イカ、カツオ、ノドグロなど相次ぐ「不漁」・・・魚介類の町おこしはそろそろ限界に?
GWに入り、全国各地ではイベント開催のニュースが流れています。そんな中、気になる記事がありました。静岡県のニュースです。
【カツオ価格高騰 特産地の苦悩】全国一のカツオの水揚げ量を誇る静岡県焼津市で、カツオの価格高騰が各種イベントに影響を与えている。市が調査に乗り出した。 https://t.co/XNFlCQgKkT
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2017年4月29日
ここ数年、特産地の魚介類イベントの開催が「不漁」で難しくなってきていると感じている中でのニュースでした。
こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門の集客アドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越しいただき、ありがとうございます。
全国で相次ぐ「不漁によるイベントの縮小や中止」
先ほどのニュースの中身は、不漁による価格高騰のためにイベントで使う量を減らすという話でした。
市が24日に行った焼津漁協への調査によると、刺し身用に使われる一本釣りカツオの取引価格は1キロ当たり550円で、2016年年間平均の倍以上に。漁に出る船の少なさや漁場の天候不順などが不漁の原因とみられる。
この話に似ているのですが、近畿でも和歌山県南部で獲れる鰹「ケンケン鰹」のイベントが2年ぶりに再開というニュースも先日流れていました。
紀伊民報の4/14配信記事『2年ぶりに「かつお祭り」すさみ町』によると
昨年は不漁で中止したため、開催は2年ぶり。漁船の試乗体験や、すさみ町の特産品販売コーナーも設ける。即売や試乗体験は、水揚げ量や天候により中止する場合がある。
と記事の中でも伝えているように、鰹は昨年に引き続いて不漁。全国的な問題なのでしょう。
イカも不漁・・・?
全国的と言えば、イカが全国的に不漁だというニュースは今年頭に報道されていました。3月18日配信の神戸新聞でも、
晩酌のあての定番が“高騰”している。スルメイカをはじめ珍味の原料となるイカが、記録的な不漁となっているためだ。(中略)原因は日本近海でのスルメイカの不漁だ。全国漁業協同組合連合会によると、2016年の水揚げ量は6万3650トンで30年ぶりの低水準。15年の6割にすぎない。 (神戸新聞3月18日配信より抜粋)
民宿を営む私の主人は、5月から活イカプラン(生きたイカを捌いて刺身などで食べる)を販売していましたが、必要数が手に入らない恐れもあることから、販売を見合わせています。ホタルイカも例年よりは高いようです。
当地では6月に「活イカ祭り」を佐津観光協会が実施し、夏の活イカシーズンをPRしていましたが、どうなるのでしょうか・・・?
但馬漁協の漁獲速報では、4/28は「スルメイカ発泡35箱」となっています。必要量は確保出来るくらい獲れてるのかな?
(日々の漁業速報。35箱って多いの?少ないの?)
それぞれ、昨年との比較データが無いので、それらのデータが載っている隣の鳥取県の水産試験場・境港のデータを見てみると、今年は記録的な不漁のようです。
(赤が今年のデータ。記録的な不漁であることが分かります)
原因が海水温の上昇なのか、日本近海での中国・台湾漁船の乱獲なのか、他に原因があるのかわからないので、来年はどうなるかも見通せません。
イカで町おこしなどのPRをしている地域は全国に多く、今年はやきもきしていることでしょう。
水産特産品で町おこしは限界に?!
2000年以降、地球温暖化による海水温の上昇やエルニーニョ&ラニーニャ現象などが頻繁に起きるようになったこと、そして、アジア圏の国々で漁業技術の進化により乱獲が進んだこともあり、ウナギ、クロマグロのように、名物だった海産物は漁獲高が減少し高騰しています。
そんな中で、ノドグロは漁獲高が少なく価格が高騰しましたが、町おこしや錦織圭選手の発言で更に注目を集めて、一気に獲られ、価格がさらに高騰するだけでなく、市場に出回る数が大幅に減少する事態にもなっています。
昨年のネットニュースですが、島根県はノドグロの「禁漁区」を作ったとか。
こちらの記事によると、ノドグロの漁獲高が多い島根県では、昨年から加工用などに使われる18㎝以下の小型のノドグロが多く獲れるエリアで3月から5月まで禁漁としており、通常の6-8月の底引き網禁漁もあって、資源保護に乗り出しています。
その一方で、私の暮らす香美町では昨年から「キス場のノド」(深海魚ニギスの漁場で底引き網で獲れるノドグロのこと)を町おこしに使い、大々的に京阪神でPRしました。
その結果、昨年同様今年も価格が高騰し、当初から懸念されていた「良サイズ&いい価格で、ノドグロを安定的に手に入れる」ことが困難となり、中には数を確保するため、産地の異なるノドグロを使わざるを得ない事業者もあるようです。
そうなると、冬に北海道&ロシア産ずわいがにを本場の蟹と共に出している、冬場の松葉ガニシーズンと同じく、産地っていったい何?という状態に。
「ここに来ないと鮮度が保てず食べられないもの」をと、魚介類を町おこしに使う傾向が強く、地方創生系コンサル会社がこぞって使い、行政も頭をひねらなくて良くて使いやすいネタです。
特に、漁獲量が少ないけど全国区の魚は知名度が高いので、すぐにTVに取り上げられるなどして広がりますが、食の町おこしって、一ヶ所で成功するとすぐに真似されますから、結局は共倒れになる危険があるのです。
食材に頼るのであれば、本当にそこでしか獲っていない、食べていないような食材にしなければなりません。その街のソウルフードであれば他は使いにくいですしね。
例えば、気仙沼のメカジキ。昔から獲られていて、今でもソウルフード。
(気仙沼のメカジキはここでなければ、という特産品)
そういう食材をもう掘り起こし尽くしたのであれば、食以外に活路を見いださなければなりません。
観光客に食以外の魅力的なところを聞く、何故観光地に来たのかを直接尋ねてみて、地元の魅力を違う角度から発掘して、新しい視座を与えて、新しいモノを作っていく。昔々あったものをリメイクして、新しくする・・・。
視点を食だけでなく、文化、歴史という方向から見ると、日本遺産による地域資源の掘り起こしが使えますし、自然、地形地質という方向から見るとジオパークの地域資源の掘り起こしが使えます。
地域資源の掘り起こしの手法、今は日本にあふれています。
今回の「不漁」などでイベント開催が危ういというニュースは、食以外の資源も掘り起こしが必要な時期にきていることを示しているのかもしれません。
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今井 ひろこ


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