「一泊朝食付きプラン」と「素泊まり・朝食無料サービスプラン」は使いよう!
昨日の続きで、民宿経営のクライアントさまの事例です。その民宿は近くに大型公共事業の工事現場があるため、ビジネス利用のお客様が多く、素泊まりプランの予約が増えているのだとか。土地勘の無い遠方から来られることもあるのでしょう、夜遅く来られたり、逆に朝早く出発することもあるそうです。
クライアント様の宿はビジネスで使われるお客様が閑散期に多く、素泊まりプランで少しでも売上があるから有り難いと仰っています。しかし、実際は周囲の宿より安い値段にしているから利用者が多いようで、「本当は金額上げて、周囲の宿と同じ料金くらいで販売したいんです。ただ値上げすると、うちの優位性が無くなるので、どうしたら・・・?」と相談を受けました。
そもそも、どうしてビジネス利用の方が素泊まりプランをご予約されるのか?
「近くにビジネスホテルがないので民宿か旅館の素泊まりを探そう」
お客様はそんな感覚で利用されているのだと思います。でも、せっかくなら「ビジネスホテルよりも旅館で素泊まりした方がいいなあ~」って思ってもらえるようにして、次からも使ってもらえるようにしたいものです。
そのためには実際にお泊まりいただくお客様の行動導線を考えてみると良いです。例えば、近くにコンビニや食堂、居酒屋のない地域ですと、ビジネスホテルは存在しません。それによって生じる問題を考えてみましょう。
1)仕事が終わってからのチェックインで、翌朝も早く出発。
うちの主人の宿も同じですが、宿のある集落にスーパーやコンビニがありません。近くても車で10分〜15分かかります。仕事が終わって、ようやく宿へ着たと思ったら、買い物できる場所が無い・・・素泊まりにしていると、朝食を買うのは前日です。都会の方が田舎へ来るとイチバン困ることは買い物では無いでしょうか。
2)朝食の量。いつもあんまり食べないんだよなぁ〜!
毎日ほとんど食べない、食べてもおにぎり一個、パン1枚がちょうど良いのに、宿の朝食は量が多いし、食べるのにも時間がかかる。かといって、いくら量が調整できるからといって、ホテルのバイキングはもったいない。だから素泊まりにして、自分に合う適当な量をコンビニで買おうって。
この2パターンが考えられるのではないでしょうか? かといって、朝食の量が少ないプランを作るとなると、民宿では朝食会場は同じ場所になってしまうので、お客様のほうが気が引けてしまうのでは無いかと思うのです。
「素泊まり・朝食無料サービス」を考えてみましょう!
そこで、ビジネス利用の方にと参考にしたのが、先日泊まった京都駅前のR&Bホテルで私が利用した「素泊まり・朝食無料サービス」。
1階のロビーに行くと、パンとコーヒー、スープ、ゆで卵などがバイキング方式で置いてあり、食べたい方だけ食べるシステム。量も調整出来ていいですね。
この量で「一泊朝食付き」というと、お客様から「朝食が貧祖!しょぼい!」とクレームの元になりますが、サービスの一環で「無料」にしていることで、「すばらしいサービスだ!」となるわけです。ものは言いようです。
今回ご相談頂いたクライアントさまの宿では、「ビジネス向け素泊まり・朝食無料サービス付き!」として、おにぎりを2個プレゼントすることに。自分が耕した田んぼで作ったコシヒカリで作る「おふくろの味のおにぎり」です。
チェックインの時に翌朝おにぎりが欲しいかどうかを伺い、翌朝お渡ししてお部屋で食べて頂きます。部屋でなく朝食会場でと仰る方には、お味噌汁もサービスでつけちゃおう!というワクワクなアイデアも次々出てきました。朝早い出発ならば朝食弁当にもしてあげられます。そうすると、お客様の選択基準によっては、「素泊まりと朝食サービスと同じ値段なら、サービスが付いてる方にしよう!」となりますから、自分の宿を選んで頂ける確率は上がりますね。
民宿・旅館だからこそのメリットを考えましょう
ポイントはおにぎりサービス、ということ。ホテルだと出来合いの料理の並んだビュッフェという感じですが、これが旅館や民宿だと、特に小規模の宿ほど「女将さんが握った手作りおにぎり」という温かみに変わります。
夜、チェックイン後のお風呂についても、「大きなお風呂」「温泉に入れる」というのは仕事帰りでお疲れのビジネスの方にはうれしいおもてなしになります。旅館で素泊まり、ビジネスのお客様をお受けするのも、ちょっと一工夫するだけで価値を高められることができます。素泊まりのお客様ってどんな人かを観察した上で、何に喜んでもらえるかをぜひ考えてみてください。その喜んでもらえるポイントがお客様に選んでいただける”強み”になります。
今井 ひろこ
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