読了「ネット炎上の研究」★炎上はわずか0.5%の人たちが起こしてる?!
宿や飲食店が悩むクチコミや書き込みについてアドバイスをしている私。先日、1冊の本を読みました。
田中辰雄・山口真一『ネット炎上の研究 :誰があおり、どう対処するのか』(勁草書房)
興味深い内容だったので、印象に残った部分をピックアップします。
炎上は2010年に一気に増えたが、横ばい状態
国内の炎上件数は2010年以降で400件前後。炎上原因は個人よりも法人関係が多い。また、FacebookとTwitterで言えば、拡散力が高くオープンなTwitterのほうが炎上しやすいため、Twitterに警戒が必要。
炎上パターンと予防・対処
いままで起きた炎上を見てみると、大まかに5種類に分けることが出来る。
1)反社会的行為や規則に反した行為(の告白・予告)
高校生の飲酒をSNSで告白、グルーポンおせち事件など
2)批判、暴言、デリカシーの無い発言・特定の層を不快にさせる発言など
厚生省年金マンガ、倖田來未さんの羊水腐る発言など
3)自作自演、ステルスマーケティング、ねつ造の露呈
ステルスマーケティング(=ステマ)とは、消費者に宣伝とは気づかせないようにして行う宣伝のこと。タレントが報酬をもらってブログにそのことを記載せず、オークションでゲットしたことをブログに書いていた「ペニーオークションステマ事件」は、未だに関与したタレントさんが芸能界に復帰できなくなっている。
4)ファンを刺激(恋愛スキャンダル・特権の利用)
AKBの恋愛スキャンダル暴露など
5)他者と誤解される
炎上参加者が一斉摘発されたスマイリーキクチ中傷被害事件など
炎上への流れ
上記に該当する事象が起こる
↓
それに気づいた人がTwitter、2chなどSNSに投稿。拡散し批判が集まり、炎上始まる
↓
まとめサイトなどに載り、さらに拡散され大炎上
↓
テレビ新聞などのマスコミに取り上げられ、ネットユーザー以外にも知れ渡る
共通していることは、インターネットユーザーの間にある規範に反した行為を行っているということ。炎上しやすい話題は、食べ物、宗教、社会保障、格差、災害(特に不謹慎ネタ)、政治(特に外交)、戦争(安全保障)が挙げられる。
炎上の防止策は
上記炎上されやすい発言をしないこと、発言に触れないこと。もし炎上してしまった場合に重要なのは、批判や誹謗中傷が来たときにはそれが致命的な炎上なのかを見極める。その判断基準となるのが、自分を擁護するコメントの量。
炎上参加者はわずか1.1%(1年以内は0.5%)の人たち
筆者たちがアンケート調査を行って得た結果では、国内のインターネット利用者4千万人程度いると推計されるが、その中で1回でも炎上に参加したことのあるネットユーザーはわずか1.1%であり、過去1年間に限っては0.5%であった。(1000人のネットユーザーで5人ということになります)
その中で、当事者を追い込む、執拗に当事者相手に攻撃を繰り返す人々はその数%程度。その中で当事者に直接攻撃する人たちは数人〜数十人と推計されているため、そこまで行くと、インターネットユーザーの0.00X%という割合に。
ニートのネットオタクが部屋に籠もって書いているのでは無く、アンケートからは「子持ち」「年収が多い」「男性」という意外な結果が。
2ちゃんねるの管理人を長年勤めていた西村さんによると「2ちゃんねる上での殆どの炎上事件の実行犯は5人以内であり、たった一人しか居ない場合も珍しくない」とのこと。ニコニコ動画を運営する川上さんは「少数の人が悪意を尽くしたコメントを数多く書き込んでいるので、批判が多いと錯覚してしまう」と述べている。
読了して思ったこと
交通事故に逢わないためには道路に出なければ良い、という訳にはいきません。インターネットで集客や広報をする以上、炎上や誹謗中傷、批判も受ける可能性がゼロではないことを認識しなければなりません。ただし、そう言う人はわずかな人数。炎上参加者、つまり、誹謗中傷、批判を書き込むヒトは0.5%、100人コメントを寄せている場合は1人いるかいないか、ということです。
たった一人の発言で落ち込むのではなく、それ以外の99人の良いクチコミや感想を信じましょう。一人からの批判が、例え声量の大きいヒトであったとしても・・・
それ以外のたくさんの
良いクチコミや好評のほうを信じて
そちらのみ受け入れましょう。
今までも私はこのように伝えてきました。だけど、今回の書で、定量的に調査をして頂き、データが出たことで、伝えてきたことに自信がつきました。炎上の種はできるだけ蒔かないように心がけながらも、個を発信し続けましょう。気を付けるポイントはこの本に詳しく書かれていますので、気になる方はお買い求めください。
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今井 ひろこ
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