城崎温泉旅館視察ツアー「ときわ別館」編と、旅館編のまとめ~城崎オンパクでジオってみよう(6)
城崎オンパク最後のお宿訪問は、お宿ナビゲーター・原さんの旅館「ときわ別館」。温泉寺と城崎国際アートセンターとの間にあり、昭和40年代に建てられたそうです。元々は中心部に近いところで営業していたそうですが、マチの喧騒から離れ、ゆったりと旅を楽しめるようにと引っ越したそうです。当時はほとんど周囲に建物が無く、野原が広がっているだけだったとか。今とはエライ違いです。
お宿ナビゲーター原さんの”ホーム”ときわ別館のご案内
中心街から離れているので、建物も木造3階建てでなく、奥に広い2階建て。年3回、庭師が入るほかに、先代が庭いじりをして維持しているという庭は入口からは想像できないくらい広く、山までちょっと距離もあるので、開放感が良いですね。
ここは夕食も朝食も部屋食。庭に面していない部屋を中心に、城崎では珍しく露天風呂付(沸かし湯ですが・・・)の部屋をリフォームして設置。そのおかげで、若いお客様の利用も増え、最近では台湾人など外国人観光客の利用も多いとか。個室利用が基本なので、ファミリー(特に未就学~赤ちゃん連れ)に良いですね。もちろん部屋が1階にもあるので、シニア層にも向いています。
ここで初めて露天風呂付きお部屋に遭遇。城崎では珍しいお部屋です。
以上、4軒の旅館を回ってきたわけですが、その中で感じたのは、「城崎温泉」を通じて見えてきた、古い時代から培われた温泉の歴史、宗教、医学、そして現代の観光ツールとしての温泉。日本では、湯治として温泉場へ行き、温泉に感謝し湯を浴びるのが主の目的だったのが、歴史が新しくなるにつれ、温泉が従の目的、付加価値程度になった変遷に気付きました。温泉は奥深かったのです。まさにジオ。
旅行会社の調査では、若い人たちも雰囲気がいいだけの温泉地でなく、突出した泉質や効能などの「強み」がある温泉地に行く傾向があるのだとか。浴衣サービスやカニや但馬牛を食べることができ、外湯巡りができる城崎温泉ですが、それら以上に、ほかの温泉地にない城崎温泉の強みは、多くの文人墨客たちが訪れた宿へ行って感じる古き佳きタイムスリップ感。そして、温泉寺に代表される祈りの文化、この地が歩んだ歴史の素晴らしさ。今の城崎温泉の礎となった震災からの復興。それら城崎温泉の魅力を、地元の人が今回のように語って下さること(旅館のHPに今回語って頂いたオーナーの皆様が載っていないのが残念・・・)。新しいことはいくらでも作ることができますが、古き佳き文化や伝統はお金をどれだけ使っても作り出せません。
大谿川(おおたにがわ)の護岸。北但地震の後、昔通りに玄武岩を使って再建。
江戸や明治期に湯治で長期滞在しに来たであろう旅人を迎えた昔の湯治場のように、古き佳きものを大切に残し、旅人がゆるりとした休息のひと時を数日にわたって過ごせる、そんな非日常のロングステイが愉しめるレトロモダンな湯治場になってほしいなぁと思います。
それにしても、
城崎温泉ってめっちゃ・・・ジオじゃん!

今井 ひろこ


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