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世界ジオパーク再審査で確認される4つのこと

      2014/06/20

私のフィールド山陰海岸ジオパークは世界ジオパークに加盟認定されて4年を迎え、この夏、再審査を受けます。今回はイタリアの先生と中国の先生が審査にお越しになるそうです。鳥取市西部が今回エリア拡大をし、全体の面積の10%を超えるため、実質的には再審査でなく新規審査なのだそうですが、地元住民にはシステム的なことはわからないと思いますので、再審査と私は伝えています。

実は私も参加するガイドチーム「観光まち歩きガイド・香美がたり」が、今回の審査で見に来られることになり、うれしいやら緊張するやらドキドキしています。聞けば、うちに来るまではほとんど建物の中での審査やチラリと景色を見るだけらしいので、先生方には美しい但馬の海岸線を堪能して頂けるようにガイドをしつつ、この地でガイドをする上での未来予想図をお伝えしたいと思います。

先日、ジオパークの先生方や自治体職員、ガイドが集まる「ジオ談会」(談話会のひとつ)が岩美町で開催され、特別ゲストとして、日本ジオパーク委員会(JGC)の渡辺真人さんをお迎えして、世界ジオパークの再審査の前のこのタイミングで、どのようなことを先生方は審査なさるのかについてお話を伺いました。

渡辺さん

日本ジオパーク委員会の渡辺さん。(From筑波)

JGCの基本姿勢としては、持続可能な地域社会の実現のために、ジオパークとしてその地域に合ったやり方で、住民、行政、研究者の関係者がともに考え続けているか、また、そのために、これまでのやり方を変える覚悟があるかどうかを確認するそうです。

その上で、多くの審査員が審査で確認することを4つおっしゃっていました。その項目について私の思うことも合わせてお話します。

1)ジオパークが地元に根付いているか、愛されているか。

ジオパークの中には、行政と一部の自然愛好家だけが盛り上がって、地元住民や学校現場では知らんぷりーってところが見受けられます。「ジオパーク=地質学」、専門用語を知らないといけないいうことではありません。自分の住んでいる大地を見つめなおすことで気づくこと、生活や商売に役立つこともあるはずです。「自分には関係ない」ではなく「ジオパークになったおかげで生活が楽しくなった」という人が関係者以外にも存在するかどうか。

2)組織は政治的、財政的に少なくとも5年10年は続きそうか。

ジオパークはお金がかかりますし、既得権にかかる部分もあります。縦割りではいかない点も出てきます。様々な各種団体を調整の上、持続可能な状態を作り上げているかどうか。

3)ジオパークに関わる人たちがジオパーク活動について「わかっている」か、少なくとも分かろうとする気があるか。

ジオパークの活動について理解できていない人がジオパーク活動に関わっているなぁと思うことが日本ジオパークではあるようですが、世界ジオパークでも同様で、中国でも見受けられるようです。一つの例として、難しい専門用語が並び、誰も見ないようなジオサイト看板などがあったりするようです。

4)審査のために、地球科学を普及する振りをしているだけではないか。

私はジオパークを通じて地球科学に触れることは、その地で末永く暮らすための知恵を住民が学ぶことにつながると思っています。元々その地に残る民話は、その地の風土と暮らす知恵を後世に伝えているものですが、それにプラスして科学を知ることが、さらにこの地に人の暮らしを残していくことの担保になると思います。そのことを住民に伝えていくのが、私が行ってきた出前講座でした。そのことをガイドも行政もわかったうえでジオパーク活動を通じて地球科学を普及させてほしいです。

以上、4点の話をされていました。世界ジオパークネットワークのガイドの一員として、これらのことをガイド仲間や地域に伝えていき、30年後にも今の国立公園と同じようにジオパークも続いている存在にしていきたいと思います。

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - ジオパークとは?, 山陰海岸ジオパーク

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