私がジオパークと経済活動をつなげたい理由
ジオパークは長期ビジョンとして有効であり、即効性はないけども漢方薬のように地域にじんわり効いてくる。私が講演会で最後にお話していることです。
でも、「すぐにお金にならないこと」が、ジオパークに関心を持たない人を増やしてしまう結果にもなっています。以前、ライオンズクラブに呼ばれて講演会を行った時、参加者から「すぐに儲からない、観光客がたくさん来ない、結果がすぐに出ないもんをやってどうするんだ!そんなものに興味ない、役場もどうかしてる」と言われたことがあります。昭和40年代の海水浴ブーム、あるいは世界遺産登録後の一時的な観光客増加を彷彿とされたんでしょう。人はすぐに結果の出ることを求めます。商売ならばすぐに儲かること。政治家の方は自分の任期の間、短期で結果を出す施策を求めます。それがすぐにどこでもできていたら、リーマンショックも無ければバブル崩壊も起きず、ずっと右肩上がりの成長を日本は遂げていたことでしょう。
私がジオパークに関わるようになって痛切に感じるのは、オンリーワンを目指そうとしているのだけど、どこの田舎でもあるような、同じような加工品、土産物を作って販売してしまっていること。流通網が発達して、今や季節感なく野菜が売られる日本。魚も同様になってきました。農村の活性化のために六次化に踏み出すところが大幅に増えて、その結果、同じような商品が販売、通販される結果となり、価格競争に晒されることもしばしばです。そうして、価格を安くした結果、事業が行き詰る。マイナススパイラルから脱するには、商品の価値づけをしっかりし、売価に反映させること。そして、しっかりとそれを顧客に伝えることが必要です。
地場産品の多くは、その土地ならではの風土にあった野菜や果物、植物、魚介類からできているはずです。ここだからこそ美味しいという理由があるはずです。とある道の駅で店員さんに取材したときに「この辺で作る高菜は、山の下の方で作るのと違って、ピリリとした辛みがあるのが特徴で、同じ種類の種を植えても、場所によって味が違う。土なんだろうなぁ」という話を聞きました。その土の違いを地球科学的に解き明かすのがジオパークの醍醐味だと思っています。その理由づけが分れば、それが商品の付加価値になり、しっかり価値が伝わることで、ピリリ感の大好きな客がその辛さを求めて買いに来られます。
商品価格をボッているわけでなく、原料費などきちんと算定しているのに、付けている値段で売れないのには理由があります。その商品の価値の伝え方に問題があるのです。
NPO活動やジオパークの活動を通じて私が一番学んだことは「伝える力」の大切さです。せっかく素晴らしいコンテンツを持っている地域、お店でも、発信力が弱かったり、伝え方がうまくなかったりすることで、機会損失をしていると感じることが多いです。そのために、私がこの間に高めることができたプレゼンテーション能力や、そこから派生してPOP講座を開催したりするのは、まさに地域に埋もれている素晴らしいコンテンツを世に出して行くお手伝いがしたい、という思いからです。
「持続可能な地域づくりがジオパークの目的である」と、これも講演会の時にお伝えしている言葉です。今や少子高齢化ではなく「少子多死化」とも言われ始め、労働人口が急速に減る中、税収の見込めない地方自治体では、自治体活動そのものに限界が見えてきています。限界集落の雪かきなどはその最たる例です。その地域で暮らすためには、それなりに資金が必要です。その資金を役場があてがう余力も、合併特例債の終了(私の町は27年度で終了)とともに無くなります。あとは、そこに暮らす人々の直接の経済活動と、労働力となる住民の数にかかっています。
地域に住む住民が各々の経営や経済活動を頑張ることで、その地域の税収は上がります。また、経営を支えるための雇用も受注も生まれます。部下もできるでしょう。本業が安定してこそ、地域活動(消防団、お祭り、イベント、ジオパーク、その他、地域を支える会議など)にも力を入れることができるはずです。地域を支えるには、まず、自分の本業が安定操業することが大事です。だから、私はがんばる地域と経営者の力になりたいのです!POP講座やプレゼン講座を通じて、魅力的な地域の中でまだ自身の能力に気づいていない経営者に「伝える力」をつけることで持続可能な地域づくりにつなげていきたいと、この4月から立場を変えて、新たに活動を始めたのでした。これからも応援よろしくお願いします。
ジオパークの推進協議会の皆様
中小企業、個人事業主を含む
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今井 ひろこ


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