ジオパークのビジネス活用例・海上タクシー事業
2014/08/02
山陰海岸ジオパークには元々遊覧船事業者が岩美町と香美町(どちらも通年運航)とありましたが、ジオパークになってからは、新温泉町浜坂と豊岡市竹野町に新たに増えました(季節運航)。
それ以外に、「海上タクシー」や「遊漁船を活用した観光ガイド船」など、一艘あたり4-5人までの少人数を対象とした事業がジオパークになってからスタートしています。これらも、元々ある美しい海岸線を見て頂く新たな体験メニューとして、ジオパークビジネスと言えるのではないでしょうか。
海上タクシーや観光ガイド船などは、屋形船や定期船・水上バス・タクシー等を管轄する法律(海上運送法)で海上運送事業として定義されています。高松海事法務事務所さんのHPによると(ページの下の方に書かれています)、
海上運送事業とは,海上運送法第2条において定義されており,船舶運航事業,船舶貸渡業,海運仲立業及び海運代理店業をいう。これらの事業を行うには,許可・認可・事前事後の届出など一定の申請が必要となります。
水上タクシー,屋形船,遊覧船,クルーズ船事業などが船舶運航事業の一例です。
また,貸し舟屋さんが,船舶貸渡業の例,宅建業の売買業務の船舶ヴァージョンが海運仲立業の一例ですね。貨物を運ぶ内航海運業や,釣り人を漁場まで運ぶ遊漁船業とは異なります。
とあります。釣り人を運ぶ遊漁船がそのまま使えるということではありません。届出が必要です。
新温泉町三尾(みお)の「御火浦(みほのうら)海上タクシー」。大型の遊覧船では入る事が出来ない洞門でも、遊漁船ならどんどん入れます。その上、操船は漁師なので、浅瀬の危ない磯の根の位置もすべて把握済。海のコンディションを見る目は確かです。乗ったことのある方に伺うと、こんなところまで、という手の届くような洞窟にも入っていき、ワクワクドキドキしたとのことです。この事業は2010年2月に読売新聞にも掲載されています。
御火浦(みほのうら)海上タクシー(御火浦村おこし事務局提供)
三尾地区は、海上タクシー事業だけを行っているのではなく、「ふるさと自立計画」のもと、ワカメ加工など複数、事業展開しています。ふるさと自立計画というのは、兵庫県が行っている地域振興策のひとつ(すでに終了しています)。多自然地域において、地域資源を発掘、活用することで地域の自立をめざしたもので、この三尾地区も平成23年度の推進モデル地区の一つです。
特に熱心に活動を進めておられる、事務局長の前田さんなどスタッフの皆様の熱意と活躍がすごいです。まず、前田さんはシニアながらFacebookなどのSNSに果敢に挑戦し、毎日、海岸の写真をUPしています。海上タクシーの許認可資料作成も苦労されたと聞いています。そのほか、ワカメ加工品なども道の駅やスーパー、土産店へ納品に行き、観光客がどこでも買えるよう努力をされています。そして地元イベントに出店して地区の元ギャルの皆さんと和気あいあいと試食会などを行って販売されています。そうして地元や観光客、ジオパーク関係者にファンを増やしています。
さらに、町おこしとジオパークを掛け合わせて当事業をPRしたことで、新聞やマスコミでは他地域よりも取り上げられやすい事例となりました。それを見て、同じように人口減少に苦慮している集落の方々への参考にしようと三尾へ研修や見学へ来られる議員団や自治体、大学の研究者も訪れています。
人口が減少していても、今、ここに住む人たちが、イキイキと楽しく暮らす集落自治のあり方が、これから但馬には求められていくのではないかと私は思っています。その先進事例に三尾がなっているのだと思っています。
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今井 ひろこ


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