山陰海岸ジオパーク国際学術会議での海外の先生の講演を聞いて
昨日、山陰海岸ジオパーク国際学術会議2014(湯村会議)が新温泉町で開催されました。今回のテーマは「ジオパークによる地域づくり」。海外からの先生のお話は、アジア太平洋ジオパークネットワーク(APGN)のマレーシアのイブラヒム・コモオ先生、同じくマレーシアのリサ・キング先生(観光学)でした。
まず、イブラヒム先生のお話は、来年9月、無謀にも(と言ってしまう)ここ山陰海岸ジオパークでAPGNの世界大会が行われることから、APGNの歴史のお話が最初でした。ジオパーク活動はヨーロッパが起源で、後追いで世界ジオパークネットワークとその傘下になるアジア太平洋ジオパークネットワークが2007年に誕生しました。現在、世界には32か国111地域の世界ジオパークがあり、うち、アジア太平洋地域には42か所あります。
ジオパークとは地域の開発管理を実践的に行っていくもので全員参加が必要とおっしゃっていました。
その上で、ジオパークとは
1.地質遺産があるのはもちろんで、保護しながら持続的な開発を進める相対的な観点が必要。
2.地質、文化、生物の多様性には関係性があり、統合的な保全を行うとともに、新たな価値を生み出す場。
3.生物、文化、歴史など地質以外など様々な価値のサイトが必要。
とのことでした。コモオ先生の話によく出てきたのは、「統合的に」「すべてにおいて」「地域(住民)をどう巻き込んでいくか」ということ。地質だけがジオパークの要素ではなく、生物、文化、歴史すべての土台には大地があるから、包括的に考えなさいと。「学問領域にこだわった縦割りの打破」こそが新しい価値(ジオパーク)を生み出す、と再認識しました。
続いてリサ・キング博士は「ブランド」のお話でした。
自然公園のブランドは世界に1300種類ほどあるそうで、その代表的なものは国立公園で150年前から使われています。一方、ジオパークは2004年スタートで新しく、ブランドイメージがまだできていない。ブランドやそのロゴを見て、記憶の奥にあるものが前面に出てくるようにしなければいけない。ジオパークのマーケティング戦略は5つ。これらができれば、ジオパークの価値を高め、持続可能な開発を続けることができる。
1・差異化(独自化?)
ジオパークブランド価値の意識、知識&理解の構築のため、個人感情に働きかけるようなマーケティングを行う。ジオブランドに対する良い印象を長期的に記憶に遺すようする。いろんなところに露出させることが大事で、WEBでもWikipediaは最低三カ国語あること、トリップアドバイザーにジオパークのコメント投稿も欲しいし、google Mapでジオパークエリアをクリックしたときに美しい写真が出てくることも必要。ユーチューブやFacebookもありますか?ジオパークのアプリもありますか?
2・協力する(コラボする)
同じテーマや特徴を持つジオパークと姉妹提携を結ぶこと。
3・革新(イノベーション)
それぞれのジオパーク独自で、注目度のあがる革新的なことをしなければならない。例えばファンシャンジオパーク(中国)では動画を撮影してお客様に見せてジオパークを案内している。
4・開拓(Cultivate)
政府などにもジオパークブランドを勧めていくこと
5・検証(Validate)
ジオパークのブランド化ができているかを定期的に第三者委員会などの外部に聞き、検証すること。
と仰っていましたが、リサ先生の講座は途中から時間が無くなり、3-5はかなり端折って話をされていましたので、スライドの写真でご勘弁を。リサ先生の話を聞いていると、山陰海岸ジオパークのWEB戦略が大いに欠けているのと、実施事業などの検証が殆どされていないですが、それ以外はできているし、むしろ先進的に地域づくりをジオパークでできている、と思いました。
ジオパークの推進協議会の皆様
中小企業、個人事業主を含む
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今井 ひろこ


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