地域振興をテーマとしたジオパークシンポジウムの開催意義
今や全国に33か所のジオパークがあり、シンポジウムが各地で開かれています。特に山陰海岸ジオパークでは他のジオパークとは異なり、民間事業者やガイドが協力してジオパークビジネスシンポジウムも行われてきました。
そもそも、なぜシンポジウムを行うのか。これをしっかりと参加者、主催者ともに意識をして開催しなければいけないのに、シンポジウムという事業開催ありきで話が進んでいるものを見かけます。助成金、補助金を取って、会場も抑えたし、これをして参加者が何人だった・・・で終わっては、税金が投入されているシンポジウムほど無駄金です。
そうならないようにするには、
- 誰に
- 何を
- どのようにしてほしいのか
- 今後どう行動していくのか
を登壇する演者や主催者はもちろんのこと、当日の参加者に向けて明確に伝え、全員が「あぁ、聞いて勉強になったわ」ではなく、「明日からすることが見えてきた!」という意識改革、行動改革につなげる必要があります。
私はよく「ジオパークで地域を繋ぐことができる」と言っていますが、それは香美町で成功したと言えるからです。香美町は世界ジオパークの審査があった2010年からようやくジオパーク活動を始めました。とはいっても、私がジオパーク推進補助員(雇用8か月の臨時職員)として採用され、当初の契約業務であったコピー取りやワープロ仕事、資料館の受付などの仕事以外にも、自分でも仕事をどんどん作り、出前講座やジオカフェなどのイベント、ジオパーク展示室の定期リニュアルなどを次々やっていき、メディアの協力も得ながら町内へジオパークの浸透を図っていったことも、活動に勢いをつけたと思います。
任用当時は崖、滝、岩などの分りやすいジオサイト(ジオパークの見どころ)だけを見に行っていたのですが、出前講座で集落を回るうち、聴講する方々の多くがスーパーシニアの方であることに気づきました。皆さんは地域の良さをしっかり認識しておられ、講座が終わった後には「あそこにまだそんなに知られていない滝があるんだが、知っとるか?」とか私に教えて下さいます。野菜やコメが美味しい理由も水や土、気候風土にあること、ここでないと美味しくならないということも教えてくれます。
ですがその会話の最後におっしゃるのは「若いもんがおらんでなぁ」「仕事がねぇでなぁ」なのです。地域の将来性はシニア層でなく若者が握っています。若者が居なくなった集落というのは、その将来性の芽が摘まれていることを示し、先が見通せないのです。現在の価値観はシニアの方がアクティブに動いていた昭和ではなく、若者が文化を創り出す平成に移っています。若者が主導的に動くまちづくりやシンポジウム開催こそが未来志向であり、その後の彼らの活動にいい影響を与えます。
ジオパークのシンポジウムというと、シニア層によるシニア層のためのシンポジウムになりがちです。地域で踏ん張る若い人たちにこそ積極的に参加してもらい、今の地域のあるままを活用し、自分たちで風土に合わせたアレンジを行い、現状の価値観に新しい風と光を当てて、若者が積極的に楽しく地域を守りながら暮らすライフスタイルを何年もかけて作り上げていくことが、ジオパークに求められている地域活性化の姿と考えます。
そのためにも、地域振興をテーマとするジオパークシンポジウムでは、できるだけ参加者は若者を登用し、登壇者が地域でどのような活動を行っているかを発表して頂くこと。発展させ持続させるために地域団体、地域住民や自治体がどうサポートしていけばいいかのアイデア、他地域の活性化例も交え、会場の聴講者とディスカッションができるシンポジウムになってほしいと思います。
実際、香美町で一昨年開催したフォーラム、去年豊岡市で開催したフォーラム、民間主導でパネラーは若手中心(心が若手ならOK)で実現しました。会場からの質問では若い方からの質問もありました。香美町のシンポジウムでは高校生からの意見質問もありました!「パネラーではこの人を入れないと」とか、権威主義での上からのアドバイスは思い切って断りましょう。未来を作ることができるのは若者しかいないです!!
ジオパークの推進協議会の皆様
中小企業、個人事業主を含む
ジオパークの民間事業者支援は
ミラサポで今井ひろこを活用!
今年度、国の支援制度で、年3回まで
指導料は一切不要。今がチャンス!
詳しくは私のこちらのブログを参照ください!


今井 ひろこ


最新記事 by 今井 ひろこ (全て見る)
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(5/n) 選ばれるだけの理由が無ければ売れない - 2019年1月17日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(4/n) 着地型観光で選ばれる商品とは? - 2019年1月15日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(3/n) ターゲットを一つに絞る - 2019年1月14日
関連記事
-
-
時間厳守、ワークショップ付で人気!☆今井ひろこのセミナー企画運営
今週は私の棚卸し作業中で、どんなことを起業後にしてきたかをまとめています。今日は …
-
-
ジオパークのビジネス活用例・海上タクシー事業
山陰海岸ジオパークには元々遊覧船事業者が岩美町と香美町(どちらも通年運航)とあり …
-
-
「どんなネタがお客様にウケるか?」マリンガイド有志が集まって勉強会開催!
一昨日書いたブログ《「質の低いボランティアガイドはストーカーと一緒」〜『観光立国 …
-
-
今年からさらに厳しくなった日本ジオパーク認定審査
今年の認定審査では、3地域が認定、1地域が保留、2地域が見送りという例年になく厳 …
-
-
風土がFoodを生みだす白神山地(2)松岡豆腐店<上>
東北環境教育フォーラム2日目、白神山地・留山散策コース(白神こだま酵母で作るパン …
-
-
「山陰海岸ジオパークビジネスフォーラムin京丹後」に行ってきた!
3月22日に山陰海岸ジオパーク・京丹後市峰山町で行われた「山陰海岸ジオパークビジ …
-
-
詳細な審査結果から注目した3つのこと〜山陰海岸ジオパーク『条件付き再認定』第2報から〜
「人間は忘れる生きものです」 3日前の昼ごはん、何を食べたか覚えてないでしょ? …
-
-
山陰海岸GP体験メニュー創出補助金☆但馬の地域づくりやジオパークに使える補助金情報2016春
兵庫県北部、但馬地域での地域作りや地域活性化、ジオパークに使える補助金が現在3つ …
-
-
海辺の漂着物で夏の自由研究
8月は海や天気が安定しない日々が続いている但馬では、海水温度も台風が過ぎて一気に …
-
-
大地に注目したお菓子、続々と販売中!(前半)
ジオパークで販売されているお土産の中といえば、キーホルダーやA4サイズのクリアホ …