書評:「観光立国の正体」(藻谷浩介、山田桂一郎著:新潮新書)
昨夜、大阪からの帰り、そろそろ豊岡の事務所だなぁと思ったときに、突然「ガタガタっ!」と車から異音と振動が。右後方のタイヤがバーストしてました。高速道路上で起こってなくて本当に良かったです。
こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門で集客のアドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越し頂き、ありがとうございます。
今日は「観光立国の正体」という先日発売になった本の紹介です。
観光事業者(特に若手)、まちづくりで頓挫しかけた方、地域ゾンビにハシゴを何度も降ろされた方、「観光だろ、関係無いよね」と一瞬でも思ってしまった事業者さんももれなくお読み下さい。アナタにこそ、関係があります。
山田桂一郎先生の脳みその中身が濃密に詰まった本
藻谷浩介さんと山田先生の痛快な対談が後半にぎっしり書かれたこの本。スイス・ツェルマットと日本を月一回以上往復し、スイスや他の国々で培った観光地の再生を日本国内各地で行っている山田先生が、本の前半を執筆しています。
私が山田先生と出会ったのは今年の8月末ですが、その時に和歌山大学で伺った夏期特別講義4コマ分がぎゅぎゅぎゅぎゅーっと濃縮された内容でした。執筆に5年かかったと書いてありましたが、そのくらい濃密ぎゅぎゅっ!です。
(中央が著者の山田桂一郎先生)
「はじめに」を藻谷さんが書かれているのですが、そこから私は膝を何度たたいたことでしょう。地域活性化の足を引っ張り、ハシゴを突然取ってしまう「ボスキャラ=ボスゾンビ」が日本の観光地の再生をダメにしている。そういう人に限って「マーケティング=PR」と勘違いし、イタいキャンペーンを行い、その効果測定もしない。間違った「おもてなし」の押し売りをしても、お客様は絶対にリピートしない・・・など、冒頭から藻谷節炸裂、ぶっ飛ばしている書き出しでした。
藻谷さんも山田先生も仰っていることは同じで、観光事業者ほどマーケティング=PRと勘違いして、マーケティングを全くやらない。作ったモノを押し売りするプロダクトアウトばかりで、マーケットインという思想がまるでない、だからリピートもしないし、観光地が廃れていくのだと。そもそも、リピートを増やそうと真剣に考えてきたのか?と。
「観光まちづくり」と観光だけでまちづくりは決してできないし、やっても廃るだけ。観光客が見たいのはB級グルメや風光明媚なモノだけでなく、そこに暮らす人の豊かなライフスタイル。だけど、その地域の暮らしを見せて体験させるなんてほとんどしてこなかった。暮らしを魅せるには、その地に関わる全ての産業との連携を図り、住民が主体的に参加し、商品作りや製品、サービスの提供、それも質の高いことをしていかないと、観光地は生き残れないのです。
特に日本の観光地は富裕層を迎える準備がまるでできていない。未だに連泊の個人客を迎えることができない宿(夕食、2日目から何にしよう、1週間なんてもっと無理!という宿が余りに多い!)では、海外のお客様を迎えるにはほど遠いことに、観光事業者は気付いていない。どうして1週間泊めることを嫌がり、1泊のお客様しか見ないのだろう・・・
本書では、成功例として北海道の弟子屈町、岐阜県飛騨市古川、富山県の観光地再生の例のほか、和歌山県や広島県鞆の浦の話も記載されていて、いろんな例を本書から学ぶことができます。ブログでかいつまんで話したいのですが、それだけでブログ記事を2週間はつかいそうなので、割愛します。
後半の対談の話は・・・前書きに続いて藻谷節が炸裂し続いており、今の観光協会、日本型DMOの問題点なども痛烈に書き記されています。電車の中で読むとついつい何度も笑ってしまい「変な人がいる」と思われかねないので要注意です。追々、その話はブログでオブラートに包んでお話ししますが、もし、ズバズバ!と聞きたいのであれば、ぜひ本書をお読み下さい。
私もこの本の要点をマインドマップに記し始めておりますが、もう内容が濃すぎて、はじめにだけでA3用紙でも足りないくらいになっています。
観光を手段として地域全体の価値向上を図りたいという方には教科書になりますので、熟読してくださいね!(私なんて折り目つきまくりっ!)
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今井 ひろこ
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