれる商品とは? - 2019年1月15日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(3/n) ターゲットを一つに絞る - 2019年1月14日
関連記事
-


-
全体会はコーディネーター全員が登壇、緊張したぁ〜!日本ジオパーク全国大会(伊豆半島大会)
今週12日で閉会したジオパーク全国大会。もうすでに懐かしんでいる私がいます。昨日 …
-


-
新しいことをしたいのに年配者から足を引っ張られる時には?
昨日一昨日と鳥取へ講演の聴講、地震の調査研究に同行していましたので、今日からしば …
-


-
香住で揚がるイカの食べ比べ講座を開催してきました!<上>
今日はガイドのお話。先週末の但馬牛ツアーに続き、昨日、城崎温泉博覧会(城崎オンパ …
-


-
5年後もガイドとして活躍したい人にインタープリテーションスキルが必須である理由
兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこで …
-


-
もうモノだけを売っていてもお客様は来てくれない
一昨日は松葉ガニの解禁。私の住む香美町も香住区を中心にこれから5ヶ月間忙しくなり …
-


-
鳥海山・飛島ジオパーク(申請準備中)の見どころに行ってきた!(後編)
先週末、秋田県と山形県の県境に計画されている鳥海山・飛島ジオパーク(申請準備中) …
-


-
但馬牛の安産祈願「大日祭り」に行ってきました!<上>
香美町小代は現在の黒毛和牛のルーツとされる但馬牛発祥の地。一家に一頭、農耕牛とし …
-


-
山陰海岸ジオパーク国際学術会議(湯村会議)の講演内容
本日は山陰海岸ジオパーク国際学術会議2014「湯村会議」です。今回の国際学術会議 …
-


-
ジオパークで観光客を集客できない理由は「ウンチクにこだわり過ぎ」(1/2ページ)
先日、主人の民宿が楽天トラベルから表彰され、マイスター賞(キャッチコピー部門)を …
-


-
白山手取川ジオパークで水の旅(1/3)千代女の里俳句館
先月、1/24-26までの2泊3日で白山手取川ジオパークへ行き、ガイド向けのセミ …






