環境教育は生活教育と捉えよう
2014/06/23
先日の「ふるさと環境交流会in但馬」では、環境教育という言葉は漠然としたものと捉えられがちなので、「生活教育」という言葉で表現しようという話になりました。もともと環境教育は「環境問題」を解決していくためのもの。そもそも「環境問題」というのは、自然に対することだけが考えられがちなのですが、それだけでなく、ヒトの周りに影響を及ぼすものすべてを「環境」としてとらえ、それを解決して心豊かな生活を送れるように学び活用するのが環境教育です。ヒトの周りに影響を及ぼすもの。例えば、戦争もそうですし、人種差別、いじめなど同僚との不仲なども環境問題なんです。もちろん住む場所の生活環境の問題、鹿やイノシシによる畑荒しも環境問題です。
「生活教育」とは、今住む地域で心豊かに暮らしていくために必要な知識や術を学ぶということ、とコーディネーターの江崎先生は定義づけました。生活に結び付けて考えること、生活と関連付けて考えさせる教育をしなければ、自分事と捉えてもらえません。教育はどの段階で進めるかという話も出ましたが、NPOコウノトリ市民研究所の上田先生は「小学生は遊びの中での自然体験につなげ、高校生は自然体験を通じて知識を学ばせる、という風に考えている。」と仰っていました。確かに環境学習の授業は小学校3年生と5年生でありますが、知識を学び、自分のお腹にストンと落ちるには若すぎますね。
今住む但馬の中山間地域で起こっている「山の崩壊」の原因は、グローバル経済が引き起こしたといえると江崎先生がおっしゃていました。
先生の話によると、森林は豊かになっているのではなく、実は半世紀前のツケに過ぎず、拡大造林では大量に植えたスギ・ヒノキ苗木が成長しても収穫されないまま「生ごみ」として山に貯まったままです。それを、同じく収穫されなくなった鹿たちがむさぼり食うことになり、下草や若木を鹿が食べ尽くして、地面が禿げて土砂崩壊を起こし、鹿やイノシシのウンコやシッコなどが川に流れることにより河川の富栄養化につながるのです。(川の富栄養化で海辺の環境も当然変わってきます)両者とも適度に「食・住」で利活用されるか、駆除や間伐など掃除する必要があるとのことでした。
調べてみると、日本の森林の約4割が人工林。しかし自給率は全体の3割弱。ただでさえ飽和状態なのに、外から輸入してたら、そりゃ過剰になるでしょう・・・
森林・林業学習館HP 我が国の木材供給量と自給率 より転載
50年前の戦後の復興とともに山に木を植えて、高度成長期に田舎から人がどんどん都会へ流出し、その流出が止まらないまま、山へ入っていた方々の高齢化で誰も山に入らなくなって、ここ10年で急速に山が崩壊し、鹿や猪、熊が里へ下りてきた、ということを但馬に暮らす住民みなさんが自分事として知っておく必要があると思います。
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