しくじりから見えてくるジオパークの理想像をひな壇で聞いて 〜イエローカードはGoldカードになり得るのか?〜
2017/05/25
週末は幕張で行われていた地球惑星科学連合大会(JpGU)へ行き、20日午後2時前から開催されたジオパークの公開セッション『日本のジオパーク』で進行補助を務めてきましたので、その紹介をブログでさせて頂きます。
兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越しいただき、ありがとうございます。
6ジオパークの関係者が登壇!
昨秋から私もメンバーに入れて頂き、先生方と一緒に今年のパブリックセッション(一般住民も気軽に聴講できる学会の講演)のお手伝いをすることになりました。
(3時間にわたるセッションなので綿密なミーティングを直前まで)
なーんと、座長です、座長。当日知りビックリした次第・・・
お陰様で、題名がそうさせたのか、200名近くの方にお越し頂けました。ありがとうございます。
今回のセッションでは、条件付き再認定や新規認定審査が見送られ、課題を克服した、或いはその途上のジオパークから選ばれた6名のジオパーク関係者に登壇して頂きました。分けるとしたら、
①新規審査で見送りあるいは再認定で条件付き再認定後に,課題を克服したジオパーク
恐竜渓谷ふくい勝山、Mine秋吉台、下北、伊豆大島
②活動が停滞し、その解決策が見えなかったのは何故なのか、どうしたら進み始めたのかを具体的に語れるジオパーク
島原、山陰海岸
どんな発表をしたのかについては、事前に発表されているJpGU2017の「講演要旨があるので、そちらを参照下さい。
また、今後、日本ジオパークネットワークの公式サイトでも恐らく映像が公開されると思います。
座長として講演を聞いた私の感想
全ての講演を座長席と1列目を行ったり来たりしながら全部聞きました。序破急は人の心を捉えますね。
山陰海岸GP
2007年の日本ジオパークへ動き出してから今年までの歴史を振り返ることが出来ました。推進協議会の事務方スタッフは事務局長が2年交代で早や5代目になり、職員も2−3年交代ですが、昔のスタッフなどはイベントの時に来てくれるなど、職場に帰ってからもファンになりつづけているのがありがたいなぁと改めて思いました。
まぁ、放っておかれると自主的に動く人たちがどんどん出てくるのが山陰海岸GPの特徴かもしれません。その一人が私だったりもします。ジオパークを専門とした大学院も出来、ジオパーク専門員もようやく今年、採用になりましたし、明るい兆しも見えてきた中、今年の再認定審査はどうなるんでしょうねー?!
恐竜渓谷ふくい勝山GP
元々エコミュージアム構想が進んでいた中でジオパークに手を出してしまったがために、二兎追う者は一兎得ずになりかけて条件付きになったということでした。「条件付き再認定」というのは日本に馴染みがない認定で、2年という短い中で、エコミュージアム構想を元々行ってきた桜島の例を福島さんに講演して頂くなどして1本化への道筋が見えたということでした。
条件付き再認定は4年じゃなくて2年ってのが良いかも、と仰っていましたが私もそう思いました。急激なアクセルを踏むにはスピード感が必要。
審査報告書の解説もそれぞれの審査員がきちんと現場でして下さるようで、悪い結果ではなく、改善していこうと思っているジオパークには誠意を持ってJGC(日本ジオパーク委員会)の先生方は動いて下さるんだなぁと感心。なにより、恐竜博物館の方が動いて下さるようになったのが素晴らしい♪
Mine秋吉台GP
ここは最初の審査前にガイド養成講座の講師で行ったところです。新規認定が見送られ、審査報告書は殆ど良いことが何も書かれなかったことで、スタッフやガイド、住民の関わり方、地域の博物館、山口大学がちゃんと関わって下さる事になったとのこと。関係者の皆様が真剣に取り組み、ジオパーク活動がこの地に必要だと認識できたからでしょうね。
今の事務局長さんが仰るに、とにかく住民と向き合って、足で稼いでいったということでした。私もかつて香美町ジオパーク推進員時代はそうでした。そうすると住民の中で自主的に活動して下さる方や気に掛けて下さる方が出てきますから。
下北ジオパーク
ここは新規認定が見送られた後に、シンポジウムで登壇させて頂きました。その時は審査前年で凄い盛り上がりだったのを鮮明に覚えています。だけど、そこへ行くまでの道のりは、話を聞いていると本当に序破急でした。
