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日本ジオパークの再認定審査結果に思うこと〜来年の再認定審査に向けて〜

   

今朝は玄米を精米してきました。都会ではなかなか玄米で購入してこまめに精米はしませんが、但馬に暮らすと標高300mより高い高地米を玄米で手に入れることも出来て、食べたいタイミングで精米出来ちゃいます。

img_2221 武勇田

私はこの『武勇田米』の大ファン。日本の棚田百選のひとつ「うへ山の棚田(うえやまのたなだ)」で栽培され、耕作放棄田を地元集落の若人グループ(俺たちの武勇田)や高校生、都会の学生がみんなで耕し守って出来た、心のこもったお米です。私もそうだし、大阪の実家はこのお米以外は食べられへんって言うほど美味しいお米です。

うへ山の棚田小代

(ジオサイトのひとつ・うへ山の棚田)

こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門で集客のアドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越し頂き、ありがとうございます。

ジオパークは4年に一度の再認定審査がある

一昨日、日本ジオパーク委員会から2016年日本ジオパーク再認定審査の結果が発表されました。

結果についてはコチラのリンク先をご参照下さい。

日本ジオパーク再認定審査2016

「サイニンテイシンサってどういうこと?」という方の為に簡単に説明すると、ジオパークは4年に一度、活動や事務局体制が維持・発展しているかを審査し、ジオパーク活動や体制が維持出来ていないと判断すると認定が取り消される(レッドカード)というハードな仕組みです。一発再認定はできないという場合は「条件付き認定(イエローカード)」として2年後にもう一度再認定審査が行われます。ちなみに一発合格の場合はグリーンカードで、世界ジオパークも同じ仕組みです。

現在、43のジオパークが日本にありますが、認定が取り消されたジオパークは無く、増加の一途を辿っています。

今回の結果は、来年再審査の山陰海岸ジオパークにどう影響するか?

当ブログは私見を書かせて頂いていることを先にお伝えしておきますね。ブログってそういうもんだから。

私がいまガイド活動をしている山陰海岸ジオパークは来年が2回目の再認定審査です。歴史を辿ると

2008年・・・日本ジオパーク認定(だけど世界ジオパークは認定見送り)
2010年・・・世界ジオパーク認定
2013年・・・1回目の日本ジオパーク再認定(グリーンカード)
2014年・・・1回目の世界ジオパーク再認定(グリーンカード)
2017年←←←来年が2回目の日本ジオパーク再認定審査
2018年←←←2回目の世界ジオパーク再認定審査

という過去とスケジュールです。但し、世界ジオパークになっているジオパークは、世界ジオパーク再認定審査の前年に日本ジオパークの認定審査があります(世界の審査を受けても大丈夫かどうか判断するためです)。

世界ジオパークになっているところは大丈夫ではなく、1回目は一発合格といっても、2回目は条件付き認定になる可能性があることを、今回の審査結果は示しています。島原半島ユネスコ世界ジオパークです。

審査結果を見てみると

3.島原半島ユネスコ世界ジオパーク

地域のジオサイトを活用した教育研究活動が盛んに行われており、その成果も地域へ還元されている。香港や済州島とのジオパーク姉妹提携により積極的な国際交流が展開されている。また、サポーター制度も導入されている。 その一方で、地域全体での情報共有が不足しており、ジオパークを使ってこの地域をどうしていきたいのかが関係者の中で十分認識されていない。また、前回の再認定審査で指摘した事務局体制の改革やガイド団体の組織化が不充分である。 以上のことから、日本ジオパークとして条件付き再認定とする。

外から見ていると、ガイドさんもジオパーク全国大会に参加しているし、世界ジオパーク大会を2012年に成功させていますし、研究員の方も活動されているし、何でなんで??と思いました。ここに書かれていることは、①ジオパークを活用した地域経営が認知されていない ②事務局体制 ③ガイド組織化の3つです。この3つ、実は山陰海岸ジオパークでも同じ事が言えるかもと私は思っています。

先ず①に関しては、山陰海岸ジオパークのグランドデザインを私は知りません。世界ジオパーク申請時の申請書に書いているんでしょうけど2010年の話ですし、見直しをしているのか・・・私みたいな一般ピーポーにはOPENにされていません。私の暮らす香美町でもちゃんと「観光振興計画」をOPENにしてホームページや広報を通じて町民に示し、何年か毎に見直しています。

