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ジオパークは教育旅行に最適!

   

先日、県内の旅行関係のコンサルタントの先生とミーティングする機会がありました。但馬は時々は来られていたそうですが、ジオパークを目的に回ったことが無く、今回、ジオパークをメインに豊岡から新温泉町にかけて見学されたそうです。

席に座って、先生が開口一番、

「イマイさん、ジオパークって面白いっすね!」

玄武洞を初めてご覧になったそうですが、写真とは全く違う迫力に圧倒されたとのこと。百聞は一見に如かずとはこのことですね、と感心されていました。また、コウノトリも見に行かれたそうで(郷公園かな?)、そこでコウノトリと環境問題、そしてコウノトリ育むお米の話を職員から聞き、コウノトリは、ただコウノトリを見るだけでなく、コウノトリをとおして、最後までコウノトリがいた豊岡盆地の形成や環境について知ってもらい、保護するだけでなく経済ベースにも乗せ、みんながWIN-WINとなるように環境問題を考えて学べるようになっていることが、中高生向けの教育旅行には最適だ、と仰っておられました。地形やその地の成り立ちから産業や環境問題、農林水産業に展開させることができ、生徒たちにはとてもわかりやすい題材だ、とも。

コウノトリの郷公園

豊岡湿地から生まれた産業は農業の他にも「鞄(かばん)産業」があります。豊岡鞄はすっかり全国ブランドになりましたが、その元は、湿地に生えるコリヤナギという植物。それを編んで籠を作る「柳行李」が江戸時代、豊岡の名産でした。その技術が今のカバン産業に発展しています。豊岡鞄団地では、財布などの手作り体験などができますし、豊岡市内の宵田商店街は「カバンストリート」と呼ばれていて、鞄のオブジェとか鞄の自動販売機まであります。この4月には「トヨオカカバン アルチザンアベニュー」というオシャレな施設もOPENし、鞄の販売やパーツ売り、そして鞄を作る職人を育てるスクールができ、ブランド化を後押ししています。
ブランド化する豊岡鞄

豊岡だけでなく、香美町にも地形から産業ができたというものがあります。一つは但馬牛。高い山と急峻な谷は人の行き来だけでなく牛の行き来もできず、谷筋だけで交配を繰り返しました。そのため、メンデルの法則が発見された1865年とほぼ同じ江戸時代後期には、小代の前田周助が「良い牛同士を掛け合わせると良い牛が生まれる」と借金を重ね嫁にも出て行かれながら、良い血統を遺しました。同じ谷筋や同じ地域だけで交配を繰り返す閉鎖育種を続けたおかげで、今の全国の黒毛和牛の祖ともいわれるスーパーキング・田尻号を輩出し、和牛の肉の味を支えています。

但馬牛の繁殖農家
香美町小代・但馬牛の繁殖農家にて

海を見ると、約2000万年前より500万年の間に日本列島が大陸の端から勢いよく剥がれていったために、日本海はなだらかでなく複雑な海底地形となっています。そのため、深さ1000m以深から海抜0mまで、港からそれほど遠くないところに山陰海岸は漁場があり、いろんな魚が上がってきます。香住漁港だけでもその数120種類。但馬は特に岩礁域が多く、海藻が豊かで浅海性の魚も豊富に獲れます。

民宿美味し宿かどやのメニュー
新鮮豊富な海の幸を堪能できるのが香住の民宿の魅力

現代産業と地形の関係について中高生の教育旅行で学ぶことが今後ヒットするであろうということでした。特に、スーパーサイエンスハイスクールやレベルの高い海外の学校の修学旅行だと、こじんまりとした単位で回れるので、地元の人に話を聞いたりするなどの深い学習ができるから、ジオパークはそういう意味でもいいツールになるとおっしゃっていました。

私は中高生だけでなく、知的好奇心旺盛なシニア層にも「おとなの教育旅行」としてジオパークはマッチするんではないかと思っています。京阪神や都会の博物館や資料館の友の会会員に積極的に旅行商品を販売していくことも必要ではないか、と思います。知ってもらえばとっても愉しい&学べるジオパーク。知ってもらうことの努力も欠かせませんね。ジオパークに興味を持ってもらえるターゲットを絞り、しっかりと深く鋭く宣伝していきたいですね。
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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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