朝日新聞に掲載されました!ガイドのリスクマネジメント講座、その内容とは?
2015/03/17
昨日、リスクマネジメント講座の必要性をブログに書いたところですが、12日午後から隠岐ジオパーク・西ノ島にある「西ノ島ガイドクラブ」の皆様に対して行った、ガイドリスクマネジメント講習会の様子を、朝日新聞の伊藤記者が島根県版の記事にして下さいました。ありがとうございました!
1時間半の講習時間を頂いたので、前半の30分は山陰海岸ジオパークのガイドシステムについてのお話と、ガイドの基本は「お客様を楽しませることと安全第一」というお話。そして、後半の1時間弱で、ガイドのリスクマネジメント講習会をワークショップ形式で行いました。
事故が起こってからの講座はCPRや捻挫などの処置、保険や裁判の話などがありますが、その前段階、危険を予見するほうのトレーニングです。特に重篤な事故の場合、危険が予見できていたか、できていた場合はどのように回避したのかについても聞かれます。それに、事前に「おこるかもしれない」と思っていたら、そこに意識もいきますし、事故が起こったときにとっさに行動が取れます。
重篤な事故はいくつもの小さなミスの積み重ねと言われています。ミスをみすみす見逃したがために、ミスの小さな穴が幾重にも重なったとき、重篤な事故につながるのです。これをスイスチーズモデルと言います。
その危険の芽を摘む訓練の一つが、製造現場や医療現場で行われる「危険予知トレーニング」で、その日本語の頭文字を取ってKYTと言われています。(空気読めないトレーニングではないです) それはガイドの現場でも使うことができて、複数のガイドさんで望むガイド依頼の時やガイド養成講座のときに私は行っています。
4人〜6人で1組になり、記録用紙を書く人とリーダーさん、ガイドチーム名を決めます。そして配られる1枚の写真。
山陰海岸ジオパークの代表的な見どころで、柵の向こうで撮影されている方が居られます。柵の前には「柵の乗り越え厳禁」と書かれた看板があるのですが、乗り越えて海の写真を撮っているんですね。そういうお客様って居られませんか?
この写真の誰が危ないのか、どういうことが起こるか。「〜なので、○○になる」と具体的なシーンをイメージして、起こる可能性があることを出して頂きます。
・急に強風が吹いて、バランス崩して崖下へ転落する
だけでなく、
・熱中症で倒れて怪我をする
・ハチに刺されて怪我をする
・折れて落ちてきた枝が頭に刺さる
などなど、可能性が低くても考えられることを次々と出していきます。(これをブレーンストーミングといいます)
その中で最もあり得る危険なことを選び、それを回避するためにどうするのかを話し合います。例えば、「急に強風が吹いて、バランス崩して崖下へ転落する」が一番起こる可能性が高いと判断したなら、
・現場に到着したら、最初に乗り越えないようにお客様に伝える
・乗り越えようとするお客様がいたら注意する
・ここのような危ないところにはお客様を連れて行かない
などもブレーンストーミングでグループの皆さんでアイデアを出してもらいます。
その中から、自分たちが率先してすることを1つ選んで、チーム行動目標とします。
「現場に到着したら、最初に、柵を乗り越えないようにお客様に伝えましょう!」
以上がトレーニングの内容です。行動目標には、現場の状況やグループの構成員の経験の差が出てきます。正解というものはありませんが、危険予知トレーニングに慣れていないと、突拍子のないものや実現可能性の低いもの、例えば、「看板をもっと大きく作る」など自分たちではすぐにできないもの等が行動目標として出て来る可能性もあります。そのときのために、初回などは、参加者に対して考える方向性を修正するコーディネーターが必要です。
私がいた研究所など製造現場ではこのトレーニングを5分でたたたっと行います。慣れてくるとできるようになるので、毎日のガイドミーティングのときにできるトレーニングですよ!
まだ行ったことが無いガイド団体は是非一度、ガイドをするばしょの「危険箇所」を見つけてトレーニングしてみてはいかがでしょうか?
今井 ひろこ
最新記事 by 今井 ひろこ (全て見る)
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(5/n) 選ばれるだけの理由が無ければ売れない - 2019年1月17日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(4/n) 着地型観光で選ばれる商品とは? - 2019年1月15日
- 第6期・南紀熊野観光塾「塾生講習」に参加して(3/n) ターゲットを一つに絞る - 2019年1月14日
関連記事
-


-
5/17 大地の歴史と特産品との美味しい関係が語れるガイドになろう♪ 〜山陰海岸ジオパークガイド養成講座2日目
明日から江戸へお上りさん。幕張メッセで開催される、地球惑星科学連合大会のジオパー …
-


-
なぜジオパーク看板が必要なのか?
日本ジオパーク南アルプス大会の分科会D「見せ方、ソフト(ガイドなど)、ハード(看 …
-


-
ジオパークの専門員ってどんな仕事?
羽田空港からブログを書いています。日本地球惑星科学連合大会という地球科学、地学、 …
-


-
ジオガイド養成講座で何を学ぶべきなのか?
先日の第7回ジオ談会。府県イベントやシンポジウムが重なり、参加できたのは鳥取~豊 …
-


-
中央アルプスのジオサイト候補地に行ってきた!〜駒ヶ根&伊那谷はビュリフォー!
先週中頃に、長野県駒ヶ根市と箕輪町でジオパークの講演をし、その中日にジオサイト候 …
-


-
ジオガイドの質の維持と向上に必要なこととは?(2/2・終)〜ジオパーク全国大会2017分科会⑤「ジオガイドの人材育成と団体運用について」報告
2017年10月25日〜に行われたジオパーク全国大会の中で、ワタクシは今年もガイ …
-


-
住民に対しジオパークに興味を持たせる3つの仕掛け(2/2)
住民へジオパークへの興味の持たせ方や住民の巻き込み方とは?という講演後の質問に対 …
-


-
白山手取川GP観光業者向け講演☆ジオパークという言葉は使うな?!後編
昨日のブログの続きです。例としては、私の地元・香住をテーマにジオツアーを作ったと …
-


-
百聞は一見に如かずってこのこと!平成新山を知っていましたか?
島原半島の旅の続きです。土曜日には、島原半島ジオパークガイドの長谷川さんにガイド …
-


-
「今回もわかりやすかった」と大好評!老人会でジオパーク講演をするときの3つのコツ
今月13日に私の暮らす集落の老人会の新年会に呼ばれ、ジオパークの講演会を行いまし …