②事務局体制は府県市町の出向職員(任期1-3年?)+パート職員という布陣です。世界ジオパークになった後、事務局長が2年の任期を終えて交代したとき、世界ジオパーク委員会の外国の先生から「2年毎に変わるなんてあり得ない!」と激怒したという話を伝え聞いたことがあります。ジオパークの考え方によーやく慣れたかという頃に地元に戻ってしまいます。その他、世界ジオパークなので外国語対応のパート職員は居られますが、外国人の職員を雇用してないのが気がかりです。地質研究員の雇用は、よーやく今秋慌てて募集を始めましたので、そこを突っ込まれるコトはなさそうです。科学コミュニケーターの役割も担えるような将来有望な研究者が入って下さることを祈ります。

③ガイド団体の組織化はガイド部会が出来ています。しかし、ガイドシステムとしては発展途上です。ガイド養成講座のレベルはガイドになりたい人を増やすため、全ジオパークの中で最も少ない時間数になっていますし、継続教育も含めたガイド養成&運用システムの改革も道半ばです。広い山陰海岸ジオパーク全体を俯瞰してガイドが出来る人は一人しか居らず、この私でも2014年の拡大エリアはガイドできません。市町区ぶつ切りでのガイドは量産してきましたが、どちらかというと広く浅くガイドもできるなコーディネーターが必要です。(APGNで痛い目に遭ったはずなんですが・・・)

その他の問題としてジオパークの顔となるアクティビティー系インストラクターガイドが次々ジオパークから離れはじめていること。ジオパークと冠をつけなくても収入が得られるから、面倒臭いことに巻き込まれたくないということもあるでしょう。この問題は山陰海岸ジオパークに留まらず、ジオパークになる前からアクティビティー系インストラクターが活動していた地域ではどこでもあることですが、どう渡りをつけていくか・・・WIN-WINの関係になるには?ここは私もガイドとして模索していきたいところです。

以上のことは来年の審査には間に合うものではありませんが、改革の姿勢を見せ動き始めることができるかが、審査合格のカギとなりそうです。

実は情報公開度、ジオパークへの貢献度も見られている!

日本ジオパーク委員会の先生に以前、審査について伺ったところ、再認定審査の書面は見ているけど、書面だけでなく4年間の活動をきちんと見ているとのことでした。ホームページが更新されているか、SNSも活用したり、新聞やテレビで取り上げられているか、住民への浸透度も見られています。そういう意味では、推進協議会がSNSで発信するのは当たり前として、先生方、ガイドや一般市民がジオパークの活動を発信したり活用しているかも見られているということですね。

さらに仰っていたのは「ジオパークへの貢献度」。ジオパークはネットワークなので、日本ジオパークや世界ジオパークにどう貢献しているかもポイントになるとのことでした。ジオパーク全国大会や地球惑星科学連合大会に参加することも大切ですし、他のジオパークも行くなどして情報交換をすることも大切です。もちろん、世界ジオパークだからこそ、海外のジオパークへ行き、ロビー活動や学会発表ももちろんのことですし、研究者・学生の相互交流も必須です。世界ジオパークを目指している地域は、なる前から世界の地質学会での活動は必須です。

あちこちジオパークの講演会に行かせて頂き、そこで「世界ジオパークになりたい!」というお話も伺いますが、これからは日本ジオパークにさえなるのも大変ですし、認定維持も難しくなってきます。一説によると、世界ジオパークよりも日本ジオパークの方が審査基準が厳しくなっているということです。まことしやかに「世界ジオパークになってるジオパークが「日本ジオパークの再認定審査」でレッドカードが出たら、世界ジオパークは取り下げる可能性もある」という話を聴いたことがあるのですが、本当にそんなことが起こりえるかも。。。

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いずれにしても、審査のために何かを変えるということではなく、発展していくために改善をしつづけていく覚悟と姿勢が必要です。特に世界ジオパークになっているところは、日本ジオパークのお手本、見本となるべきところと考えますので、それに恥じないような、ジオパークを活用した地域経営が求められると思います。

他人や環境、お役所に依存するのでは無く、自分たちの身の丈に合ったジオパークの活動を地道に自立的にしていき、持続可能な地域づくりに邁進していくほかないと私は考えます。

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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