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但馬の宿が冬場、松葉ガニ(ズワイガニ)にこだわり、香住ガニ(ベニズワイガニ)を使いたがらない理由

   

昨日今日と、城崎温泉にある商工会の事務所で専門家派遣のお仕事をしてきました。昼休憩の間に見に行った城崎温泉駅はつい最近リニューアル。とってもキレイになりました。

img_1540城崎温泉

こんにちは。兵庫県北部・豊岡市で宿専門で集客のアドバイザー時々観光ガイドをしている今井ひろこです。当ブログへお越し頂き、ありがとうございます。

カニの宿泊メニューにエクスマの方程式を当てはめてみた

エクスマ(エクスペリエンス・マーケティングの略)を学んでからというもの、エクスマの方程式を考えながら、お客様は目先のことではなく、何をココロから求めているのかをよく考えるようになりました。

エクスマの方程式とは、

エクスマ

お客様はモノがほしいのではなく、幸せな体験がしたいのだ、という方程式です。

布団屋さんに布団を買いに行く場合、布団が欲しいんじゃなく、ぐっすり眠りたい、それによって健康な生活が送りたい、ということです。

カニ宿にご家族連れのお客様が泊まる場合、そのお客様はカニを食べること自体が本当の目的なんでしょうか?

確かにカニは食べたいんだけど、そのカニをどうして家族で食べたいのだろう?と考えたとき、

■カニを美味しそうに食べている妻と子の笑顔を父は見たい。

■息子は塾通い、母はパート、父は夜勤・・・毎日家族全員で食卓を囲むことが無いからこそ、一緒に食事を食べたい。せっかく食べるのなら、1泊してゆっくり家族でくつろぎたい。

■年に一度の結婚記念日。せっかくだから美味しいものを食べて、妻から「ステキな宿を予約してくれてありがとう!」と言われて鼻高々になりたい夫。

と考えると、「カニ」が松葉ガニ(ズワイガニ)やベニズワイガニ、タラバガニ、ワタリガニであってもいいんですよね、極端なことを言うと。カニの種類にこだわっていないお客様が一定数いるということです。

松葉ガニにこだわる宿側の理由

どうして、この時期、但馬の宿の殆どが高騰している松葉ガニ(地ガニ)を使いたがるのか?それは宿泊料金が高く取れるから。宿泊料金が高いのは旅館やホテルに限らず、エアコン付けるのに100円入れないといけないような、壁の薄い、鄙びた民宿であってもです。トイレ・風呂共用の民宿なのに30、000円を下らないプランでも昭和50年代以降、関西のお客様がドッと来たんです。多様化した今の時代は無理ですよ、そこまでお客様が旅行そのものをしなくなったから。

エクスマの法則で考えたら、そもそも、松葉ガニである必要があるのか? という疑問も湧いてきます。それがベニズワイガニになっても、また、今の時期、セコガニでも良いんですよね。ロシア産やカナダ産の冷凍ズワイガニを出している宿も多いですから。(そういう場合は「松葉ガニ」でなく「かに」と明記しています。)

どうも但馬の宿はズワイガニにこだわります。売上が大きいからね。だけど利益がきちんと確保できるのであれば、カニは松葉ガニにこだわらなくてもいいと思っています。

ズワイガニのほうがベニズワイガニより美味しいというが、それも昔の感覚。

私は香住ガニのほうがあっさりとして食べやすく、好きなんです。松葉ガニは美味しいですが、味が濃いので途中で飽きてしまう。私だけかと思ったら、意外にも都会の方でも「ベニズワイガニのほうが自分は好きだ!」と思う人もいるのです。だから、冬にベニズワイガニ100%の宿泊プランを販売してもいいのに、と思います。

地元でどうしてベニズワイガニが差別されるのか?それは、昭和43年からベニズワイガニ漁が始まっているのですが、取り始めた頃、冷蔵技術がいまほどでなく、鮮度保持が松葉ガニよりも難しく、アクもすぐに出てくるし痛むの早いし、不味かったそうです。そのイメージが地元民にはずっと付いているのです。冷蔵技術が発達した今の時代、香住漁港で水揚げされる活けのベニズワイガニは、本当に甘くて美味しいんです。

kasumikani

「ベニズワイガニを求める客は、冬場、安いカニを求めている客だ」と見下す宿のオーナーは多いですが、実は「ベニズワイガニが美味しいから、獲れているなら冬場も食べたい」と、安いことにフォーカスせず、美味しさや「カニ」にこだわらないお客様も一定数いるということを認識して欲しいです。

都会に住む、年に数回しかカニを食べないお客様が相手なのに、販売する自分たちの価値観を押しつけてる、そんな気もしています。

松葉ガニとベニズワイガニとを混同しクレームになる可能性がある・・・のか?

「それぞれのカニで冬に宿泊プランを販売したら、松葉ガニと香住ガニ(ベニズワイガニ)を取り違えてクレームになるから。」

ということを主人は言ってました、昔。

「カニ」を食べたい人は、本場で獲れる新鮮なベニズワイガニでも全く問題無い、むしろ安価だから1シーズンに2回、3回と来る可能性も高い。香住ガニという地名のブランド名を使うからややこしいのであって、ベニズワイガニだけを出すのであれば「香住産ベニズワイガニ」と明記するだけで「松葉ガニ」とは思わないでしょう。クレームにしないためには、宿側がプラン内容に明記するほか、お客様にすぐさま確認の電話をするだけで良いはずです。その手間は惜しまないこと!

それに気付いた宿の何軒か、そして、ベニズワイガニ漁の船主さんが経営する宿は、春秋に出しているベニズワイガニプランを冬も販売しています。

「カニ」を考えれば、独自化メニューも作れます!

相場制で高騰する松葉ガニ(ズワイガニ)で困っているのなら、半分をベニズワイガニに変えて、『食べ比べプラン』として、利益を確保する方法があります。お客様が少なくて困っている宿なら、組数が元々少ないのでできるはずです。もっとできるなら、黄金ガニ(ハイブリッド)も準備して、3つの食べ比べプランをしてみるのも有りです。「食べ比べ」は都会では絶対できないことだから。(だけど、量は出さず、質を上げて下さいね)

実は都会の人にとって、カニといえば、松葉ガニではなくタラバガニやワタリガニなんです。だから敢えて北海道産タラバガニを出しても有りなんです。その食べ比べは面白いかもしれないですね。

松葉ガニ&紅ズワイ

また、セコガニがたくさん揚がる今の時期には、仕入れ値が500円〜600円のお手頃なセコガニの茹でを一人10パイと御飯、味噌汁、香の物を付けて、『セコガニを心ゆくまで楽しめるプラン』を1万円〜1万5千円で作っても面白いでしょう。もちろん捌かず、お客様自身で捌くようにします。4人なら40パイ・・・想像しただけでスゴいですよね。メイン料理にセコガニを持ってくる、そんなことをやっている宿はありませんから。(もし捌いて出すということであれば1パイに付き1000円取れば手間賃取れますよね!)

せこがに

自分の宿に泊まりに来るお客様が「何を求めているのか?」を深く考えること。どういうプランを作ればお客様が来るのか、お客様のウォンツを深く掘り下げることが、差別化ではなく独自化する宿として、リピートも増える「最強の宿」になる近道です。

今日はとっても長文になってしまいました・・・最後までお読み頂きありがとうございました。

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

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