「日本のジオパークへ行ってみよう」日本海新聞連載コラム・三笠ジオパークの巻
2014/06/04
城崎オンパクシリーズを今日は中断して、今月の日本海新聞コラム連載「日本のジオパークへ行ってみよう」。北海道の三笠ジオパークです。今月は新聞紙面構成の都合で、第4週目から5週目の土曜に掲載となりました。
北海道三笠市といえば道内有数の大型炭鉱・幌内炭鉱や奔別炭鉱などの近代遺構が数多く残っていて、三笠ジオパークの重要なテーマの一つとなっていますが、今月のコラムではあえてアンモナイトにフォーカスしました。
アンモナイトの展示室に入った瞬間、その数と大きさに圧倒。
私は以前にアンモナイト化石を見たことがありましたが、せいぜい直径15センチ程度でした。三笠市立博物館に行ってアンモナイト展示室に入った瞬間、あまりの大きさに圧倒され、「これ、作りものですか?」とついつい聞いてしまったほどでした。アンモナイトといえば、大理石の中で小さいアンモナイトを見つけたりするのが、一時期流行りましたね。そのイメージも覆すほどの立体感と大きさです。オーソドックスな、いわゆるカタツムリみたいな形だけでなく、「これ、○ンコとちゃいますの?」という形のものや、ゴカイのような形まで、ありとあらゆるアンモナイトが三笠の博物館に集結しているのです。
ひな壇にもアンモナイトたちが並ぶ
「実は、立体でほぼ当時の形のまま残っているアンモナイトって珍しいんです。日本では、北海道で最もたくさん産出してるんですよ。」と、博物館の学芸員の栗原憲一さん。日本の他の地域では地層の重みに耐えられず潰れてペシャンコなアンモナイトになっているそうです。大理石に入っているものもペシャンコですよね。それだけに、三笠のアンモナイトは世界的にも有名だそうで、ミカサの名が学名に入るものも7種類発見されているくらいです。
石炭のある地層とアンモナイトのある地層を示す栗原さん
どうして北海道のアンモナイトだけ立体で見つかるのか?それには理由があります。北海道のアンモナイトは、生物の死骸の周りが「ノジュール」と呼ばれる炭酸カルシウムのとても硬い成分に覆われて化石になるのではと考えられています。そのため、積み重なる地層の重みや地熱に負けずに、その形のまま残ることができるのだとか。炭酸カルシウムの元になる成分は、海の時代の地層に含まれているようです。海の生き物で石灰質を持つものに、暖かい海で育つサンゴや石灰藻などがありますので、そのような生き物の死骸が、泥や砂と一緒に海中にたまったなごりなのでしょうね・・・。
今回の取材に全面協力して頂いた、博物館学芸員で三笠ジオパーク地質専門員の栗原さんが書かれたWebコラムが文章、図ともにとてもわかりやすいので、アドレスを添付しておきます。ノジュールの生成過程が良くわかります。
「なぜ、アンモナイトは世界中から産出するのか?」【コラムリレー第41回】
http://www.hk-curators.jp/archives/1475
私が今回知った「ノジュール」という言葉ですが、実はこの訳語は日常生活で使っていた言葉だったのです!!それは明日に。
香美町まち歩きガイド「香美がたり」
香住、今子浦、佐津エリア受付中!
山陰海岸ジオパーク公認ガイドが
深堀りしたまちの魅力をわかりやすくお伝えします!
お問い合わせ・申込はこちらをクリック!
今井 ひろこ
最新記事 by 今井 ひろこ (全て見る)
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(5/n) 選ばれるだけの理由が無ければ売れない - 2019年1月17日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(4/n) 着地型観光で選ばれる商品とは? - 2019年1月15日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(3/n) ターゲットを一つに絞る - 2019年1月14日
関連記事
-
-
5/10竹野・海浜植物の観察会<植物編>
山陰海岸ジオパークは東西120kmと広く、ジオパークの持つ海岸線もとても長いです …
-
-
白山手取川ジオパークで水の旅(1/3)千代女の里俳句館
先月、1/24-26までの2泊3日で白山手取川ジオパークへ行き、ガイド向けのセミ …
-
-
城崎オンパク・但馬牛見学ツアーの下見に行ってきました(2)
昨日のブログ「城崎オンパク・但馬牛ツアー下見に行ってきました(1)」の続きです。 …
-
-
城崎温泉と香美町小代のコラボ・但馬牛見学ツアーの意義
昨日とおとついのブログで、城崎オンパクで行く、但馬牛見学ツアーin香美町小代のお …
-
-
香住で揚がるイカの食べ比べ講座を開催してきました!<上>
今日はガイドのお話。先週末の但馬牛ツアーに続き、昨日、城崎温泉博覧会(城崎オンパ …
-
-
東三河・蒲郡市の見どころ探訪・竹島へ行ってきた!
11月29日に愛知県蒲郡市で行われた「東三河にジオパークを!シンポジウム」で登壇 …
-
-
但馬牛と田尻号の話を、日本ジオパーク委員長の尾池先生に書いて頂きました
スーパー但馬牛・田尻号とその血統を調べた故・藤村美香さんの話を先月ブログに書きま …
-
-
日本海新聞連載コラム「日本のジオパークへ行ってみよう」隠岐世界ジオパーク
日本海新聞連載コラム「日本のジオパークへ行ってみよう」今月は隠岐世界ジオパークで …
-
-
ブナシメジの新食感!~ジオパークの楽しみは「郷土食」
旅にはやっぱり「食」も大事。日本ジオパーク南アルプス大会で訪れた長野県伊那市、そ …
-
-
須佐は一年中「活イカ」を提供しているスゴイ地域だった!
先日、ジオパーク講演会に行った山口県萩市の須佐(すさ)地区は海に面した集落で、イ …