職員はずっと1名のまま申請書も出し、審査を受けたものの、案の定、見送り。本腰を入れて再度挑戦するために職員を増やし、テーマ設定からも変更。今では12名体制で事務局を動かしているとのことです。もちろん、地域活動に重点を置いて進めて、市民がジオパークはこの地で大事な活動といろんな活動に広がっていった結果です。43ジオパークで最も大きい序破急です。
伊豆大島ジオパーク
正直、私もなぜココが条件付き再認定になったのかが当時分かりませんでしたが、講演を聞いて少し見えてきました。どれだけ住民が頑張っていても、サポートする立場の大島町に、他との兼任スタッフしかジオパーク担当が置けなかったし、役場自体が関わっているようでほとんどジオパークに関わってこなかったことが、審査の時に「ジオパークに対する本気度」を試された感じです。
条件付き再認定という短い期間でスタッフを増員したり、他のジオパーク運営に携わった優秀な職員が事務局に入り、移住者という特殊な環境の中で、伊豆大島らしいジオパークが日本ジオパークとして認められるのかどうか推移を見守りたいと仰っていました。私はブログでガイドさんの勉強会や研究者の関わりを見ていて、自主的に活動されているのを読むと、ガイドや住民、役場職員がだんだんジオパークの活動を応援しているように感じ、応援したくなります。
島原半島ジオパーク
国内の世界ジオパークで初めて条件付き再認定となりました。この要因として、2012年の世界ジオパーク大会が完全に打ち上げ花火状態になって、花火が終わったら夢の後のように、町の人が急激にジオパークから遠ざかり、専門員以外の事務局職員が総入れ替えになったり(「2014年問題」と仰っていましたが)、聞けば聞くほど大変な様子が聞こえてきました。
その中での条件付き再認定は予想していたようでした。特に発表者は審査の時には全国のジオパークへ審査に行くことから、「審査の時の盛り上がりが持続することはない。当然、機運は衰退するが、どれだけカバーするか、次につなげるか。
全体通して思ったこと
4年の再認定審査毎にちょこっと盛り上がるけど、また盛り下がる。衰退する中で、どう継続させていくか。これが活動する人たちの知恵と行動力でカバーさせたり、新たな試みに挑戦していったりしないと、持続可能な活動につながらないのです。これってジオパークに限らず、例えば選挙なども一般市民に対しても4年に一度ですもんね、そうして持続可能な地域経営活動に繋がっていってるのかなと思ったり。
ジオパークには住民参画だけでなく、研究機関との密なサポート体制、自治体のサポート、この三位一体が必要ということは分かりました。じゃあ、大学機関と連携協定が出来ていて、自治体の職員がちゃんと居て、だけど、ジオパークは一部の住民がサークル活動みたいに関わっているだけのジオパークはどうなんだろう・・・?とかえって疑問が湧きました。
ジオパークはどこへ進んでいるの? 意外にクローズドの世界なので、JGN研修会に参加できない私のような下々は暗中模索ですし、時々流れるジオパークの偉い先生方のコメント一つに一喜一憂しちゃいます・・・ジオパークも成長途中とはいえ、ある程度の規格設定は知りたいところです。
JGCの副委員長・中田先生も仰っていたのですが、条件付き再認定、いわゆる「イエローカード」は今回いくつか発表されたところのように、活動が成熟してきてGoldカードのような効果になっているところもありますので、一概に悪い制度とは言えません。ただ、2年で改善できるかどうかは、ジオパークに住民、研究者、自治体が本気なのかどうかを見極めることになります。
新規認定地域でジオパークの本気度や軸にブレが見られるところも今までは認定してきた経緯がありますが、そうすると、4年後にはイエローカードになる可能性が高く6年に渡って地域に苦労を強いる事になるので、今年からは新規認定も厳しくして見送りになっているようです。
今年は2009年、2013年の認定地域への再認定審査があり、数が相当多いです。そんな中で私のいる山陰海岸GPも含め、審査対象のジオパークがどうなるか・・・今年の動きに注目しています。
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今井 ひろこ


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